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カレーですよ4326(千葉 安房勝山大六海岸 3103croquette/サンイチゼロサン コロッケ)穏やか。

どうにも原稿に行き詰まってしまって逃げ出す時、ちょっと頭の整理がつかない時。ここを行き先に選んだりすることがある。
内房、安房勝山。急げば部屋から1時間。ゆっくり行けば3時間と言う絶妙な位置にあるコロッケ屋さんに逃げる。

**カレーですよ。 **

そのコロッケ屋さんは海岸縁に建つ。

平家の、元漁師の番小屋だと言うその建物をこの店のオーナーの二人が自分たちで改装をしたのだそうだ。少し前の台風で屋根が飛んでしまい、大変そうでちょっと気がかりなのだが、二人は至って元気で前向きに営業をしている。

ここが実に素敵な隠れ家で、くるたびに胸躍るロケーションと心地の良いインテリアセンス。

それを想像するだけでずいぶん気持ちが落ち着くのだ。そして限界を越えた心持ちの時など、その想像をしながら東京湾を渡るトンネルを渡ってくる。
いまの時分はストーブが暖かく燃えていてますます気持ちも心も穏やかになるのだ。

**「3103croquette」 **

という。

コロッケ、コロッケと言っているが、実はワンプレートにまとまったインド料理も用意される。旦那様がコロッケを、奥様がカレーを担当している。

この日のカレープレートもとても美味しい良いものだった。


かぼちゃと豆乳カレー

甘みとふくよかさにうわっと圧倒される、なんといおうか、かわいい味のカレー。意外とカボチャがねばつかなくてタマネギからのねばりの方を感じるのが面白い。スパイスの甘い香りの調整と食材の甘みとが重なりとても楽しい。良いカレーだ。


大根チキンカレー

大根とチキンという組み合わせ。このカレーはインド料理のお作法で作られており、スパイスもたくさん使われている刺激ある料理であるのだが、なぜかどこか和のもの、和食の煮物を思い出させるニュアンスを感じてしまう。何度食べてもそう感じてしまう自分の舌に可笑しさを感じてうふふ、と声に出る。おいしい。


豆のスープ

とろりとした豆の柔らかい舌触りも心地いい。豆の風味が強く出て、ああ、豆というのはいいものだな、と改めて思い出させてくれる。これはいくらでも飲める良いもの。


コロッケ

ねっとりとくる里芋の香りと旨味と食感。ちょっとソースをつけるのがもったいなくて躊躇する良いお味。


菜花とじゃがいものスパイス炒め

春の香、という言葉にぴったりな青々しい香りと苦味がとてもいい。強すぎないバランスでスパイスが使われていて春の食材が生かされているのがわかる。

そういえば、ここにくると携帯電話のSNSをあまり見ない。窓の外の海を眺めたり、ストーブの火を見たり。室内の心和むアート作品にも知らぬ間に目が行っている。

気がつかなかったが、そういうところ、そう言う時間。そういうものも気づかずに求めてきていたのかもしれない。

ゆっくりと時間が過ぎてゆく。

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