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H a p p a n o U p d a t e s - No.270

2025年最初の葉っぱの坑夫の更新情報です。
・【新世代作家が描く小説のいま】From Africa!!!
 短編小説(第8回)
・最近思ったこと、考えたこと
・新プロジェクト

Photo by Rod Waddington(エチオピア、CC BY-SA 2.0)

□【新世代作家が描く小説のいま】From Africa!!!
アフリカ短編小説集 もくじ  巻頭エッセイ(ニイ・パークス)

8. 次の日曜日で5年 イドゥザ・ルフミョ(ケニア)

アフリカの作家による短編小説集、最後の作品です。
主人公ピリの髪にまつわる奇妙な物語。干ばつが続くケニアのある村で、ピリの髪が「神扱い」されるという。なぜかといえば、特別な髪をもつ女性は、雨をもたらす力があるという迷信があるから。ピリは言う、「髪がどれだけ巻いて、どれだけ重いか、この土地の期待がそこにのしかかる」

ピリのドレッドの髪は、雨乞い作用とは別に、この村に住むムズング(白人)の男を魅了します。ヨーロッパのどこかからやって来た「乾ききって死んでるみたいな」男、黒髪ドレッド・フェチ。そして金持ち。この男のおかげでピリの両親は水を手にし、歩くのに苦労するほど太り大金持ちになる。しかしピリがある行動を起こすまでは、雨は一滴も降らないまま……… 

アフリカの人々のドレッドはアート作品のように見えることがあります。特別な性質をもつ彼らの髪を、日常生活に支障のないよう巧みに処理する方法なのか。『Hair Story』という本によると、西アフリカでは15世紀初頭、髪型は一つの言語であり、伝達機能を持っていたそうです。

次の日曜日で5年』はアフリカの古層にある風習、因習、迷信が、現代アフリカの日常と違和感なく共存しているように見える物語でした。

□ 最近思ったこと、考えたこと(happano journal)

01.16/25 手話と敬語とパンスカ語

01.30/25 ヒトがヒトを好きになる:定型のない世界・小説『ヒカリ文集』

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年末年始、無料・各国読み物10選! (12.30/24)

敬語には少なからず興味がありました。日本語における敬語の使われた方は、人と人の関係や社会のありよう、その他もろもろ微妙な心理を表すメディアとして機能しているのではないか、という観点から。

一方、手話にはさほど興味をもったことはなかったのですが、今回、手話には日本語にある「いわゆる敬語表現」がないと知ったことで、俄然、好奇心が湧き、この二つが結びつきました。

手話について深く知るのに、小説『デフ・ヴォイス』 (丸山 正樹著・創元推理文庫)及び、その後続シリーズはとても役に立ちました。推理小説なのですが、ろう者が置かれている状況がいかに過酷か、丁寧に解説されています。同時に、日本社会の歪みがあらわに表現されてもいます。


新プロジェクト
*現在準備中の新プロジェクト三つ、どれもほぼ順調に進んでいます。公開は2月ではなく、おそらく3月になるかな、と。


Web Press 葉っぱの坑夫/エディター大黒和恵/editor@happano.org


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