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鍋の季節

朝晩はめっきり冷え込み、お鍋が恋しくなる季節がやってきました。
お鍋を囲んで食事をすると、どこかほっとした気持ちになります。それはきっと、火の揺らぎや、煮炊きする音、湯気の隙間から見える家族の顔や会話があるからかもしれません。
調理器具としての鍋の歴史は古く、縄文時代の土器にまで遡ります。「なべ」は、元々は「肴瓮(なへ)」と書き、肴はさかな、瓮は土焼きの「かめ」のことです。土焼きの器でモノを煮たところから、「肴瓮」という言葉が生まれ、鉄器の普及によって「鍋」へと変化しました。
近代以前の住居には、台所のかまどとは別に、調理や照明、暖房を兼ねた「囲炉裏」がありました。この囲炉裏端で、薪を焚きながら煮炊きをしていた時代は長く、この炉端での食事が鍋物の原型と言われています。農村では、この料理と食事を同じ場所でするスタイルが続きますが、都市では台所と食事をする場所が切り離されていきました。
江戸時代には、囲炉裏のない町屋や料理屋で火鉢や七輪を使った「小鍋立て」が登場し、鍋ブームに。囲炉裏での食事と、町での流行もあり、日本中で鍋料理が拡大していきます。
株式会社紀文食品が毎年行っている「紀文・鍋白書」では、1997年から鍋喫食率ランキング(実際に家庭で食べた鍋料理のランキング)を行っています。これを見ていると2018年以降になると湯豆腐がランキング外になり、代わりに豆乳鍋がランクインしてきます。また、秋冬(9月~2月の間)に各家庭で鍋を食べた回数は、月7.70回にもなるそうです。お鍋のもとがスーパーで手軽に買えるようになり、味のバリエーションや回数にも変化が出ている様子がうかがえます。
鍋料理には、その土地で生まれ育った定番のご当地鍋がたくさんあります。
食材に旨みがのる冬に食べる鍋料理は、郷土料理の宝庫とも言われているぐらいです。
北は北海道の「石狩鍋」や秋田県の「しょっつる鍋」から、南は福岡県の「水炊き」や鹿児島県の「薩摩汁」まで、その数も味覚も実に多彩です。
また、家庭独自の鍋ルールがあるのも、鍋の面白いところ。皆さんは、どの鍋料理が好きですか。ぜひ、皆さんのご家庭の鍋料理についても教えてください。

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