一番守らなければならないもの
子供たちも少しずつ成長し、家の掃除や洗濯ものの取り込み、お風呂の準備など、少しずつですが、家事を分担してもらうようになりました。とは言え、無理に手伝わせて、イヤイヤされるのも嫌なので、強制はしていませんでした。
その日はパート主婦と感情的なやり取りがあったため、私も気持ちが荒んでいました。そんな時に限って、家に帰ったら電気もついていなくて、お風呂の掃除もまだ。その上ベランダには洗濯物が干しっぱなしでした。
子ども達にも事情があり、帰宅が遅かった、宿題が終わらないなどの理由で、家事のお手伝いができていない日があります。いつもなら気にならないことなのですが、その日はどうしても感情を抑えきれず、子ども達にキツく当たってしまいました。
ふと気が付くと、娘は床に突っ伏すように泣き崩れていて、息子は体育座りで膝を抱えるようにして涙を流していました。
娘や息子にとっては、私は母親でもあり、父親でもあります。その私をこんなに怒らせてしまったことに、とても責任を感じている、そんな様子でした。
ちょうどその時、アパートの玄関先に、夕飯のおかずを抱えた女将さんが現れました。女将さんは私達を見るなり、何があったのかを瞬時に悟ったようです。
「子ども達はアンタが一番大切にしなきゃならない宝物だろ!何やってんの!」私を一括する女将さんを前にして、私は泣き崩れました。
お仕事であった嫌なことを家まで持ち帰ってしまい、大切な大切な子ども達に感情をぶつけるなんて・・・私は何てことをしてしまったのでしょう。
その日、私達は気まずい雰囲気のまま夕飯を済ませ、早めにお布団に入りました。
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