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廃棄プラのブレスレットを買ってみた

先月末に4Oceanというところで再生プラスチックのブレスレットを二つ購入した。「Pink Flamingo」と名のついたコーラルカラーのブレスは、一つはプラスチックを紐状に編んだもの、もう一つはそこに透明ビーズ(ガラス)を通したもので、どちらも海などから回収された廃棄プラスチックと廃棄ガラス瓶を原材料としているリサイクル商品。

4Oceanはひょんなことで知った。今年全米オープンテニスで優勝したドミニク・ティエム選手についてウィキペディア英語版を読んでいたら、環境問題に関心があり、中でも現在起きているプラスチック汚染を大きな問題と捉え、4Oceanを支援しているとあった。4Oceanにリンクがあったので、そのままウィキペディア内のその項目を読んでみた。

4Oceanは2017年に設立されたフロリダにある営利企業で、廃棄プラスチックからの再生物質でブレスレットをつくりネットで販売、その利益の一部を海や川などのプラスチック汚染を減らす活動につかっている、とのこと。各種ブレスレットはすべて20USドルで、一つ買うとごに1ポンド(約450g)のプラスチックごみを回収できるとあった。

ウィキペディアによると、4Oceanは大学時代の友だちアレックスとアンドリューの二人が、バリ島に遊びにいった際、海に浮かぶプラスチックごみに驚いたことが起業のきっかけとなったらしい。漁師がボートに乗ってプラスチックをかき分けているのを見て、この事業を思いついたという。

こういうアイディアはすごくいいなとまず思った。商品を通じて一般市民に問題を提起すること、製造&消費という社会的循環の中で、企業が利益を得つつ、問題解決を持続可能な形で進めていくこと。

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4Oceanのサイトにいくと、トップページにフラミンゴのブレスレットの紹介があり(そのときこれが新商品だったのだろう。フラミンゴの絵本を葉っぱの坑夫で制作中のこともあり、購入に弾みがついた)、一つ買うと1ポンドのゴミが回収できるそうなので、2種類のブレスを一つずつ買うことにした。これで約1kgのプラスチックごみの回収活動を支援できるということだ。

海のプラスチック汚染については、知らなかったわけではないが、そこまで関心をもってこなかった。これを機にプラスチックおよび海洋汚染について知ってみようと思った。

わたしたちの生活の周辺には、プラスチックが山ほどある。世界的にこんなにプラスチックが増えたのは、ここ50〜100年の間ではないか。プラスチックとは、大まかな定義としては、主として石油に由来する合成樹脂を主原料とする物質のことらしい。廃棄プラスチックに問題を絞れば、容器やボトルなどのプラスチック製品が焦点となるようだ。

確かに家庭でのゴミの内訳を見ると、ペットボトルとプラスチック包装や容器がなんといっても多い。ペットボトルの方は意識すれば減らせるが、プラ容器の方はなかなか難しい。あらゆる食品がプラスチック製の袋や容器に入って売られている。中には紙の容器を使用しているものもあるが、全体から見たら少ないと思う。プラスチックは紙より丈夫で水にも強く、コスト的にも安いのかもしれない。

過剰包装という言葉があるが、たとえばお菓子にしても個別包装になっていたり、鰹節のようなものも大袋の中で小さな袋に小分けされていたりする。その方が湿気なくて便利なのだ。衛生的でもある。プラスチック包装でないお菓子や食品を買おうと思っても、ほぼ不可能だ。ピーマンだってじゃがいもだってブドウやリンゴだって、みんなプラ袋に入っている。少なくとも普通のスーパーではそうだ。

家庭で出るプラごみは、分別してリサイクルされるのでしょう? と思うかもしれないが、実際にはコストの問題が大きく、本当の意味でリサイクル(再生利用)されているものはごくわずかだという。日本のプラごみの9割はリサイクルされていない、などとも言われている。

その理由は、リサイクルと言った場合、廃棄されたプラスチックが原料として再利用され、別の製品として生まれ変わることが求められる。しかし今、分別ゴミ回収でリサイクルと言われているものの多くは、プラスチックを燃やして熱に還元(廃棄物を焼却する際に発生する熱エネルギーを回収して利用)することだったりするらしい。この場合、燃焼の際の排気ガス(CO2)も問題になっているようだ。

ところで海や河川に堆積するプラごみと、家庭から出るプラごみとは関係がないのか。これがどうも関係がないとは言えないらしい。家庭から出るプラごみは一部が燃焼にまわされ、一部が海外(主として中国)に「輸出(資源という位置づけで)」されていたという。その中国やインドネシアなど東南アジアの国々から、とんでもない量のプラごみが海に流失していることがわかっている。しかし中国のプラごみの一部は、日本から送られたもの。その意味で、日本はプラスチックの海への流失へ関わっていることになる。

しかしそれも、最近、中国がゴミの輸入を禁止したことから、日本は送り先を失い、新たな問題が発生しているようだ。(中国に輸出していたアメリカでも、同様の問題が生じている)

そういえば4Oceanのブレスレットは、中国で製造されており、廃棄プラスチック100%、廃棄ガラスボトル95%が原材料となっている。そのうち海からの回収分が5%以下含まれるとのこと。つまりプラごみを大量に出している国で製造しているということだ。

プラスチックという人工物は、長い時間をかけても自然に帰ることがほぼない物質なので、一度作ったらその行く末は再利用しないかぎり、ゴミとして蓄積されていくことになる。人間の英知によって生まれた、科学と技術革新の素晴らしい成果であるプラスチックも、未来への遺産という意味では、負の要素がどんどん大きくなっている。

プラスチックの再生利用にはコストがかかり、実際にはゴミとして出したプラスチックが、「リサイクル」されていないという事実。ペットボトル飲料の値段は、容器代と中身が基準になっている。一つの考え方として、プラスチックの処理費用を、飲料に含めて販売するという案があるらしい。そうするとペットボトルの飲料はかなり高くなってしまうだろう。しかしそれによって、プラスチックの処理費用が出て、再生利用されるのであれば、モノの循環としてはいいことだ。プラスチックのライフサイクルは、製造して消費する、というところでは終わらないのだから。

ペットボトルの飲料を大量に消費して、プラごみに分別して出しているからOKというのが通じないのだとしたら、廃棄後の処理費用も消費者が負担することを承認するしかない。価格の中にその費用を含めるようにして、現在100円〜150円くらいの飲料に、たとえば200円とか300円払うといった。あるいはペットボトルの飲料を買わないという選択をするか。どちらもプラごみの蓄積にとって、かなり有効かもしれない。

環境大国と言われるノルウェーでは、ペットボトルの料金にリサイクルのための金額が含まれていて、飲んだあと店にボトルを持っていくと、容器代を返金してくれるシステムがあるらしい。これにより回収率が高まり、人々も容器のリサイクルをより意識するようになる。また環境税というシステムがあって、プラスチック製造業者はリサイクルすればするほど税率が低くなるそうだ。リサイクル量が95%を超えると、環境税は0になるので、製造業者もリサイクルに熱心になる。

プラスチックに限らず、今後モノの消費にはこのようなことがついてまわる可能性はある。製造者が大量生産して安価で販売、消費者がそれを大量に買い求め、その結果多量のゴミが蓄積する、といった循環はおそらく21世紀型のライフモデルにはならない。今後人類が目指すべきは、単純な消費促進型ではない、消費循環型社会なのだろう。

その意味で、誰もが日々の生活の中で、モノの消費とその行く末の処理を購入時に考えなければいけない時代が来ている。消費は多くの人間にとって、最大のレジャーでありイベント。学校教育の中でも、「消費生活」という学科があって、小学生、中学生が製造と消費のしくみ、そこから出るゴミの処理について学んでもいいのではないかと思う。

4Oceanで買ったブレスレットは、装飾品として身につける楽しみの他に、それをつけていることによって毎日の生活の中に新たな気づきが生まれ、大げさに言えば意識改革となる。ブレスレットをつけるようになってから、普段の生活の中で気づいたことがいくつかあった。

たとえばこれまで使っていたテフロンのフライパンを、買い替えにあたって鉄製のフライパンにしてみようと思った。テフロンはプラスチックの一種で、使うごとに洗うごとに目に見えない細かなプラスチック(マイクロプラスチック)が剥離し、料理の中に、排水溝へと流出する。近年、マイクロプラスチックは、魚や海鳥の体内から大量に見つかっているそうで、環境の中で分解されることがないため、半永久的に蓄積される可能性が高いらしい。

わが家でつかっているマヨネーズやジャム、醤油や牛乳の瓶は、製造・販売者のリサイクル・システムに乗っているので、一般の資源ごみには出さずに購入元に返している。これまであまり気にしていなかったのだが、1リットル牛乳瓶のキャップも、そのルートで購入元に返せば、再生プラスチックのゴミ袋に生まれ変わる。いつも使っているゴミ袋は、再生プラスチック製だったと今回気づいた。そのゴミ袋は、牛乳瓶のキャップを主原料として製造されているようだった。

多分、今の時代、気をつけていれば、再生プラスチックの商品はそれなりにあるのかもしれない。容器が再生プラスチック製というものもあるようだ。アマゾンで「再生プラスチック製品」で検索したら、ラックスのヘアケア商品の中に、ペットボトルをリサイクルした再生プラスチックを95%使用したパッケージの説明があった。

あとは今つかっている、持っているプラ製品をなるべく長くつかうことか。Ziplocなどの食品保存袋も、1回つかうごとに捨てるのではなく、洗って何度も使用するとか。面倒だったり、不便があったりしても、日常の中でできることはある。そういう一つ一つのことをどのように判断し、どう行動するか、ということが、その人の生き方全体につながっている時代、それが今という時代なのかな、と思う。

Title photo by Rob Sinclair(CC BY-SA 2.0)

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