小学校低学年の子どもの読解力を上げる方法 10.たくさん会話をする
今回は、小学校低学年の子どもが読書を楽しみながら読解力を伸ばす手立てとして、たくさん会話をすることを取り上げてみます。
じつは、親子の会話というのは、子どもの言葉や考える力を育てる大切なチャンスなんです。
普段の何気ない会話の中にも、
「誰が・いつ・どこで・何を・どうした」
というお話の要素が自然に含まれていて、子どもはそれを聞くことで知らないうちに言葉を学んでいます。
たとえば、夕食の準備をしているときに、
「今日は、お母さんの仕事場でこんなことがあったんだよ」
と話しかけてみましょう。
「お昼休みに、職場の友達と新しいカフェに行って、すごくおいしいサンドイッチを食べたんだよ。チーズがとろけてて、本当においしかった!」
と具体的に話すと、子どもは「友達」「カフェ」「サンドイッチ」「とろける」といった新しい言葉を自然と覚えていきます。
ポイントは、わざわざ「子ども向け」に簡単な言葉にする必要はないということです。
子どもは私たちが思っている以上に、親の話をしっかり聞いています。
そして、
「『とろける』ってどういう意味?」
と聞いてくる瞬間が、語彙力を伸ばす絶好のチャンスです。
そのときは、
「これはね、こういう意味だよ」
と教えたり、一緒に辞書を引いてみるといいですね。
この過程が、子どもの好奇心を引き出して、言葉をもっと知りたいという気持ちを育てます。
さらに、親が話すだけではなく、子ども自身が話す機会を作ることも大切です。
たとえば、学校から帰ってきたときに、
「今日は学校でどんなことがあった?」
と聞いてみてください。最初は短い答えかもしれませんが、
「誰と遊んだのかな?」
「どこで遊んだ?」
「その後どうした?」
と質問を続けることで、子どもは出来事を順番に話す力を少しずつ身につけていきます。
この練習が、物語を読む力や、要点をまとめる力につながります。
たとえば、子どもが
「今日は〇△⊡くんとサッカーをしたよ」
と言ったら、
「サッカーの試合はどうだった?」
「どんなプレーができた?」
と話を広げてみましょう。
子どもが自分の体験を話す中で、言葉を使って整理する力が育っていきます。
じつは、この力が、物語を読むときに役立ちます。
親子の会話を通して、子どもは少しずつ新しい言葉を覚えて、語彙が豊かになっていきます。
そのプロセスは、親子で一緒に楽しむことができるものです。
「勉強しなきゃ」
という感じではなく、日常の会話を大切にするだけで、子どもは自然に成長していきます。
さあ、今日から、日常の出来事をどんどん話しかけてみましょう。
いつのまにか、子どもの語彙力が増え、読解力が上がっていることに気づかれるのに違いありません。
ただ、くれぐれも無理をしないやり方で取り組んでくださいね。
たとえば、毎日時間が取れないときは、無理に会話の時間を作ろうとせず、子どもと一緒に過ごす時間の中で少しずつ取り入れていけば大丈夫です。
夕食の準備中や、お風呂の時間、寝る前のリラックスタイムなど、普段の生活の中で自然に話しかけてみましょう。
少しの会話でも、積み重ねることで効果があります。
また、あくまでも、親御さんと子どものリズムにあったやり方で進めてください。
家庭によって生活のリズムはそれぞれ違います。
朝が忙しい家庭なら、夕食後の時間や週末のゆったりした時間を利用してみてください。
あるいは、外出先で新しいことに出会ったときに話すのもよいですよ。
自分たちの生活リズムに合わせて、無理なく続けられるタイミングを見つけてください。
こうして、自分のペースで親子の会話を楽しんでいけば、いつの間にか語彙が増え、読解力も自然と育っていくことでしょう。
実践されることを、心からおすすめします。
実践されたら、そのようすを、ご連絡いただければ大変うれしいです。
心からお待ちしています。
この小学校低学年の読解力を上げることをテーマとする記事は、あと二つでいったん一区切りしようと思います。
この次のテーマは、声に出して読むこと(世間でよく言われる”音読”)を取り上げていく予定ですが、もしかしたら違うテーマになるかもしれません。
気まぐれな山さんですが、今後ともよろしくお願いします。
次回も、どうぞお楽しみに。