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カレーですよ4298(駿河台下 お茶の水、大勝軒)カレーグランプリレジェンド。

とんでもないものを食べてしまった。
ラーメン屋で食べてしまった。

カレーですよ。

大勝軒とくればラーメンの神様、故山岸一雄氏。そして、山岸マスターのスタイルを守り、マスターとの約束として復刻メニューの定番化を進める「お茶の水、大勝軒」の店主、田内川さん。

その大勝軒クラシックスともいえる復刻シリーズの「復刻版ライスカレー」をなんと神田カレーグランプリにぶつけ、見事優勝を掻っ攫ったのが2017年。カレー専門店ではない店に初出場2016年で準優勝、翌年優勝をさらわれて神田界隈、ざわついたであろうことは想像に難くない。

そんな「お茶の水、大勝軒」は2019年の横須賀カレーフェスティバルでも大暴れ。カレー焼きそば対決でその冠をむしりとり、王冠を提げて「神田カレーグランプリ2019」に帰ってきた。
柱に決めたメニューは

「復刻版焼肉ライスカレー」

うーん、これは手強い。なんということだ。
あの優しくもコク深いお茶の水、大勝軒のライスカレーに焼肉を合体。なんという恐ろしいメニューであろうか。

もともとの復刻版ライスカレー。家庭的なアプローチのカレーライスなのだが絶対に家庭では再現できないもの。
それもそのはずあの「お茶の水、大勝軒」のスープが土台となって作られている。これでは叶わない。

カレーライスというもの。未だ「内食」として考える人が多い。カレーはうちで食べるもの。そんな多くの人の当たり前の延長に、大きく離れてこのカレーの味が存在する。家庭風なのだが絶対に辿りつくことのできぬ味。こんな味を求めない人が少ないわけないのだ。

そして復刻版ライスカレーもそうなのだが、この焼肉もスペシャルなもので、実は復刻版シリーズのラインナップ。まだ店頭には出ていない。お茶の水、大勝軒の自家製ラーメン醤油を使って香ばしく仕上げてある。

そんな中、神田カレーグランプリの顧客層に注目するのは面白い。

神田カレーグランプリへ来場する客層。いい意味で、カレーの色に染まらぬ普通のお客が多いのだ。来場するカレーマニアはごく少数。それというのも同時開催されている、むしろこれの歴史と規模の方が長く大きいのだが、「神田古書市」目当ての人々やそろそろシーズンの声聞こえるスノーボーダー、スキーヤーなども多く集まる神田駿河台。そんな場所でジャッジを求められればこの復刻版ライスカレーの強さはますます力漲るであろうこと、想像に難くない。

そしてもう一つの要素。今年は戦後最大ともいえるカレーブーム真っ只中という声が聞かれる。
誰もがカレーを食べ歩き、写真を撮り、カレーを語る。そんな時代は大阪スパイスカレーやアジアエスニックのカレーにとっては絶好の好機。さあ、どう転ぶか。まったく予想がつかなかった。

そしてはじまった「神田カレーグランプリ2019」。

当然ながらそんなところにただ漫然と出店するわけがない「お茶の水、大勝軒」。

オペレーションを磨き混み、回転を速くして捌ける客数を物理的にあげる対策。神田カレーグランプリをはじめとする顧客投票型のイベントでは当たり前だが必須の取り組み。

そしてもう一つの秘策、神田カレーグランプリのハードル高いスタンプラリーをこなしてきた神田カレーマイスターという人々。彼らも取り込んでしまおうと、マイスターの証明、マイスターカードを提示すると神田カレーグランプリでのお茶の水、大勝軒のブースでは100円のエクストラチャージで特別な、今回のために作られたお茶の水、大勝軒完全オリジナルのキーマカレーが食べられるというのだ。マイスターのみの特権。
この二本柱で対策は完璧である。

もともとの優勝経験があるメニュー、オペレーション、スペシャルメニューの訴求と渇望感を煽る提示。この2段3段構えの体制の圧倒感は素晴らしい。

そして、神田カレーグランプリ2019の数日前。
店主、田内川さんがわたしにそのスペシャルなキーマカレーをいただくチャンスを作ってくださった。
これがそうだ。

三重のリングが層を成すこのビジュアル。おや、一番端の層は、これはドライスパイスか。

マスタードシードやコリアンダーシード、ナッツなどが見て取れる。そんな中にガーリックチップが入っておりなるほど、ラーメン店のロジックから生み出されていると気がつく。流行りの大阪スパイスカレーからのインスパイアか、と聞けばそれは違う、と田内川さん。
そうではなく、ラーメンで言うところの味変をやってみたかったのだそう。むしろドライスパイスを散らす流行りは知らなかったのだとか。

ラーメン脳から生み出された、違う生まれと育ちを歩んだスパイスカレーとも言える。大変におもしろい、刺激的なカレーだ。

そして本番の2日間を戦い抜いての結果。

準優勝とマイスター賞の2冠を一度に手に入れてしまった。それはつまり、カレーマニアにも、普通の舌を持つカレー好きも、両方の範囲を一網打尽にしてしまったということ。これはちょっととんでもない結果だ。

そして。

田内川さんからのプレゼント。
マイスターたちだけが味わうことができたあのキーマカレー。正式名を「ドライキーマカレー」とし、予価1200円で12月1日より数量限定提供の予定を決めたそうだ。

実は「お茶の水、大勝軒」は来年、ビルの建て替えで今の店が閉店となる。しかしお茶の水にはnextもあるし「お茶の水、大勝軒」自体も移転、オープンしてくれることと思っている。とはいえ一旦店を閉めることとなり、そこでここまでお世話になってきたお茶の水界隈の人たちにお礼を差し上げたい。その思いで今回「神田カレーグランプリ2019」への出場を決めたそうだ。「ドライキーマカレー」も、その置き土産。

そう、2016年の出場も「お茶の水、大勝軒」の10周年で、ご愛顧の感謝としてのチャレンジであったそう。
お客さんへの恩返しとしてのカレーグランプリへの参加。

横須賀カレーフェスティバルに出場したのも山岸マスターのカレーのルーツに沿うものだったし、とある場所への出店を現在模索しているのもやはり山岸マスターへの想いから。

意志の力、想いある人の店は、底力が違うと感嘆した。


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