「編集力」×「アスリート」:一流編集者から学ぶ三流プレイヤーの這い上がりかたVer.1
「サッカーを本業に思ったことがない」
先日のニュース番組で本田圭佑が言っていた言葉だ。
大袈裟に言ったのか、本当に思ったことがないのか、その真意は本人しかわかないが、この言葉はアスリートの「次のレベル」の話しなのかもしれない。
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こんにちはサッカー選手でブロガーのよーへー です。
現代は”個”の時代と言われトップのスポーツ選手もその波に乗ってきました。
冒頭で紹介した本田圭佑選手をはじめ、YouTubeチャンネルも持つJリーガーや最近ではオンラインサロンを開設して炎上していた選手も記憶に新しいです。
トレンドだとラグビーワールドカップが盛り上がっていて、公式/個人のアカウント共にSNSでの発信にも注目が集まっています。
ちなみにあのクリスティアーノロナウド も、所属チームからの給料(約34億円)よりインスタグラムからの広告収入(約48億円)の方が高いようです。
(ちょっと額が桁違いですが。笑)
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そんなトップから「生き方」が変わりはじめているスポーツ界ですが、これまで日の目を見なかった、下に埋もれる選手またはマイナー競技のプレーヤーにもチャンスが出てくるのではないかと筆者は考えてます。
先日YouTubeでNewsPicks のCEOの佐々木紀彦による「ビジネスパーソンのための編集講座」という動画を見ました。
36分と短いですが、非常に勉強になるので是非見て見てください。
ここではビジネスマン向きに「編集」とはどんなスキルか・なぜ必要なのか・その鍛え方など「編集力」について語られています。
その中でこの「編集力」がアスリート、特に一流ではないプレーヤーにとって非常に大事になると感じたのでそれについてシェアしていきます。
テーマは下記のようになります。
「編集力とアスリートのキャリアの再定義」
〜三流サッカー選手が海外に行くべき理由〜
前編:「なぜアスリートに編集力が必要か」(WHY)
後編:「アスリートが編集力を上げるための戦略」(WHAT/HOW)
ということで前半でなぜアスリートに編集力なのか、後半でその編集力をどう上げていくか・どのように使っていくかを書いてきます。
この記事の意味、メッセージを設定しておきます。
(イメージ程度に)
「より多様なアスリート像の構築をしよう」
「現役とセカンドキャリアの壁をなくそう」
最近はSNSでもアスリートの新しい形のようなものが各所で提唱されていて、なんとなく各々変わらなくてはいけないという意識がある選手もいると思います。
しかし漠然としているのも事実。
うまく伝わっていないとも言えるかもしれません。
そこで今回は「ビジネスパーソンのための編集講座」から「新しいアスリートの形」を言語化していきます。
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「スポーツ選手」というと億万長者のスーパープレーヤーなどかなり煌びやかな世界を思い浮かべる人もいると思うのですが、ここでは”超一流”でも”一流”でもなく、マイナースポーツの選手やアマチュアやセミプロなどから上を目指す、”三流以下”のプレーヤーを指します。
(”三流”という文字に違和感を持つ人もいるかもしれませんがあえて使わせてもらいます。)
この記事にはサッカー選手としては一流からはかけ離れている筆者自身がヨーロッパでさまざまなことにチャレンジしているという背景があります。
高卒でスペインへ。その後フィンランド・スウェーデンのセミプロリーグでプレー。今年6月からローマに活動の場所を移し、「ヨーロッパのプロリーグでプロ契約」を目指している。同時に「ピッチ外でも希望を与えられる選手に」とブログを中心に執筆活動・YouTube・クラファン 2回・帰国時には講演会などもやっている。
正直サッカー選手としてだけでは箸にも棒にもかからない筆者ですが、Twitterを中心にSNSを頑張ってみたら、最近は少し自分の活動に価値が生まれてきていると感じています。(詳細は後編で)
文武両道!
セカンドキャリアを考えろ!
などと曖昧にスポーツで食っていけない時のことを想定させられていることが多い日本のスポーツ業界で、これを読んだ後に少しでも具体的に行動すべき、チャレンジすべきことのヒントをつかんでもらえたら光栄です。
ではまず、そもそも「編集力」と「アスリート」の関係とは何なのでしょうか。
*今回は主語を全てサッカーにさせてもらいます。別競技のプレーヤーはぜひ自分に置き換えてみてください。
1.「編集力」とは
新聞,出版,放送,通信など一般にジャーナリズムの世界において,一定の志向性をもって情報を収集,整理,構成し,一定の形態にまとめあげる過程,またその行動や技術をいう。
これが辞書でいう「編集」の意味ですが、なぜこのスキルが現代に重要になってくるのでしょうか。
そこには時代背景・文化背景があるのですが、1つに「縦割り社会の崩壊」があるようです。
図のように年功序列・終身雇用から、インターネットやAIの発達により柔軟性のある社会になってきていると捉えることができます。
これはアスリートも同じで筆者はこの境目は「現役とセカンドキャリア」または「プレーヤーとしての価値とプレーしていないときの価値」をイメージしました。
わかりやすい例としては五勝出さんの書いた「アスリートが高めるべき3つのValue」いう記事はオススメです。
要約すると
✔︎Player Value(競技者としての価値)
✔︎Market Value(社会に対してどのくらい還元できるか)
✔︎Story Value(共感どれだけ呼べるか)
の3つの価値がこれからのアスリートに大事だよねと言っています。
「縦割り社会の壁の壁が溶けている」いま、アスリートにもこの3つのValueをどう編集するか「編集力」が必要になってくる時代であると考えてもいいでしょう。
2.「編集力」がなぜ”三流アスリート”に必要か
動画では「編集」とはどんなスキルなのかということを下記の3つの言葉で説明しています。
①イノベーション
②キャリア形成
③コミュニティ
①のイノベーションも大事ですが、こんがらがってしまいそうなので飛ばして、②と③を見ます。
下記の図のように本来のアスリートの形は多くの場合、競技の実力に全てが委ねられます。
クリスティアーノロナウドのインスタからの広告収入を見たと思いますが、まずプレイヤーとして結果を残して、そこに付随し、Market/Story Valueがついています。
”セカンドキャリア”においても同じで、「元日本代表」という名でTVに居座る人たちがわかりやすい例です。
大したことを言っていなくても安泰なのは「縦割り社会」では通用したかもしれませんが今後はわかりません。(なくならないと思うけど、その席の数は減っていくはず)
そして今後は筆者のようなPlayer Valueの低い選手にもチャンスが巡ってくると考えます。
次項の「キャリア」の話しでここは詳しくみていきますが、100万分の1を目指すのではなく、100分の1をいくつも持ち、それの「掛け合わせ」が非常に肝になってきます。
3.「編集力」×「キャリア」
まず②の「キャリア形成」ですが先ほども記したように今後、何か1つに飛び抜けた100万分の1の存在になることがどんどん厳しくなると言っています。
アスリートもそうですね。
サッカーもどんどんグローバル化していますから、今までJリーグの外国人はヨーロッパからくるベテランか、ブラジル人を中心とした”助っ人”と言われる選手が多い印象でしたが、今後は東南アジアなどからも若い優秀な選手がたくさん入ってくるでしょう。
競争率は加速します。
選手はその競争率の高い中でどう生き残るかを模索する必要が出てきます。
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例えば「0円Jリーガー」と名乗るYSCCの安彦考真選手を見てみます。
Jリーガーも限られていますが、40歳でサッカーをやっている選手はほとんどいないですし、オンラインサロンをしっかり運営しているプレーヤーもまたいないでしょう。
「Jリーガー」にエンタメ性/ストーリーを加えることで、1つの「新たなサッカー選手像」を表現しています。
先ほどの100分の1を掛け合わせて100万分の1になるという点で非常に参考になりますね。
そして、ここでどんなストーリーを作るか、どの分野を掛け合わせて100分の1を作るかに「編集力」が問われるんですね。
クラファン で100万以上集めたり、SNSでのファンとの交流、自身のコミニュティを作ることはもちろん、若い選手への教育、さらには同世代(40代)へ勇気を与えているその姿はとても刺激になりますが、このように活動を見ると自分の長所や立場、信念などを理解しそれを組み合わせる、「編集力」に秀でているプレーヤーと言ってもいいのではないでしょうか。
(上から目線でおこがましいですが。)
4.「部活」と「コミニュティ」
③のコミニュティですが動画では複数のコミニュティに属していくことが今後の日本人の幸せを左右すると話しています。
アスリートはどうでしょうか。
今だと「部活」or「クラブチーム」または「学校」or「会社」といった偏ったコミニュティになっていないでしょうか?
部活動の場合、学校のクラスメイトとそのまま部活をやっていたり、社会人のチームでも「会社の同僚がチームメイト」なんてことも多いと思います。
居心地はいいかもしれませんがあまり現代的ではないかもしれません。
筆者も高校生や中学生から連絡を受けることがありますが、
「サッカー以外に興味あることは何?」
と聞いても答えられないケースは珍しくないです。
10代に何か1つのことに熱中・集中することが悪いことだとはまったく思いません。
しかし、これまで以上に積極的に自分のコミニティをプレーヤーは探す必要がありそうです。
また育成年代の場合は選手よりも周りの大人、コーチがこのような意識を植え付ける、考えるヒントを与えるなどすることが大切かもしれません。
5.「分人」と「セカンドキャリア」
最後ですが、セカンドキャリアというものも時代遅れかもしれません。
ここでは「分人主義」という考え方も大事になると語られています。
「分人主義」とは自分の中にいろいろな「わかれた自分」を持ち、それぞれいろいろな場所で自分を発揮していこうという考え方です。
本田圭佑選手が「経営者・起業家・教育者・監督」などと選手以外の顔を持っているのはわかりやすいかもしれません。
・どのコミニュティに属していけばいいのか
・どう組み合わせていけばいいのか
そこに「編集力」が試されます。
本田圭介選手の場合、すごいのですがやはり「日本代表」のイメージは強くもともとも巨大なPlayer Valueはあったといえます。
少し身近な選手だと筆者は筑波大学から「アフリカ」でプロデビューを飾った、森下仁道くんをイメージしました。
「アフリカ」×「サッカー」×「NGOでのインターン」×「起業」などと様々なコミュニティで活躍する仁道くんですが、その組み合わせに彼の「編集力」のセンスを感じます。
今後プロスポーツ選手や世界を目指す人のヒントがありますね。
現役中にどれだけこの「分人」を作れるか、今後のアスリートの肝になりそうです。
★まとめ
繰り返しますがプレーヤーとしての価値の重要度はトップトップを除いて薄くなってきているように思えます。
「スポーツ選手のキャリア」を考えた時に一番大変なのは「継続」です。
2つに分けられて「経済的継続」と「精神的継続」だと筆者は考えます。
多くの人が18歳ないしは22歳で辞めるのは
「働かなきゃいけない」
「将来が不安」
などと言った「ピッチの外の問題」が多いからでしょう。
それは「編集力」で変えていくことができるかもしれません。
また競争の激しさを象徴しているようなツイートも最近発見しました。
スポーツの世界の厳しさがわかります。
少なくとも日本人の場合「ただ競技をがんばる」というのはやや限界があるのかもしれません。
反対に0円Jリーガーではないですが、「選手としての実力」と「知名度」や「サラリー」は比例してこなくなる可能性も高くなります。
実際に僕のスポンサーをしてくれている方が話していたことですが
「今はどのレベルの選手でも知ってもらえる機会がある。ひと昔前ならJ1しか知らなかったけど、今は関東リーグの選手でも発信していれば、知ってもらい、応援される可能性はいくらでもある」
と言っていました。
武井壮さんも似たようなことを言っていましたね。
「クオリティーの高さを見る人は競技をよくわかっている人だけ」
今後、「編集」次第では一流ではない選手にもチャンスが巡ってくる可能性は十分ありますね。
さてここで前半は終わり。
後半では「アスリートが海外にいくべき理由・個の価値を上げるためにやるべきこと」などより具体的に見ていきます。
後編…
ヨーロッパでの活動資金にします。あとものすごく喜びます。笑