ランチは仕事味のケーキで
時々、ランチにケーキを食べる。デザートとしてではない。主食。コーヒーとケーキの“ランチ”である。
それは誰かと一緒のランチ。目的はその人と話すことで、食べることじゃない。普通の食事だと、食べることに意識と時間と労力を取られてしまう。
その点ケーキなら、質量が確実に少ない。対話にどれほど意識を寄せても、都度の一口が小さくても、相手の食べるペースから遅れずに済む。
本当はチョコレートケーキが好き。ショートケーキは苦手。モンブランは食べやすい。パイやタルトは食べにくい。大切なのは好みじゃなく、いかにフォークで食べやすいか、だ。
誕生日でもお祝いでもない日に食べるケーキは、仕事の味。甘くもなければ、実はそんなに美味しくもない。
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この作品は、共創プロジェクト『不協和音』の作品です。このプロジェクトでは、エッセイを通してお互いの価値観や発見を共有し、認め合う活動をしています。プロジェクトについて興味を持ってくださった方は、以下の記事も合わせてご覧ください
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