ツーブロックゴリラ対策と上司が勧誘してくる不動産投資の断り方
最近の円安ドル高でドル建て生命保険を売りつけるツーブロックゴリラ(通称プ〇ゴリ)が勢いを増しているのではないかと思い、今回の記事を書いていきます。四苦八苦Drのnote でもプ〇ゴリに騙されるなと警鐘を鳴らされています。
1.院外からPHSに電話をかけてくる系は何も話さずに切れ
研修医や専攻医の先生が院内業務に慣れようとしているこの時期に院内PHSに電話をかけてきます。
そもそも研修医に他院の医師から直接電話をかけることはまずありません。たすき掛けの病院での連絡事項や苦情であっても上を通して伝わります。
専攻医が働いているような病院は普通医療連携がおりますので紹介したい患者の場合はまずバイタルなどの医療的な情報から伝わります。医師同士で直接話したいなどの場合ですら患者情報から伝わります。いきなり〇〇病院の何とか先生から電話です、〇〇大学から連絡です(ホームページに載っている出身大学を調べていることが多い)は悪徳業者です。
PHSにかかってくる節税を勧める電話はまともに会話せず切るべきです。余計な情報を与えないことが肝要です。反社半グレや無敵の人もおり対応すること自体が危険だと考えるからです。もし本当ならどうするんだ、と心配される方もいるかもしれませんが、医師なら迷惑電話が多いことはわかっていますので本物でも切ってOKです。筆者の経験例だと、つい先ほどまで医局にいた上司を名乗る電話取次に対して怪しい業者だと決めつけて取次を断り後日本物だったと発覚したことがありましたが何も問題になりませんでした。
少ないn数で全体を語ってしまい恐縮ですが、電話を取り次いでくる事務員の性別もポイントです。女性であれば、怪しい電話だけど取り次ぐか医師に判断を仰いでいる感じでこちらの返答を待ってくれます。
一方名前すら名乗らない早口の男性事務はグルなのか、とにかく取り次いでもらおうとします。当院の先生や先輩の医師もお世話になっている業者さんですなどと言われたら100%詐欺電話です。怪しい業者なので取り次がないでくださいと言ってもとにかく必死に取り次ごうとするところがグルを疑う理由です。
2.業者の中身
学歴のない男性が稼げるのは不動産営業やビッグモーターのような悪質な会社だけなのが世間の現実です。
上場企業やまともな不動産会社は反社チェックをしていますが、引っかかる応募者は意外といるということを実際に反社チェックをしている知人から聞いております。ましてや他病院に実在する医師を名乗るなどの道義的にも問題かつ違法行為(医師法第18条 医師免許がないと医師を名乗れません)をしている業者は言わずもがなです。
遠路はるばる業者を来させてご飯を奢らせ結局断ってやったぜというポストも見かけましたが、半グレや失うもののない無敵の人もおり近づくこと自体が危険です。筆者の同期にも奢らせて断ってやったぜとイキり散らしていた痛い奴がおりましたが数か月後プ〇ゴリに喰われていました。自分から金を奪おうとしてくる奴と食事に行くのは危なすぎます。リスク管理が全くできていません。そもそも奢ってもらったところでファミレスなんて安いですし、その時間女とデートなりなんなり遊んでいた方がよほど有意義です。
ミイラ取りがミイラになることは他にもあり、不動産投資も同じですが危ないものや素人が手を出してはいけないものにはとにかく近づかないことが重要です。
さらに言うと対応する医者がいるから迷惑電話が止まらないのです。相手にする医師は他のまともな医師に迷惑をかけているとも言えます。
3.勧誘してくる上司は責任者(院長や理事長)に報告すべき
普通の会社で廊下に立っている保険のお姉さんは許可を得ていることが多いようですが、プ〇ゴリは許可を得ていません。施設の管理者(院長など)が許可をしているのなら自由に営業してもいいと思いますが、院内で無許可で説明会を開くなど舐められています。
筆者は上の医師に勧誘された際、実際に院長に確認を取りました。院長の答えは当然許可などするはずがないというものでした。マルチ商法はクビにする病院もありますので、勧誘されたらしかるべき責任者に一報しましょう。
勧誘した医師に「これって会社側が勧誘しろと言っているんですか?」と聞いたところ「それがなければいい会社なんだけどね」と認めておりました。いい会社なわけがないだろ。
4.不動産ワンルームマンション投資を勧められたら
Xに投稿されたポストで、医師になって3年目初めての外勤先で一通り説明し終わった後に上級医から不動産ワンルーム投資を持ち掛けられて断れず買ってしまったという内容がありました。残念ながら元ポストは削除されているのか見つからずここでは画像を出すことが出来ません。
こうやって被害を報告してくる方はとても貴重です。普通はプライドもありますし、世間から情弱だと誹謗中傷される可能性もあるのに正直に申告し医師業界に警鐘を鳴らしてくれる方には感謝です。
まず不動産投資で年利6%だとか言っていますが、例えそれが本当だとしてもS&P500の過去リターンに大きく負けています。その6%の前提すら固定資産税や毎年増え続ける修繕積立金を含まなかったりで嘘なのですが。
不動産Gメン滝島は批判もありますが「でも不動産Gメン滝島がこう言ってましたよ?」と上司に言いやすくなったという点においてとても価値があると思います。医師だけではなく社会人なら一度見ておいても損はないでしょう。
5.おまけ
個人の意見ですが、NISAであっても投資の話なんて宗教みたいなものだから他人にすべきではないと思います。新NISAが始まる前はネット上で全世界株vs米国株論争も勃発していました。個人個人の最適解や好みが異なり、どうしても意見が割れます。
そして長期で見れば右肩上がりのインデックス投資であっても元本割れのリスクはありますし暴落も起こりえます。暴落時の責任は取れませんし、それにより人間関係が悪化する可能性もあります。
筆者は医師としては下の下ですが、入院など人生に関わる大きな治療となる場合は常にその治療のリスクを説明していました。論文で合併症の確率が示されているときは具体的な数字を明示して話します。手術をするのであれば手術をしない場合はどうなるのか、他の治療法はどういうものがあるのか必ず説明しカルテに記載していました。
巷にあふれる医学部再受験論にも否定的だと思われるかもしれませんがリスクを書いているのはこのためです。再受験しない場合の人生と比較してメリット/デメリットが必ずあるはずです。断っておきますが、筆者は若者の挑戦は基本的に応援する立場です。
再受験を煽り自分が経営する学習塾や情報商材に誘導するのはどうかと思います。それがビジネスだと言われたらそうでしょうが、医師としてはどうなのでしょうか。ベネフィットがリスクを上回るときに治療が出来るはずですしそういう教育を受けてきたのではないでしょうか。医師として高給がもらえるのはそれを前提としていたはずです。
稼ぐためには仕方ない?圧倒的な参入障壁がある医師で稼げないのであれば他の業界ではもっと稼げませんよ。