埼玉はウクライナ 日本のシェフチェンコ 富士見 渋谷定輔
【埼玉はウクライナ 日本のシェフチェンコ1】
シェフチェンコが日本に到来する…
シェフチェンコのことばは、すでに遠くウクライナの限界を越え…
…すべての民族に向けられた、わが人民の声であり、真理の声であり、友愛と同胞愛の声である …
オレシゴ・ゴンチャール(ウクライナ作家同盟幹部会議長)1962
…
農奴解放のために十年の流刑に抗して
詩と絵をかきつつたたかった
ウクライナの農奴出身の詩人
タラス・シェフチェンコの生誕一五〇年を記念し
かれと日本のきょうだいに
この貧しい詩集を
ふたたびささげる…
渋谷定輔『定本 野良に叫ぶ』1963(初版1926)
…
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渋谷定輔の出現は日本の農民詩を始発の地点に立たせた画期的な事件であり、
農民自身の手で書きとめられたその詩群は、
出来不出来のいかんにかかわらず被圧迫階級の生活の内部から引き出され、
詩壇にわだかまるさまざまの作法とかかわりなく存在し得たために
かえって既成詩人たちに強い衝撃をあたえた…
松永 伍一「農民詩史における『野良に叫ぶ』の位置 」1963
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富士見市立図書館 渋谷定輔文庫
https://www.lib.fujimi.saitama.jp/shibuya/
【埼玉はウクライナ 日本のシェフチェンコ2】
「ぼくは『女工哀史』で女工の生活を記録するから、君は『農民哀史』というようなもので、農民の生活を記録して、女工を生み出す農民生活の実態を示してくれないか。
詩の読者は少数だが、散文ならひろい読者に訴えることができると思う.……」
…
「ぼくは『農民哀史』を必ず書く……」
と、そのとき彼に約束したのです…
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1925年5月4日
私は雨の日に田仕事に出るのは、気持ちよく思っていない。しかし田に出る以外に仕事はなかった…
…賀川豊彦の『死線を越えて』の中の鶴子の言葉を思い出す…
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5月6日
小原十三司牧師と一緒になる…同じ汽車に乗った…
小原牧師は風呂敷から聖書を取り出して読み、
私は読みかけの『貧農を訴う』を読んだ…
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8月20日
詩集原稿の整理が全部終った…
…親友細井和喜蔵君の死が出ている
…彼の死は婦人労働者解放戦線における最大の損失だ…
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8月25日
うなるような豪雨がやってきた…
いよいよこれは本物だ…
告別式へ行くことを思い切る。
細井君!許してくれ!
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11月11日
青山学院の学生が起したという「軍事教育反対」の記事(朝日新聞)のほうに共感…
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12月1日
朝鮮災害慰問金の募金をやっている…淀橋のホーリネス教会に届ける…
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1926年1月12日
これは私の反軍国主義思想の勝利だといって過言ではあるまい…
「即日帰郷命令書」を取り出して見せると…母ははじめて微笑を見せた…
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7月4日
私の詩集『野良に叫ぶ』が店頭にたくさん並んでいる…
…
11月29日
私はアナーキストではない。またマルキストでもない。
それらは一つの思想原理である。
私は一人の自主・自治・自律の農民として、
その中から必要な養分を吸収して成長しているのだ…
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富士見市立図書館 渋谷定輔文庫
https://www.lib.fujimi.saitama.jp/shibuya/
【埼玉はウクライナ 日本のシェフチェンコ3】
文化会館キラリ⭐︎ふじみが、2002年、平田オリザさん監督のもとスタート(11年から市の文化芸術アドバイザー)。いまや国内の注目の文化、演劇拠点
富士見市は県内でも最初期12年に文化芸術振興条例、基本計画を推進。市民主体の組織化を目指す
近くに図書館、運動公園、2015年にららぽーともオープン
【埼玉はウクライナ 日本のシェフチェンコ4】
「富士見町は、減少する農業人口にたいして非農業人口が、急激に増加している都市近郊農村の一典型である…
…ベッド・タウン化したこの町の人口は、今後いよいよ増大の一途を辿ることは明らかである。
同時に農村部においては、 いま実施されんとしつつある新都市計画法との対決を迫られているのである。
このとき農村地帯の人びとは、自らの主体性と、町民の連帯をいかに創造してゆくべきか、それこそが一九七〇年代の新しい課題…」
渋谷定輔『農民哀史』南畑村について、1970
…
富士見東部は、古来から
古来荒川、新河岸川の水流に恵まれ開拓が進みつつ、激流とのたたかい
難波田(なんばた)
と呼ばれる
近世には
南畑(なんばた)
と改名
近代には小作争議が起こり
この中で
渋谷定輔が成長
戦後は農地改革
都市化が進行
1972年市制開始。
今年50週年でインパルス板倉がCM起用
【埼玉はウクライナ 日本のシェフチェンコ5】
田園生活の賛美者たちよ
自然の讃美者たちよ
いったい田園詩的生活とか自然美とかいうやつはどんなんだい
悲痛なおれたち農民の生活を知っているのかい
夜から夜まで働きつづけ
なお食うことに不安なおれたちには
田園の美も自然の美もまるで無縁なのだ
…
初夏の夕ぐれ
風もないのに
ひらひらとキリの花が散った
だが忙しいおれには
詩人のような
美しいセンチメンタルな詩は出てこない
…
おれは大樹のことく
じイっと立って動かない
新しき生産者
百姓渋谷定輔だ!
(渋谷定輔『野良に叫ぶ』)
富士見市立図書館 渋谷定輔文庫
https://www.lib.fujimi.saitama.jp/shibuya/
ウクライナの国民的詩人・画家のシェフチェンコ関連本絵画展示中⭐︎
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