『爛漫ドレスコードレス』ただただ好きなものを語りたいだけ。
『爛漫ドレスコードレス』読んだ。
手に取った理由は忘れちゃったけど、Kindle unlimitedに登録されていて、なんだか楽しそうな表紙ってことで読み始めたと思う。実際とっても楽しくて、面白かったので感想をば。
ある帯に惹かれて、浴衣を購入した主人公(山田撫子)が、浴衣玄人の女性(鷹倉響)に、草履の靴づれ、着付けからメイクまで助けられる。その一件から浴衣、着物への興味を深めていく話だ。
着物文化って、民族衣装なわけだけども、人にとってのはじめてのふれあいはいつになるのだろう。七五三、花火大会の浴衣、成人式、卒業式の袴、結婚式の白無垢…。訪問着を購入するまでどれだけのステップがあるんだろう。
自覚的に買おうとなると、やっぱり浴衣になるような気がする。花火大会に家族や友人、恋人にいくというイベントが少なからずあるし、値段も手頃で気軽に手に入れやすいからだ。
読者のその着物文化に対する、感覚をしっかり分析して作っている漫画なんだろう、『爛漫ドレスコードレス』も、好きな帯を着たいという純粋な思いと、花火大会を結び合わせて導入してくる。
着物初心者で、まず難しいのは、着付けの仕方だろう。寸胴で着付けるのが着物の着方だけれど、普段の洋装ではウエストの細さを強調されるから、知らず知らずに腰回りを帯で細く締め付けてしまいがちだ。
こんなのは伝統的じゃないと評す人が出てくる。いわゆる「着物警察」がいることを示すと同時に、助け導く玄人もいることを『爛漫ドレスコードレス』は提示してくれている。
気軽にふらっと気取らずに和装を普段から取り入れられるスタンスって、どうやって身につけられるのだろうか?
多分、それは単純に着物が好きで好きでしかたがないから。
着物が好きで、興味を持っていてくれる人を大切にしたい。そういう思いが溢れている。玄人の鷹倉の気取らないスタイルは、山田の和装に対する固定観念をほぐしていく。
こういう時に注意したいことも丁寧に書いてある。着付け教室や呉服屋での、押し売りだ。
読んでて思い出したけれど、実際自分もやはり浴衣に対する憧れはあった。年相応になるとなかなか高価なものを特別なことがない限り購入出来る訳もなく、ユニクロなどのチープな浴衣を着ていた。
やっぱりちゃんとしたものが欲しい。
そう思わっている客を狙って高価な浴衣の購入を迫やられることが自分にもあった。あれよあれよと試着され、オーダーメイドで何週間何十万ですがいかがしますか?とニッコリされるのだ。
いやーさすがにシーズンなのに、それはないです(苦笑い) と纏った衣を脱ぎ捨てて、逃げることが出来た。
着物文化に憧れがあって、プロが言うなら買ってもいいかなと揺れる人が居てもおかしくない。
『爛漫ドレスコードレス』には、そういう着物文化の危ないところも、重くなくかつ軽くも無い、そう真摯にまっすぐ描かれているのだ。
だから、この漫画が好きなのかもしれない。
今のこの民族衣装文化が現状どういうもので、どういうきっかけで受容されて、提供されているのか。
洋装との組み合わせ方や、鮮やかなデザインの着物たち。それを妄想で着せ替えているのは、着せ替え人形で無邪気に遊んでいた頃のワクワク感がある。
特に思い出したのは、着せ替え人形のペーパードウルだ。
型紙の服を切り取って、人形のパーツに差し込んで着せる簡単で手頃な遊び道具。それを好んでやっていたのは、単純にイラストの女の子の服が可愛くて仕方がなかったからだろう。
近づけば、近づくほどに、着物文化の需要と供給の問題は、リアルになってくる。だけれども、2人はただただ好きなものを、楽しみたいだけであって、自由で身軽で、とても自分の好きに忠実である。
着物に対する言葉や文化、そういうものも少しずつこれから深まっていくのだろう。複数のロールモデルも登場した。けれども、この2人がどんな着物に出会って、どんな装いをして出かけていくのかが、ただ純粋に楽しみでしかない。
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