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違法建築と新築信仰 #2
戸建て購入のロードマップを手に、しかし、、、。
面白い戸建てに住みたい――そんなささやかな希望を叶えるのが、こんなにも難しいとは。
SUUMOを眺めて楽しんでいただけの僕らは、まだその現実を知らなかった。
僕らの最初の手がかり・足がかりは、散歩、不動産サイト、不動産情報誌、そして中古物件の選び方を指南する書籍だけ。「中古戸建て4,000万円 東京郊外」あたりに希望を絞り、出力された検索結果から、スタジオが作れそうな物件はどれだろう、面白そうな建物はどれだろうと探りを入れていった。
また、中古戸建てを探すにあたり、建材商社に勤めていた父にどんな所を気をつけるべきか相談したところ、
「屋根の材質や劣化度合い、ベランダの位置とベランダ床面の材質には気をつけろ。」
「雨漏れなんてしたら建材の劣化やカビでアレルギーが発症したりもする。安く買おうと思って横着した結果、プラス1000万の修繕費が後から必要になるなんて話はよくある。」
「せっかく新しく買った家電の故障にもつながる可能性もある。とにかく水に対しては敏感になれ。」
という有り難い教えを貰った。
ある程度目星がついたら、不動産屋に「屋根とベランダの詳細」を問い合わせ、水関係のトラブルがないか確認。その結果、大丈夫そうだと判断した物件の内見申し込みを行った。これが僕らにとって、人生初の購入物件への内見、”ファースト内見物件”となる。
ちなみに、戸建て購入までの道のりはなかなか複雑でハードルが高いのですが、全体のロードマップを把握していれば、作戦が立てやすくなります。
我々は中古物件買い方指南書籍によって、そのロードマップを事前に獲得していました。
=====戸建て購入までのロードマップ=====
1️⃣物件探し
・希望条件を整理し、物件情報を収集する。
・不動産サイトや仲介業者を利用して、条件に合った物件を探す。
2️⃣内見の申し込み
・気になる物件が見つかったら、内見の申し込みを行う。
・不動産業者に連絡し、内見の日程を調整する。
3️⃣内見
・実際に物件を訪れ、状態や周辺環境を確認する。
・内見時には、物件の詳細や仕様について質問することが重要。
4️⃣購入申込
・内見後、購入を決定したら、購入申込書を提出する。
・申込金を支払うことが一般的。
5️⃣契約の準備
・売買契約書の内容を確認し、必要書類を準備する。
・住宅ローンの事前審査を受ける。
6️⃣売買契約の締結
・売主と買主の間で売買契約を締結する。
・契約時に手付金を支払う。
7️⃣住宅ローンの本審査
・契約後、住宅ローンの本審査を受ける。
・審査が通れば、融資の手続きに進む。
8️⃣引き渡し準備
・引き渡し日を決定し、必要な手続きを進める。
・登記の準備や引っ越しの手配を行う。
9️⃣引き渡し
・物件の引き渡しを受ける。
・鍵の受け取りや最終確認を行う。
🍀現在のこの話では、上記プロセスの中の2️⃣内見の申し込みに居ることになります。
物件情報サイトによると、ファースト内見物件は、希望していた4,000万円以内で、築年数はあるものの広さが魅力的だった。1階は部屋数が多く、2階には広く開けた部屋があり、そこをスタジオ化できると考え、期待を膨らませながら現地へ向かった。
玄関に足を踏み入れると、丁寧かつちょっと変わった作りで、デザインへのこだわりが一目で伝わってくる。1階の各部屋を巡ると、備え付けの木製本棚などから、前オーナーの文化的な暮らしぶりがうかがえ、妻も僕も胸が高鳴った。
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そして肝腎要の2階へ。
約20帖の大部屋には、ドアや窓、収納の細部に至るまでオーナーの趣味の良さが光り、豊かなスタジオ生活が簡単に想像できる。
「最初から大当たりを引いたのでは?!穴場物件!?僕ら天才!?」
と興奮しながら、不動産屋に購入の可能性があることを伝えた。
しかし、そこで返ってきた言葉に、僕ら夫婦が、いかに戸建て住宅について無知蒙昧の、天才からは程遠い素人集団であるか、ということを思い知らされた。
「このお家、住宅ローンが使えない可能性があります。」
我らの応答は
「ファッ!?」である。
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住宅ローン債務者に問題があって借りられないケースは素人集団の僕らでも想定していたが、家側の理由でローンが組めないという事実を、このとき初めて知ったのだった。