『死に戻りの魔法学校生活を、元恋人とプロローグから』感想と妄想。#死にプロのしもべ。
2月の中旬くらいから読み始めたのだけど、もう心がとまらない。#死にプロのしもべである。
『死に戻りの魔法学校生活を、元恋人とプロローグから』(以下、死にプロ)を読んだ。
今年に入って、知り合いからおすすめされていたのだけど、なんの気無しに無料のコミック1巻を読んで、続きが気になって、電子書籍で漫画を読んだらイチコロ。
最初の方はこちらからでも読める。
続きか気になって気になってしょうがないので、なろう小説のサイトにアクセスしたら、漫画連載部分は本編だと40ページぐらいで、完結までに合わせて200ページもあった。
たくさん読める喜びから、寝る間も惜しんで読んだのは久々な読書体験だった。
そして、読み終わってしまった今も隙間時間があれば読んでいるからもう、しもべである。
本編そのものは完結しているので、とにかく読めるものがないかと探すと、どうやら初回限定のショートショートが付いていたり、電子書籍版限定の話があったりするのでそれも読んでいるのが今の段階。
書籍版サイト。アース・スタールナ
https://www.es-luna.jp/bookdetail/8shinimodori_luna.php
特典の「初めての入学式」、「踊る、踊る」も良かった。
書店限定のショートショートも発売当初はあったらしいけど、古本界隈を見渡しても簡単には見つからないもの。
一時期はほんとうにプレミア価格の限定品に手を伸ばしかけた。
(作者に還元されないものをプレミアで買うのって辛い)
第3巻の表紙が1番好きかも…
これってある人の目線という説を知るとアワアワしてくる。
感想 読んでない人はまず読みましょう!
なろう小説に、2020年頃から書かれた小説のよう。カクヨムでも読める。
なろう
https://ncode.syosetu.com/n7481gn/
カクヨム
魔法のある世界で、魔法学校が舞台。恋人(ヴィンセント)の死を目の当たりにしたヒロイン(オリアナ)は、目覚めると幼い頃の自分に巻き戻されていた。ヴィンセントを死から救うため、あらゆることを犠牲にする。
前回の記憶をもったオリアナは、再び魔法学校に入学。ようやくヴィンセントと再会するものの・・・。
あらすじでいうと面白さってうまく伝わらないな。読めば読むほど美味しいのに。
ループものなのだけど、なぜループするのか?という、そのものに力点はない。(もちろん説明はあるけど、SFの比じゃない)
その過程を楽しんでいる作品で、恋愛において、ループものがこんなにも効果的なのか!!と目から鱗。
自分は、SF小説が好きだけれども、恋愛小説のいい読み手ではない。
それでも、ループものにおける、恋愛の美味しさがこれでもか!!ってほどに詰まっている小説だとはわかる。
恋愛ループものの美味しさってなんだよ?
それはループ側が記憶を保持しつつも相手は知らない状況で、以前は起きたことを期待しつつも叶わないことを、相手が実現してくれたり、してくれなかったりするところ。
嬉しくなったり悲しくなったり、気持ちがとにかく休まらない!!
「死にプロ」では、それが、何度も何度も続くのである!! エンドレス!!
恋愛とループのなせる味。
「死にプロ」以下のシーンが個人的に大好きだ。
・僕と踊ってくれないかと花束
・私たちと変わらない15歳の男の子
・ダンスレッスンの企画と継続
・勉強をすること、してみること
・洗濯物 頼られないか頼られるか
・柑橘系、レモンのパスタ、レモンのマフィン。
・届いた手紙、出せなかった手紙
・タンザイトの杖とアクアマリンの杖
僕と踊ってくれないかと花束
一巡目のオリアナは、ヴィンセントからのダンスパーティの誘いを受け入れたことが思い出として残っている。その熱情あふれる告白に、相手の好意がもろバレだったため、二人は恋愛関係に発展した。
二巡目のオリアナは、その一巡目の記憶を保持しつつ、前のように誘われたいけども、二巡目では誘われないという気持ちを行ったり来たりして、それが実現するかしないかは二巡目でもわからないからハラハラドキドキする。
そして、その叶わない願いがループゆえに少しずれつつ実現するときに、一度目の内容と重なりつつも、別の意味も付与されて二度美味しいシュチュエーションとなっているのだ!!
この魔法学校でのダンスパーティが「死にプロ」での大きな山場であることは間違いなくて、そこに向かってどう行動するかで二人の関係性も変化する。
もっと言えば、この状況は重要なだけあって三度美味しく読むことができる。
この記憶を知っているからこそできることが続くわけだが、このシュチュエーションの面白さは、ループの変更にあるだろう。
ループは一人だけ?
ループする人物は、ループもの(ジャンルに特化されたもの)だと固定されていることが多い気がする。
「死にプロ」の特徴は、固定ではなく、ヴィンセントに移ることにある。
そして、オリアナには受け継がれないことで、ヴィンセントはオリアナから聞いた一巡目の情報と、二巡目の記憶を持って三巡目を進めることになる。
二巡目の記憶にあるオリアナは、三巡目のオリアナと同じであって同じでないことをヴィンセントが知る時、ここでもまた、ループものの旨味が染み出してくる。
二巡目のオリアナがどのような気持ちで、何を決意し何を捨てて何を選んだのかを知ることができるのは、二巡目の記憶を持った三巡目のヴィンセントだけなのである!!
それを知ったとき、相手もまた同じ状況かどうかも知ることができないなかで、その可能性を潰さないために三巡目のヴィンセントはひた走る。
そして待ちに待った、オリアナとの再会つまりは魔法学校の入学の時に、ヴィンセントは知ることになる・・・。
二巡目のオリアナが捨ててしまったものを、三巡目のオリアナには捨てる目的がない。
そのヒロインそのものが持っている素質、性格、可能性をまざまざとヴィンセントは突きつけられる。二巡目のオリアナが恋しく思うと同時に、また三巡目のオリアナを大切にしたいという思いが芽生える。
健気だ。とっても三巡目のヴィンセントは、健気なのである!!
二巡目のオリアナがしたことを大切にしつつ、三巡目のオリアナが大切にしていることも尊重して守ろうとする。人知れないその覚悟が、愛の証明となって胸にくる。
三度も味わえるシュチュエーションって相当なものだと思うのだけど、この世にはもっとそういうのがあるのだろうか? とにかく自分はこの三度の美味を何度も何度も読み返すことで味わっている。
そう、この構造は再読を促すことにも役立っている。
三巡目のヴィンセントが、二巡目ではどんな人物だったか? 三巡目のヴィンセントを知ることによって、二巡目のターンも別味で読むことができてしまう。
耽読の飽和である。何度読んでも無くならないし、読めば読むほどに味わい深くなる。
そして、結末。その結末は、ここまできてかなり潔い。置いてかないでとばかりに読者が再読してしまうのもしょうがない話である。
どうしてこの結末なのか・・・やはりあえてなのだろう。「死にプロ」はループにおける恋愛の、その過程に主眼を置いた話なのだ。
そして、結末にきて急上昇してくる人物の視点が気に掛かってくる。それは恋人の友人で、ヒロインの友人でもあるミゲルの存在だ。
青と赤、そして紫
ミゲルは、達観した存在として描かれる。その理由は、結末に近づけば近づくほどと分かってくる。
ミゲルもまたループをしていた。しかし、傍観者としていることを求められた役回りだとされる。全てのループを体験していたのである。計八回。
恋人とヒロインは知りえないループの記憶、それをミゲルだけは持っていた。
どんなループを辿ったのかは原作では語られないものの、言葉の端々にある感じ、演出の感じから妄想してみたい!
一回 ミゲル初
ヒロインと知り合う。
恋人とヒロインの気持ちを察する。(友人の思いは、友人以上恋人未満?)
二人の死を知り、絶命。
・髪を伸ばすきっかけとかあるといい。
「髪を切らないのは願掛けでもあるのよ」とか。
・二人の死を知る直前に、ヒロインの友人たちが作った飴を舐めていたとか。
・飴を舐めていたから、泣かずに済んだとか。
二回 巻き戻し
・ヒロインと恋人は記憶を持たない。友人の絶望感。
・友人は、記憶があるために、全力で助けようとする。
けどすぐに死ぬ。(舞踏会の前にとか)
単純に行かせない、二人っきりにしない。現場に行かせない。という助力など。
「いいか、あの場所にはいくな」とか。
で、他の場所で死ぬ。
三回 巻き戻し
(記憶がある場合だと話的には盛り上がる…)
様子を伺いつつ、カミングアウトという展開が無難か。
・恋人が記憶を持っている。
・ヒロインと仲良くなった頃を見計らって友人がカミングアウト。
・恋人が友人の異変に気づいてバレしまうというのもあり。
で、助言をしたらすぐに亡くなる。
「あの日には気をつけろ」とか。
八回目の手助け感が微妙だが、能動的にやるか受動的に迷いつつやるかの違いなのかもしれない。
恋人は、友人が繰り返していることを知っているので、次ではヒロインに記憶が引き継がれることを望んでもおかしくない。
ヒロインの死に、恋人が願う。
「君だけは、僕のことを覚えていてくれ」とか。
四回 巻き戻し
・ヒロインだけが巻き戻し。前回の恋人の願いもあってとすれば筋がとおる。
・六回目のヒロインのように頑張る。
・ここで前回の友人の言動を思い出して、異変に気づいて友人に接触するのって面白そう。
「私、あなたに、〇〇を伝えたことない!」とか。
バレてしまって、友人はヒロインに協力する。
・不安にかられている友人を見かねて、ヒロインが髪を結んだりして落ち着かせる。
やはりすぐに亡くなる。
・友人は、諦めの境地に。
友人、結われた髪を撫でながら、
「二人ともっと一緒にいたい。はじめは、あんなにずっといられたのに。
(気づき)
「俺が何もしなければいいのか?? 俺が助けるせいで二人は早く死んでしまうのか?」
で、次は何もしないと決める。
五回 巻き戻し
・六回目、恋人は記憶を持っているように読めるので、五回目は記憶なし。
・ヒロインも記憶がない。
・友人は何も助けなくなる。
・二人とも記憶がないターンは、友人にとって精神的に楽だろう。
・二人と長くいられて、二回目〜四回目よりは長生きする。
・恋人が、ヒロインの死を現場で目撃
六回 巻き戻し
ここから原作でも描写あり。
・ヒロイン回想シーンから察するに、おそらく恋人が記憶を持っている。
・恋人に記憶があっても、友人は何もしないし、ボロも出さない。
恋人。友人の繰り返しは気づかないけれど、ヒロインについて願う。
「君に本当のことを伝えたい。君だけに知ってほしい」
七回 巻き戻し
・恋人の願い通りに、ヒロインが記憶を持つ。
・ふたたびヒロインが友人の髪を結う。
→友人にとっては2度目とか。
八回 巻き戻し
・ループのルールを知って、ギリギリのところを攻めようとする。
・さすがに七回もやってるから、感覚が身についてるとか。
・恋人とヒロインの家族になろうとする話。
→友人としては本当にこれでループが終わりなのか自信が持てない。だから2人の傍にいようとするとか。
ミゲルループの妄想はまだまだ描き足りないなと思う。
また何か思いついたら書き足そう。
そんなに人生繰り返してたら、ミゲルがあんなに達観するのも致し方なし。
登場人物のメインカラーの意味を考えていたら、鳥肌。
アクアマリン色の瞳のヒロイン、
真っ赤な髪の友人。
そして、それらの色を合わせた、タンザイトつまり紫色の瞳の恋人。
主人公にふさわしい青と赤と、それを合わせた高貴な紫。
話の設定上では無理やり組み込んだとも聞くのは、
元々は、ヒロインと友人がペアで、恋人が傍観者だったというもの…。
そこまで作り込まれているのかあと感嘆。
漫画は全部描き切ってくれるかわからないけれど、欲を言えば、全部描いて欲しいのがファンの心情。どうか、たくさんの人に届いて完結まで頑張ってもらいたいなあ。
どうやら重版出来らしいけど、紙だと手に入りにくいようだ。
でも、紙で欲しいよね。手元に置いておきたいもん…。来月、紙でも買おうかしらん。
さらによくを言えば、アニメ化してくれたりしちゃったりして…。まずはボイスドラマからでも…。
漫画
書影が美しい。眼福。
余談
もともとあまり推し色とかもたいない派だったのだけど、読んでないと心が落ち着かなくて、仕事もままならないので(隙間時間さえあれば読んでいる仕末)
ネイルホリックのブルーとパーブルを塗った。
親指のはブルーの方。めっちゃ心に余裕ができてうきうきしている。
ビジュラムで、タンザイトとアクアマリンの何か買おうな…と思案中。高いけど!