買い取り業者騙され生活

 まだ使えるが、一部破損したことで辛気臭くなり、誕生日に妹から新しい物をもらったのを機に、処分を決意した家電製品。丁度その週末に、一緒に表へ出しておけば無料の回収業者が引き取ってくれる…と書かれたチラシが入っていた。そうしようと考えていた矢先、新聞広告に専門の買い取り業者の広告が入った。
 週末まで玄関先に置いておくのは邪魔だと思っていたので、いくらかお金になるなら来てもらおうかと考えたが、何時頃からそうなったのか記憶も疎らな電話嫌い。かけるのが面倒でどうしようかと迷っていたら、引き取り業者の引き取り指定日が過ぎてしまった。結局、段ボールからはみ出した不適合サイズの家電が占拠した狭い玄関先に対し、そろそろ家族から苦情が来そうなので、電話でなく、メールで問い合わせをしてみた。
 メーカーと品番を伝え、金額がつかないなら来てもらうのも申し訳ないので、こちらで処分する(また別の回収業者が来たら出せば良いかと考えた)と伝える。一時間後、犬の散歩に行っている間に、留守番電話が入っていた。
 電話に出なかったので、メールに返信もされていた。買い取り対象商品なので、是非実物を見たいと言う。フリーダイヤルに掛け直すよう告げられていたが、またもや渋ってしまった。電話…嫌いなんです。
 再びメールで都合の良い時間帯を伝えると、またもや留守電、そして返信。もうフリーコールせねば埒が明かない気がしてくる。それと同時に、玄関先の大物が、やはり邪魔になってきた。
 納戸に一時避難させようものなら、永遠にそこで埃を被る運命を辿らせる気がする。それはお互いにとって最も良くない。とうとう重い腰を上げた。
 っていうか、何故チラシにフリーダイヤルの番号が書かれていないのだろう。電話番号は表示されているが、フリーダイヤルではない。番号が違うのが何故なのか、疑問だ。
 結果、メールで伝えた都合の良い時間帯のピンポイントでは無理で、渋滞を考慮した前後3時間を入れ、夕方から夜にかけて待たなければならないと言われた。前後3時間…ではなく、後3時間…なのが腑に落ちなかったが、その日の当日に来るとのことで、希望時間を一時間待たされ、彼らはやって来た。
 たった一台の家電に対し、何故二人必要なのかわからなかったが、渡された名刺は一人分だけだった。
 商品を殆ど見ないままに、こちらが事前に伝えていた“有名メーカーの物ではない”という一点を強調される。値段は付かないと言われた。
 値段が付かないなら来てもらう必要はないと伝えたのに、買い取り査定対象商品だから…と来たのではなかったか?
 不信感は募るが、やり取りするのも面倒なので、持って帰ってもらうことにした。
「無料引き取り業者に持って行ってもらったところで処分されるだけ…」と、彼が言うから心を動かされたわけでは無かった。
「うちで引き取れば、海外などで使ってもらえる…」と言ったことにも、何とも思わなかった。
『それ、横流しというのでは?』と思ったが、とにかく面倒臭く、とっとと帰って欲しかった。
 家電買い取り業者なのに、他に〝お宝〟はないか?と訊かれた。酒類、着物の小物、時計などを含む貴金属などなど…。全部、「ない」で通した。内心、またか…と思ったからだ。
「ない」は嘘ではなかったが、彼らのために家財をひっくり返して不用品を探せば、無いものも出てくる可能性まで「ない」とは言えない。しかしそんなことは微塵も頼んでないのだ。
 結局彼らは、ものの30秒ほどで我が家を後にした。喜んだのは、客人が来て大はしゃぎした、我が犬だけだった。
 以前、古着の買い取り業者に来てもらったことが過去に二度あった。一度はこちらが依頼し、二度目は飛び入り営業だ。妹が着なくなった綺麗なブランド物などもあったが、ちらりと見ただけで「値段は付かない」とされ、貴金属や切手、テレフォンカードの他、ブランドバッグや財布などの小物はないかと訊かれた。
 今回来てもらった家電買い取り業者について調べてみたら、たった二件の口コミが、いずれも☆一つという悪徳業者であることがわかった。事前にちゃんと調べておけば良かったと後悔したが、ネット上の大々的な広告や、新聞に入っていたチラシだけを見たら、今回のように踊らされていたままだっただろう。
 私…買い取り業者はもう二度と利用しないと思う。
 今もネットを開けば、今回関わった悪徳業者の広告がやたらと入る。実際の店主なのか、起用されたモデルタレントなのかは知らないが、家電の中に佇む、喫茶店のマスターみたいな男性の姿に、騙される人は多いのだろうな…と、ちょっと思う。
 この広告、早く消えてほしい。

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