雨、新潮文庫、フェルマーの最終定理
フェルマーの最終定理を証明したアンドリュー・ワイルズに関するノンフィクションを読んでいる。
読書は好きじゃないが、数学は好き。
サイモン・シン(著者)/青木薫(訳者)の質実な文章も好き。
yamamotoさんに勧めてもらったフェルマーの最終定理に関する本を読んだら、もう一度読みたくなってしまった。
新潮文庫の紙の色、それに紙の質感が好きなのも大きい。
500ページ近くあってかさばるのが難点だが、内容はもちろんプロダクトとしてこの本が好きなのだ。
この本は、もともと兄のものだった。実家に置いてあったから持ってきた。
兄は控えめに言って壮絶な変わり者で、量子力学の研究者だ。ライターを以てしてもどう変わっているのか説明できないくらい、変わった人である。
でも、兄の読む本は大概おもしろい。帰省した時に会ってもほとんど話すことはないが、兄の本は信頼している。
父も姉も兄も読書家で、実家には意味不明な量の本がある。
大人になってからは読書をしなくなったが、かつてはずーっと本を読んでいる子どもだった。
父の影響で池波正太郎、姉の影響で村上龍が好きになったが、兄の選ぶ本は多様で幅広い。一貫性は見出せないのだが、兄が選んだという一点突破でわたしに刺さる。
6歳児と2歳児が荒らしに荒らした部屋の隅っこで、数学の世界に沈み込んでいる雨の午後だ。
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