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cloudy then rainy

湿度が高い日だ。くもってうす暗く、空気中の水分がとても多い。肌も喉もぺたぺたする。息苦しい秋の一日。

厚い雲に覆われて、空は遠近感がなく真っ白い。雨雲も雪雲も似ているが、雨雲の方が少しくすんで見える。雪雲も厚く暗い鉛色をしているが、雨雲はもっと黒みがかっている気がする。水分の重みが影を落として、色味まで沈ませるのかもしれない。

窓辺でぼーっと空を見ていたら、雨が降り出してきた。音はしないが、でも確実に降っている。景色を縦に刻む線状の雨。そういえば“雨粒”と呼ぶけれど、粒を粒の状態では見られないのだな、と思った。雨粒が描く軌跡を、縦線として捉えることしかできないのだと気づく。シャッターを開きっぱなしにして撮った星空の写真みたいに。雨は静止できない。少なくとも人は静止した雨を目視できない。瞬間的には静止して見える星の光とは違って。

濡れる心配のない窓辺からなら、ずっと雨を眺めていられそうだ。目がただのガラスになって、自分と空気の境界線が失われていくような心地。それはそれで別に悪くはないんだけど、日常生活に支障をきたすので、意識を現実にぐいっと戻して、夕食の準備をすることにする。

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