風よあらしよ ①

 随分前に図書館で予約した本が、思っていたよりも早く届いた。手元に本が尽きないように、常時予約制限いっぱいに読みたい本を予約しているのだが、時々計算違いで一気に届いて慌てることがある。今回は適量の、2週間で3冊のはずだったが、そのうちの1冊が想像だにしないほど分厚かった。
 後に予約している人がいたら、図書館の本は貸出延長できない。届いたうちの2冊がそうだったので、薄っぺらい方を先に片付ける。タイトルで借りた新刊だったのに、タイトルとどう繋がっているのかわからないような内容だった。そして何も響かなかったから、想像以上に時間がかかった。
 残り一週間で分厚いのに着手。いつも夢中で読んでしまう作家の著書。予定以上に早く終わってしまい、手元の本が尽きてあちゃ~となるパターンだが、今回の厚みはそうはいかないらしい。今まで読んだ他の作品と、毛色も背景も違うから、尚更時間がかかる。
 読み始めた翌日、新聞にコラムが載っていた。この本、ドラマ化されたらしい。うちでは観られないチャンネルだが、秋には観られるチャンネルで放送される。楽しみだ!と思った次の瞬間、愕然とした。コラムに、主人公の結末がさらっと書かれていたのだ。
「読まなきゃ良かった…」なんて言えない。読み始めた本がドラマ化されたのだから、新聞に載っていたら読んじゃうだろうよ、フツウ。
 あ~あ…と思う。明日からは、どうやってそういう結末になるのか、そこを気にしながら読むことになる。逃げられない道だ。
『風よあらしよ』(著:村山由佳)。当時、出版されて一年半。手元に届いて一週間。読み始めて三日であった。取り敢えず、返却予定日までに読み終えられますように…。タイムリミットまで残り3日。まだ3分の1も読めていない。しかし読み進めるごとに、私の脳に浮かぶヒロイン像は、新聞で主演に選ばれたと書かれてあった女優さんではない。実際、放送されてみたらまた印象が変わるのかも知れないが、私のイメージのヒロインは、別の顔である。

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