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企業は女性の「不妊」とどう向き合うべきか

2022年4月から、不妊治療が保険適用されるようになりました。
このニュースは、妊娠を望む女性としてはとても嬉しい話ではないでしょうか。
今まで妊娠を我慢していた女性も、これを機に妊娠しやすい環境ができるといいなと思います。
しかし、同時に考えなければいけないと思うのが、女性の妊娠を、企業がどう向き合うか、という問題。
「働き方」や「人材のリソース」問題です。

人材のリソース問題

最近は減った気がしますが、少し前は「出産でいなくなると困るから、子供は産まないでくれ」みたいな企業が少なからずありました。

女性が妊娠し、出産に至る場合、「産前産後休暇」を取得しなければなりません。
産前6週間以内、産後8週間以内が義務付けられています。
産後8週間以降は、本人が望めば「育児休暇」を取得することもできます。
つまり、最低約3ヶ月、最長数年にわたって「仕事を休む」必要があります。
企業からしたら、その間働き手がいなくなるのは「困る」わけです。
最近は時代の流れ的にも「それは困るから出産やめてくれ」と言うケースは少ないとは思いますが、困ることに間違いはありません。

産休育休とは異なる問題点

しかし実は、不妊治療は、育休産休で人手がいなくて困る以上に「厄介」な問題なのです。
(私も出産している身なので、あえてこういう表現をしています。)

なぜか。
育休や産休は、ある程度事前に把握することができます。
会社にいつ報告するかは人それぞれですが、安定期(妊娠5,6ヶ月)を迎えると、お腹も大きくなりますし、「出産します」という報告があるので、その人がいなくなるまでに数ヶ月の猶予があります。
つまり、その数ヶ月の間に別の人材を確保することができます。

しかし、不妊治療はどうでしょう。
不妊治療にもステップが色々あるので、一概には言えませんが、生理が来たら病院に行く。
排卵日近くになったら病院に行く。
様子をみてまた病院に行く。
のような、「事前に予定がたてられない」ということが発生するのです。

しかも、月に1回くらいだったらいいのでしょうが、月に4,5回病院に行く人も出てくる可能性があります。(人によります)
つまり「明日病院に行かないといけない」という報告になるわけです。

数カ月後に出産します。という報告とはワケが違うのです。

この「明日休みます」×月5回程度 に企業がどれだけ耐えられるのか、というお話です。

しかも、会社に正直に「不妊治療をしています」というかどうかもまた別の問題です。
妊娠ってなかなかナイーブの話なので「妊活してます」「不妊治療しています」ってなかなか聞かないですよね?
なので、会社からしたら「やたらよく休む人」と思われる可能性も十分にあります。

また、不妊治療をするということは、なかなかタフなことです。
人によっては数年にわたって不妊治療を続ける人もいます。なかなかメンタルにも来ます。
「なかなかできない」というメンタルと合わせて「周りに迷惑をかけてしまう」というメンタル。

ダブルパンチですね。

まとめ

不妊治療は、やった人にしか大変さはわかりません。
この記事を読んでも、なんで月に5回も病院に行くの?と思う人もいるでしょう。
しかし、保険適用されたということは、社会全体でサポートする必要がある、ということです。
働き方改革で、働きやすい環境が徐々に整ってきていると思いますが、周りを見ていても、まだまだだなと思う会社もあります。
日本は、【どこかの会社がまず率先してやる→テレビなどで取り上げられる→他の会社も取り入れる】みたいな風潮があるので、不妊治療をサポートできる社会は数年かかるのかもしれないなんて思ったりします。

しかし、妊娠を望む女性が一人でも妊娠しやすい環境ができるといいなと願います。


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