本とおもひで

人の指はなぜか、本があるとページをめくりたくなるらしい。

ジョン・アガード

「わたしの名前は本」

ある年配の男性が本を持っていた。
読書ですか、読書の秋ですね、
男性「最近は目が悪くてね、長くは疲れるね」
本を持ってイヤホンをしていた。
音楽を聴きながらだとリラックスできていいですね、
男性「これはね、朗読が流れる。目がダメなら耳でね」
二刀流ですか、本が好きなんですね、
男性「好きかもしれない。でもあんまりちゃんとした本は持ってない。歳をとると重くて」
へえ、ワタシは気に入ったのは買いますが、年に何回も読み直しませんね。ちっちゃいのはすぐ邪魔になって、安価だから大事にせずに捨てちゃいます、コロナからはだれかにゆずるとかはなくなりましたね、
男性「そうだね。ぼくはKindleも使ってる。持ち歩くのも処分の心配もない」
おお、三刀流ですね、

ある年配の女性がたくさん本を並べていた。
たくさんありますね、どれも年季が入っていますね、だいじなものなんですね
女性「むかしの本ばかり。わたしもだいぶ手につけずに置いていたの。あなた、いる？」
いえいえ、ワタクシ如き通りすがり程度に人間に譲るものではないですよ
女性「今からでもみておこうとおもってね」
ファンタジーですね、ワタシもすきです、上橋菜穂子とか、ゲド戦記とか、
女性「こどもがわくわくするでしょ」
こどもがすきなんですね
女性「ワタシにはいませんけどね、教師だったんです」
せんせい！ワタシはおべんきょうがだいきらいです！これは国語の授業ですか、
女性「校長ですよ、クラスはもうむかしむかし。でも、きもちはわかいままです」