これで いいの? 課税区域の定め方(32)地番を使う青森県 & 「不確定概念」

11月15日、タイトルに「地番を使う」を入れました。

ここには課税するが、あそこには課税しない。
即ち、課税区域がある、それが都市計画税。
その課税区域の定め方を調べています。

地番を使っている条例を紹介しています。
青森県は、五所川原市だけです。

◎五所川原市都市計画税条例  平成17年3月28日
(納税義務者等)
第2条 都市計画税は、・・・都市計画区域のうち別表に所在する土地及び家屋に対し、・・・、当該土地又は家屋の所有者に課する。

別表(第2条関係)
(1) 字又は町の全部が該当する地域
字栄町、字田町、字蓮沼、字不魚住、字元町、字鎌谷町、字烏森、字一ツ谷、字新町、字柳町、字岩木町、字川端町、字本町、字布屋町、字弥生町、字東町、字大町、字旭町、字敷島町、字雛田、・・・・・・
(2) 大字又は字の一部が該当する地域及びその地番
ア 地域
大字湊字船越、大字石岡字藤巻、大字唐笠柳字藤巻、大字新宮字岡田、大字新宮字松元、大字長橋字広野、字蘇鉄
イ 地番
大字湊字船越208の1から208の4まで、209、212の1、212の3,213、214の1,215から217まで、218の1、218の2,219、220の1,221、222、223の1から223の3まで、224の2、224の3、224の7、230の3、232の2、232の3、233の3、234の2、234の4から234の7まで、・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
大字石岡字藤巻11の1から11の5まで、12の1、12の3から12の12まで、12の14から12の25まで、12の30から12の35まで、13の1から13の13まで、13の15から13の25まで、13の27、13の28、13の30から13の36まで、14の2から14の19まで、15の1から15の3まで、16の1から16の18まで、・・・・・・・・・・・・・
大字唐笠柳字藤巻76の1、76の2、77の1、77の2、79の1から79の4まで、80から82まで、83の1から83の7まで、84の1、84の2、84の5から84の8まで、88の5、118の1から118の3まで、119,241、246の1から246の7まで、251の1から251の3まで、251の5から251の7まで、251の9、251の10、・・・・・・・・
(以下省略)

備考
1 この表は、平成22年8月28日現在の字名、町名及び地番の表示により調製したものである。
2 地番は、不動産登記法(平成16年法律第123号)第35条の規定するところによる。
3 アの場合、イの地番で表示される土地に隣接介在している無番地の土地については、当該土地の全部をアに定める地域に含むものとする。

・ホームページでは、次のように説明しています。
都市計画税は、都市計画法による都市計画区域のうち、
条例で定められた区域内に所在する土地と家屋が対象となります。
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さて、五所川原市は、他と違って、課税区域を定めたことにしないで、別表の地域や地番に所在する土地及び家屋を課税対象と定めています。
でも、ホームページの説明では「条例で定められた区域・・・」としていて、条例で課税区域を定めているかのような説明となっています。こういうのを「取り繕う」と言うのでしょうか?


& 「不確定概念」(「条例で定める区域」について)

地方税法は、都市計画税について「条例で定める区域内に所在する土地及び家屋」に課税できるとしています。 課税区域となる「区域」を定める為には、何を如何定めれば良いのでしょう? 

そもそも、区域とは何でしょう?

・くぎりをつけた地域。しきりをした範囲。(広辞苑)
・何らかの目的で他との境界が設定された、平面内の広がり。(新明解国語辞典)
・全体の広がりのなかで他と区分されるある範囲の土地。(goo辞書)
・区切りをつけた、決められた場所。(チャレンジ小学国語辞典)
・一般に、区画された一定の範囲の土地及び水面を意味する。(有斐閣 法律用語事典)

次のようにまとめてみました。
区域とは、何らかの目的で境界が設定され、他と区分された一定範囲の土地の広がり。

そうすると、区域を定める為には、その区域の境界を定めれば良いことになります。

しかし、法は「区域」及びその定め方について、何も定めていないので、分からないことが沢山あります。
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(1)課税区域となる「区域」は、どんな土地の広がりでも良いのか?
・「区域」には最小の土地の広がりがあるのか? あるとしたら、どのくらいなのか? そして、その最小の土地の広がりには、一筆の土地が一つ入っていれば良いのか? それとも、一つではダメで二つ入っていれば良いのか? それとも、三つは入っていれば良いのか? それとも、、、、、?
・大きな「区域」は、小さな「区域」の集まりでも良いのか?
・「区域」の内側に課税から除かれる部分があっても良いのか? その除かれる部分から除かれる土地がある三重構造となっていても良いのか?
・「区域」はどんな形でも良いのか? 道路のように細長い部分や一筆の土地の広がりが点在する部分があっても良いのか?

(2)条例で「区域」の境界を定めるためには、どのように定めれば良いのか?
・「区域」の境界は、課税区域の境界としてどの程度明確に定めれば良いのか?
・「区域」の境界として民地と民地の境界を利用して良いのか?
・「区域」の境界は、条例で固定しなくても良いのか? 
・「区域」の境界の位置を表示する図が、条例の中に無くて良いのか?

(3)他の法令に基づく区域を課税区域とする場合、どのように定めれば良いのか? 
 ・その区域の名称を定めるだけで良いのか? それとも、その区域を表示している図を特定して定めるべきなのか? 
・その区域の名称に区域の文字があれば、どのようなものでも課税区域にして良いのか?
・その区域の範囲が変化・拡大する可能性があっても良いのか? 
・区域と呼ばれているものが本当に区域であることを条例で明確にしなくても良いのか? 
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法の「条例で定める区域」は課税要件の主たる部分だと思いますが、その内容が確定していない不明確なところが沢山あると思います。

課税区域の境界の位置が明確に分かる図が条例の中にあれば問題ないと思うのですが、そのような条例は一つもありませんでした。課税庁は、どの図、どの境界によって課税対象となるかどうかを判断しているのでしょう? それが条例で分かりません。これで良いのでしょうか?

税法には「通常要する費用」「著 しく低い価額」「正当な理由」などの文言があり、これらを「不確定概念」と呼ぶそうです。もしかしたら、「条例で定める区域」は、新種の「不確定概念」なのかもしれません。

課税区域の定め方、これで いいの?

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