ネックストラップの話
IDカードで認証しなければ、オフィスを自由に出入りできない。
でも、わたしの勤めている会社では、ネックストラップを首から提げている人は少ない。
ネックストラップは所属の象徴。
わたしは、所属という状態を求めて会社員をやっているので、ネックストラップを提げるのが大好き。
一種のコスプレに近い気がしている。
ほんの数十センチ程度の“紐”を首から提げるだけで「その会社の人」になれるから。
わたしは「わたしの会社の人」として見られたいので、勤務時間中は必ずネックストラップを提げている。
かつて、いろんなクライアントの会社に出入りしていたことも、影響しているかもしれない。
大企業が多かったので、来客者はそんなに自由に社内を移動できない。
セキュリティ的に当たり前のことなのでそこに不満はないが、自分を移動させるためには、社員のIDカードが必要になるという事実がある。
多くの場合そこに付随していたのが、多くの場合その企業のコーポレートカラーを用いたネックストラップだった。
色とりどりで材質も多様な、その会社を象徴するもの。
工場や研究所では、来客用のネックストラップを渡されることも多かった。
それを提げると「来客の方」なのが明らかなので、どんな人もにこやかに挨拶し応対してくれた。
ネックストラップは所属の象徴だと思うが、所属していない表明として使われることもある。それは、お互いにとって立場を明確に示すのに役立ち、セキュリティ的にも行動的にもスムーズな運用を実現してくれる。
やっぱり、ネックストラップは有用だと思うし、好き。
今、わたしに貸与されているネックストラップはビビッドな色のもので、服装との相性を選ぶ。
以前、濃いめの臙脂色のシャツを着た日、あまりにも色が合わず気持ち悪くて、一日しゅんとした。
ちょっとした弊害もないことはない。
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