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洗濯を少しだけさぼった日曜日
昨日の目覚めは良かった。
仰向けで眠る私の胸に猫がちょこんと乗ってきて、ごろごろごろごろ喉を鳴らしながら、じっと私の顔を覗き込んできた。
時計を見ると10時前。
よく寝た。
ひとりで過ごす日曜日だし、と目覚ましもかけずに好きなだけ二度寝した。
猫におはようと挨拶すると、やれやれという具合にふわっとあくびをして伸びた。
朝ごはんでも昼ごはんでもない時間。
バタートーストを焼いて、ウインナーとキウイとオレンジ、ヨーグルトを1枚のお皿にぱぱっと乗せる。
簡単なワンプレートブランチとコーヒーをゆっくりと味わいながら、夫のいない日曜日をどう過ごそうか考えた。
今日をどう過ごすか、決めなくても良いのではないかとふとひらめき、気ままに過ごしてみることにした。
いつもは何事も計画を立ててから動きたい私。
たまにはぼんやり適当に過ごすのも悪くないかもしれない。
毎朝欠かさず行っている洗濯を、後でやろうとさぼってみた。
量が少ないのもあったけど、そういう気分だったのだ。
手帳を開いて朝の日課にしている1行日記を書き終えると、まだ何か書きたい気分になったので祖母に手紙を書くことにした。
時々送っている実家の祖母への手紙。
無地のレターセットにチューリップのシールを貼って可愛らしくしてみた。
花が大好きな祖母だからきっと喜んでくれるだろう。
冬はまだまだ長いけれど、ほんの少しでも春を感じてくれたら良い。
祖母の庭の花たちは雪の下で眠っている頃だろうか。
毎年スノードロップが咲くのが早くて、楚々とした白い花びらを開いて春を告げてくれていた。
今年も咲いたよという祖母からの返事を楽しみにうきうきと春を待ちたい。
最近のこと、春が待ち遠しいこと、私の好きな花のことなどを書いて、結びに祖母の健康と穏やかな日々を祈った。
手紙を書き終えて少しぼんやりしていたら、あっという間に14時を回っていた。
お昼ごはんは食べずにブランチで済ませたので小腹が空いて、おやつにスコーンを焼くことにした。
普段から、まるでカップ麺を作るような気軽さでお菓子を作ってしまう。
食べたい、よし作ろう、と思った直後には材料を計り始めている。
作り慣れた自分のレシピでさくさくと生地を作りオーブンに預ける。
ふっくらと腹割れしたスコーンを見ると、いつも良い気分になる。
紅茶を淹れて、手作りのいちごジャムと、クロテッドクリームがないので代わりにクリームチーズをテーブルに並べた。
スコーンを半分に割るとふわりと湯気が立ち昇る。
そこにクリームチーズを塗って、少しとろけたところに果肉の大きないちごジャムをたっぷり乗せた。
焼きたてのスコーンを頬張る幸せは、家の外ではなかなか味わえないだろう。
私は焼きたてのマフィンやアップルパイのおいしさも知っている。
お菓子作りを愛する理由の一つでもある。
紅茶をゆっくりと啜りながら、日曜日の日が沈んでいくのを惜しく思った。
シャワーを浴びたら洗濯機と目があったので、そろそろ回すかとスイッチを押した。
18時。
もうすぐ夫が帰って来る。
明日は月曜日。
また私の一週間が動き出す。
私の日々は多分人よりゆっくりだけど、それでも私なりに考えて、工夫してやっている。
でも、焦らなくてもちゃんと朝は来るし、時々洗濯を夜に回す日があっても良い。
日曜日が緩やかに閉じていくなかで、パジャマやタオルを干しながら、大丈夫という言葉を胸の奥で反芻していた。