アトツギ甲子園の感想の雑記②

前回の記事の続きです。

 第3回アトツギ甲子園の関東大会では、ありがたいことに評価をいただき、決勝進出が決まりました。自分なりにしっかり準備をして望んだピッチでしたが、実際に経験してみて、大きめの課題も感じていました。
つまり、決勝までにやるべきこと、やれることがたくさんある。

決勝大会への準備、メンタリング

私の決勝に向けた準備は、決勝の日程に入ったスケジュールを調整するところから始まりました。

なんとか調整して、運営スタッフの方からの連絡を見ると、決勝進出者には、ビジネスモデルのブラッシュアップのためのメンターによるメンタリングがあるとの連絡があり、「メンタリングってなにするんだろう?」と思いながら過ごしていました。
その後、私のメンターは錦城護謨の太田さんという方になったとの連絡があり、この日私は初めて"ゴム"の漢字を知りました。
実際にメンタリングが始まると、「あなたのピッチがどんな流れか教えて」というところから始まり、何ヶ所か「何が言いたいかわからないし調整した方が良いよね」などの意見をもらい、(確かに、ここは変える余地あるか。)とか(確かにそうだけどピッチの目的としてそこは削れないんだよなぁ。)とか、(とはいえ一理あるし後で再考する時に、参考にしよう。)など、腹落ちしているうちに終わっていました。あっという間でしたが、脳内は少し整理された気がします。
たしかメンタリングの時に言われたと思うのですが、メンタリングで得られるものはあくまでヒントです。自分が何を伝えたいかが明確で、どのような手法で伝えようとしているか、それ次第で、メンタリングから得られるものは変わります。いま考えれば当然なのですが、私はメンタリングのことを何も知らずに参加したため、メンタリングを受けている途中で知りました。皆さんは「事前に調べろよ」と感じたかもしれませんが、いま書いていて私もそう感じています。

それから決勝に臨むピッチについて、しっかり考えた結果、全体の流れを残しつつ、一から見直して、伝わりにくい箇所を作り直す形にしました。
また、関東大会のピッチが時間ギリギリで焦った反省を生かし、5秒、10秒くらい余裕ある内容に切り詰めて完成させました。作り終えて、かなり練習をしました。関東大会の時には、ピッチを暗記するか、流れで話すか考えて練習していましたが、決勝の時は、練習を重ねるうちに、言い回しがある程度固定される感じになっていきました。この方向性の仕上がりには、デメリットとして、言い間違えると別の表現で説明するために時間をロスする可能性があるというところが挙げられると思いますが、妙案もなかったので、この方法でいくことにしました。

決勝当日

決勝当日は、関東大会と同じ会場であったこともあり、始まるまであまり緊張はしませんでした。開始までは参加者の方と交流をしつつ、前日までに捌き切れなかった仕事をこなしながら過ごしていました。中には、ソワソワ動き回っている人、自信がないと言っている人、しっかり練習している人、何もしていない(ように見える)人、電話で商談している人、ウェブ会議している人など多様でしたが、私はもう知っています。緊張していようが、自信がなかろうが、皆のピッチはうまい。

そして、決勝が始まりました。
私の前は、須藤牧場の須藤さんです。
彼のピッチを観られた方もいると思いますが、劇のような独特な語りで、一次産業をベースとした事業の展開を魅力たっぷりに伝えるピッチです。
一方の私は前回同様、抑揚のない、凪のようなピッチを用意しています。(ここに、決勝大会で一番の落差が生まれるな..)などと考えていると、自分の順番を迎えます。
ピンマイクをつけ、ステージ上の扉の裏につく。扉が開く。ステージの定位置につく。ここまで変に緊張せず来ることができました。余計なことを言うと、舞台上のあの扉は人力開閉です。

ついに、ピッチが始まります。
出だしは悪くない。その後も、自分なりには円滑に進んでいきましたが、中盤に差し掛かった頃、客席から声が聞こえてきました、私の娘の声です。
一瞬でしたが、気が緩み展開が少し飛んで次の言葉が出なくなりました。
(流石にこのタイプの練習はしてこなかったな。)などと思いつつ、本来のスライド展開より先を進むカウンターを見る。(この程度なら取り返せる。)と、もう一度集中し、しっかりと伝えたいことを伝え切り、時間内にピッチを終えることができました。
私の場合は、たったの4分間、淡々と喋るタイプのピッチですが、大きな体力の消耗を感じました。関東大会の時も思いましたが、ピッチは、短くても、非常に多くのエネルギーを使っている気がします。伝えるのって、実はすごく疲れます。

なお、入賞できませんでしたが、事業のブラッシュアップもでき、課題も見え、多くの人に技術・事業をPRする機会も得られたため、決勝進出によって得るものは沢山あったと言えます。疲れたけど、出て良かった。

決勝の後

決勝どころか関東大会の時点で、私は、正直「疲れた。もうやりたくない。」と思っていましたし、周囲にも、そう言っていました。
理由は、一日中慣れない環境に疲れる。ピッチでも消耗したし、なんか色々なポーズを取らされる撮影が初めててキツい など、今思えばしょうもないものでありましたが、直後は疲れ切っていて、本当にそう思っていました。

そんな風に疲れきってはいましたが、決勝後も、飲み会にはしっかり行きました。

第4回大会へのエントリー

結局今年、私は第4回大会へエントリーしました。

理由は、第3回で発表した事業に変化があり、今後の展開のためにもっと広く伝える機会が欲しいと考えたからです。
第3回で提案した技術については、広く可能性を感じてもらいつつも、実用までに必要となる資金量に対し、ビジネスモデル構築の面で弱いなと感じる部分がありましたし、資金調達に向けた活動の中で、その様な意見をもらうことも多々ありました。
新しい技術・材料には、事業化やプロダクトへの採用面の課題が付きものですが、私たちの技術も例に漏れず収益化まで遠く、必要な資金量を考えると資金調達の下地として受け入れやすい有望なビジネスモデルを作りにくい。という課題を抱えていました。実際、大会後には審査員より「初期投資計画の甘さ」についての指摘があり、その解消法は常に考えてきました。

既存事業から解決策が見つかった

しかしながら私は圧力容器を主とした鉄工所の経営者なので、新規事業のことだけ考えていれば良いわけではありません。
実は嬉しいことに今年度以降、社員の皆さんのおかげで、本業の圧力容器・装置・ライン製造販売の事業が成長傾向にあります。内的要因は100%社員の努力です。うまくいっている事業に対する私の仕事は、要因分析・再現性の確保、外的要因を探りフィードバックする裏方の仕事です。そこで、自分の役割を全うしていくと、圧力容器市場もCFRP同様に大きな成長傾向にあることがわかりました。
圧力容器の場合、大手が強すぎるメイン市場への新規参入は(よほどのことがないと)望み薄ですが、市場の大きな成長が見込まれる時、産業内に生まれる空隙も大きくなる傾向があります。私たちはずっとBtoBでものづくりをしてきたので、過去にもこの事象は観測しています。つまりチャンスが生まれます。
原理原則として、チャンスをものにするにはソリューション(課題を解決する能力)の質を高めることが重要です。それにはまず課題をよく理解することが重要です。
私は、圧力容器業界について、歴史や状況を聞き、さまざまな角度・解像度・方法で眺めることにより、抱えている課題にいくつかの見当をつけました。
そして、圧力容器とCFRP、そして新技術にも共通する大きな課題と解決策があることに気がつきました。
これなら、良いビジネスモデルができる。なにより、本業の成長にも直結する事業になる。自社の経験とリソースを活かせるビジネスでもあるし、最終的には、つくり手までしっかり豊かにできる社会を作る絵まで描ける。

新事業の良い展開は、昔から続けてきた仕事を振り返ることで生まれた。という事になるかもしれません。

現在はFSの途中

現在は、計画数値の詳細化をするためのFSを進めている段階ですが、アトツギ甲子園のピッチを通して、広く仲間や協力者を募りつつ、ゆくゆくは新事業の社会的意義への理解を促し、地域や国からのフォローアップ獲得も目指していきたいと考えています。

ここまで、既に本戦に出られると思っているかのような書きっぷりですが、当社のある長野は激戦区の一つである関東・中部ブロックに属するため、普通に出られないかもしれないと思っています。もちろん今回の事業内容に自信はあるため、十分出られる可能性があるとも思っています。つまり、出られなかったら別アプローチを取るものの、もし出られたら、ピッチを通して事業を加速していきたいということを考えています。

ここまで長々と書いてきましたが、前回のファイナルまでに考えていたことと、第4回出場を決めた経緯や現状についてお話しでした。

それでは、最後まで読んでいただいた皆様、ありがとうございました。

以下、前回大会で出会ったアトツギの手がける商品で、気に入っているものを(勝手に)紹介しますので、時間があったら見てください。

アトツギの手がける、良かった商品を勝手に紹介

みんな美味しいワインのSymn(シン)

はじめは良さがわかりにくいワインのハードルを下げ、飲んだ人をすっかりワイン好きにする力を持つ甘口のワイン。圧倒的な果実の香りで、しっかり美味しい。
・書類選考通っても通らなくても、結果が出たらSynmで乾杯しましょう。

"最上"へのこだわりが香り、味わいに現れた うまい牛乳(須藤牧場)

須藤牧場の牛乳を注文して、日常化して感動のなくなっていた牛乳のうまさを思い出しました。牛乳は美味しい。須藤牧場の牛乳は本当に美味しい。おすすめです。

簡単に食べられる健康 野菜パウダーのVEGEMARI(ベジマリ)

娘が食事を取れる年齢になった成長の喜びも束の間、忙しい時には、栄養に妥協できないプレッシャーを感じる事もあります。ベジマリが選択肢になって、少しだけ余裕が生まれました。

※大人向けの料理にもいろいろな使い方ができる。ほうれん草とごぼうのパウダーをパスタに練り込んだらとても美味しかったです。

ごぼうとほうれん草パウダーを練り込んだパスタ(ピーチ)


カポナータ風のパスタに



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