見出し画像

とても心配な事例「便秘と切迫早産」。あかりのマタニティ日記vol.10

こんばんは!
後期づわりと体重管理に少々てこずっている、現役妊婦薬剤師のはとりです!

これまで便秘に関する話題をいくつか綴ってきましたが、今回は薬剤師ならではの「薬のトピック」です!
下剤って割と気軽に使っている方が多いと思いますが、ぜひそれを見直すきっかけになればと思っています。


下剤の種類に気をつけて!

妊婦さんの5〜7割の方が便秘を経験すると言われていますが、調剤薬局に勤めていた頃も、妊婦さんに下剤と鉄剤はよく処方されていました。

よく処方されている下剤は「酸化マグネシウム」
塩類下剤と言われるもので、大腸へ水分を引っ張ってくることでうんちを柔らかくしたり、かさを増やして出しやすくしてくれます。
これは癖にならない下剤で、お腹の赤ちゃんへの心配もほとんどありません。
妊婦さんの便秘にまず処方される下剤がこれです。

この薬の使用に注意が必要なのは、腎機能が低下している方や高齢者。
マグネシウムが体内に蓄積されると、ミネラルバランスが崩れて体調に影響してきます。
まれに腎機能が低下する妊婦さんもいると思うので、そこは注意が必要かもしれません。

注意してほしい下剤が「大腸刺激性下剤」。
お医者さんが処方するものもあれば、市販されているものもあります。

その中で「センナ」や「センノシド」という成分が入っている下剤は、基本的には妊婦さんが服用することができません!
薬の説明書である添付文書にも、このように記載されています。

子宮収縮を誘発して、流早産の危険性があるので、妊婦または妊娠している可能性のある婦人には大量に服用しないよう指導すること。

大腸を刺激することで、子宮にも影響を及ぼす可能性があるのです。

ここで私が「ん?」と思うのは、同じ系統の下剤である「ピコスルファート」や「ビサコジル」といった成分の薬。
同じ「大腸刺激性下剤」に分類されているのですが、上記のような注意喚起がされていないのです。

故に、酸化マグネシウムでなかなかうまくいかない方に、次の一手として使われていることも少なくありません。

「大腸の動きを活発にしてうんちを出す」という効かせ方は同じなので、個人的には後者の薬も、妊婦さんは注意して使う必要があるのではないかと思っています。

ちなみに、「アミティーザ」というまた別の効かせ方をする薬がありますが、これは妊婦さんは絶対に服用してはいけない薬です!
赤ちゃんへの影響があると考えられています。

他にも下剤の種類はいくつかあり、基本的に妊婦さんには使われない薬も多くあります。
これは鉄則ですが、病院や薬局で薬をもらう際は必ず妊婦であることを伝えてくださいね!


心配な事例…

以前調剤薬局に勤めていた頃、こんな方が来局されました。

妊娠前からあった便秘が妊娠を機に酷くなってしまった。
下剤を常用していて、最近同じ量でも出にくくなり(医師の指示範囲内で)量を増やして服用している。

この方が服用していたのは、「ピコスルファート」。
安全とされている、大腸刺激性下剤です。

私がとても心配になったのは、「切迫早産」の薬も服用していたこと…!
お腹の張りがあり、それを和らげる薬を服用して様子をみているそうです。

大腸刺激性下剤には「流早産のリスクがある」でしたよね…?
いくら大丈夫と言われているものであっても、多めの量を常用している彼女は、この薬や便秘自体が影響していないとは言い切れないと思うのです。

細身で色白で体力がなさそうな方でした。
しかし彼女にとっては、便秘も死活問題。
お腹の張りが出ようとも、下剤を止めることはできないようです。
とても難しい問題だと思いました…

便秘は生活習慣や体質など、複雑な要因が絡まり合って起こっている場合がほとんど。
薬をどうこうするだけで解決するのは、なかなか困難であると思います。

お話ししたのはだいぶ前のこと。
無事元気な赤ちゃんが生まれたことを願うばかりです。


妊娠前からの心がけが大切!

私がこの方とお話しして強く思ったのは、「妊娠前からの心がけ」がいかに大切かということです!

妊娠を機に便秘は悪化することがほとんどです。
そしてそれを解決するのは、なかなか難しいこと。

酸化マグネシウムだけでコントロールできるのであれば、それはそれで良いと思います。
ですがそうでなくなった場合、妊婦さんの体と心への負担が大きくなることは間違いありません。

ただでさえ、つわりや生活の制限などで大変なのですから、出来るだけストレスの元は減らしたいですよね。

便秘になる原因には、普段服用している薬も関係しています。
・風邪や膀胱炎など繰り返しがちで、抗生剤を多用している。
うつで薬を服用している。
こういった方は、これらの薬をやめるもしくは減らしていけるような対処も必要になってきます。

「いつかは子供が欲しいな」

そう思っているあなた。
便秘ではないですか?
冷えや頭痛、生理痛などのトラブルはありませんか?

妊活を始める前からの体づくりは本当に大切です!
妊活を始めてから、または妊娠してから始めたのでは、何倍も大変になります。

ぜひご自身の体と向き合い、調整をしていきましょう!
幸せなマタニティライフを送れる方が、一人でも増えると嬉しいなと思います。

以前の記事も併せてご覧ください♪


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?