詩「冬祭り」
奥深い里は雪明かりで
不思議な輝きに包まれている
昏々と眠るかにみえる大気を
無数の焔が呼び醒ます
研ぎ澄まされた太古の誓いが
私の心にゆくりなく蘇る
凍てつく追憶も忘れるほどに
ひたすらに定めの道を進めば
至る所につつましい宴があり
言葉にならない祈りが残る
神々を呼ぶ太鼓は
プレスティッシモで轟き渡る
滾々と湧き出る泉から
清らかな供え物を持ち帰る
踏み慣れたはずの石段は
冒しがたい重さを秘めている
目くるめく酩酊も戸惑いも
今宵は遥かな深みに隠されて
私は無垢の荘厳のうちに
愛憎の彼方に春を待つ