アイデアの解像度を上げれば、文章はつるっと書けるよ
すっごい問いかけがぴょーんと飛んできてびっくり。
なかなかの無理難題である。
以前、わたしが文章を書く際の頭の中を説明した時に、山本さんは「観察に近い、模写みたい」と言った。
それがそのまま、この問いへの答えになっている。
発信したい内容がある文章を書く場合、そのプロセスは2つに分けられる。
① 頭の中でアイデアの解像度を上げる
② アイデアを言葉に変換する
エッセイのように自分自身の経験や気持ちを発信することが多い文章では、①と②はほとんど同時進行で行われることが多いと思う。
だとしても、それは実施のタイムラグが小さいだけで、プロセスが2つあることに変わりはない。
私個人としては発信したいなぁと思いつつ、アイデアがついてこない感じがちょっとあるんだよね。
これは、①が阻害要因になっている状態。文章が「観察からの模写に近いもの」と考えた場合、描くべきモチーフがよく見えていないということだ。
たとえば「花を描きたい」と思ったとして、それはどんな花だろうか?色は?大きさは?どこにある?咲いているのか、花瓶に入っているのか、誰かが手に持っているのか?全部で何本ある?花びらは何枚?なぜそこにあるのか?この後、その花はどうなるのか?
…という疑問を整理していくのが「①頭の中でアイデアの解像度を上げる」ことに他ならない。
ぼんやりしたものをぼんやりしたまま書きたいこともあるかもしれないが、文章でそれをやるのは逆に至難の業だ。
ちゃんと文章として構成されたアウトプットにしたいなら、アイデアにきちんと輪郭を与えた方がいい。
じゃあ、どうすればよいのかと言ったら、たとえば自問自答は良い手段。「書きたいアイデアの〇〇の部分って、要するに何なの?」「そもそもなぜこのアイデアについて書きたいと思ったの?」を重ねると、必然的にアイデアを具体化・細分化していくことになり、結果的に解像度が上がる。
あるいは、連想するキーワードをただ書き出すのも良い。パズルピースを広げて整理するように、隙間が多かったとしても全体像がつかめることがあるから。
アイデアがクリアに見えたら、あとはそれをよく観察して模写するだけだから「文章を書く」という行為そのものは単純作業でしかない(もちろんこの表現にはわたしがライターである事実を含んでいることは明記しておく)
でも、多くの人はやっぱり「② アイデアを言葉に変換する」もむずかしいと考えている気がする。
確かに一定の語彙や文章構成のための論理思考は必要になるが、それらはツールないしスキルに過ぎない。ツールやスキルが不足して文章を書けない場合は、アイデアの解像度いかんの話ではなく、中長期的にスキルアップするかテンプレートを使うなどして問題を解決することとなる。
ちなみに、わたしに関して②が書くことの阻害要因になっている場合は、ベンチマークとなる文章をたくさんインプットする。具体例の中には、表現のヒントがたくさんあるから。表現に必要な語彙が足りない場合も、これで補えることが多い。
もし仮に山本さんが「アイデアは明確に浮かんでいるのに、それをどうにも言葉にできない」という状態に陥ることがあったら、できあがりの理想に近い文章をたくさん読んでみると良い。好きなエッセイストの作品を読み返してみたり、表現したいアイデアの世界観を扱った雑誌やメディアを見てみたり。たぶん、文章表現のヒントを見つけられると思う。
繰り返すが、この段階で参考にしたいエッセイストやベンチマークになりそうな雑誌やメディアなどが思い浮かばないようなら、それはアイデアの解像度が高くないからだ。つまり、問題は①の方にある。
わたしが仕事として原稿を書く場合、花に当たるものを自分で考えることは少ない。解像度を高めるために、クライアントの課題を聞いたり、インタビューしたり、関連情報を集めたりする。ただ情報を持ってるだけでは、アイデアの解像度は高くない。インプットしながら整理して、アイデアをクリアにしてから文章を書き始める。
最後に、基本的に、ひとりの頭にはひとつの脳しかない。アイデアの解像度を高めるのを阻害してるのは、書きたいことに直接関係しない情報だったり、心配事や疲れや寝不足だったりもする。
「無理して書くもんじゃないんで、書けないときは書かずに休んでください」
山本さんは恒常的に忙しすぎるし、一個しかない脳をいろんなものに使いすぎてるから「noteを書くほどのゆとりが残ってないんじゃないの?」とわたしは疑っている。
だから、わたしは上記の通りの言葉をつるっとお返ししたいと思う。
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この作品は、共創プロジェクト『不協和音』の作品です。このプロジェクトでは、エッセイを通してお互いの価値観や発見を共有し、認め合う活動をしています。プロジェクトについて興味を持ってくださった方は、以下の記事も合わせてご覧ください
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