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プロ野球戦力分析(広島編)


 6月19日に開幕が迫った日本プロ野球。今日は昨年度セ・リーグ4位、広島東洋カープ(広島)について分析する。


•投手陣の入れ替わり


 かつてのクローザー、永川勝浩が昨年限りで引退。荒れ球ながらフォークボールで三振を取っていたクローザー時代と比べ、近年はスライダー中心のピッチングで敗戦処理もこなしていたが、勤続疲労が影響した。外国人ではK.レグナルト、J.ヘルウェグ、C.ローレンスが退団。特にレグナルトは左の中継ぎとして52試合で6勝(3敗)15H、防御率3.34とまずまずの活躍を見せていたが、シーズン終盤での打ち込まれた投球が目立ってしまった形だ。また、飯田哲矢ら育成含む4投手も退団している。

 今季からの新加入投手は、外国人ではDJ.ジョンソン(米 /ロッキーズ)、T.スコット(米 /オリオールズ)の2名。いずれも右の中継ぎ候補で、救援陣のテコ入れをした形だ。ただ、近年の広島は投手補強がイマイチな印象なだけに、どうなるか。
 ドラフトでは明治大の右腕投手、森下暢仁を1位指名。既に開幕ローテが当確している状態で、新人王が期待される。3位で右の鈴木寛人(霞ヶ浦高)、6位で左の玉村昇悟(丹生高)を指名し、獲得している。また、育成でも一人指名している。


•核となる投手が不在


 チーム防御率はリーグ2位の3.68とそれ程悪くない。ただ、良くも悪くも平均的な投手陣で、絶対的な存在がいない。

 先発では右のエース、大瀬良大地(29)が26試合で11勝、173.1回を投げ6完投。ただ、9敗で防御率3.53と貯金を稼げず。左のエース、K.ジョンソンは27試合で11勝、156.2回を投げ防御率2.59ながら8敗。今季36歳になる為、後継者の誕生が急がれる。先発、中継ぎをこなし27試合で8勝(8敗)、防御率3.51の右の九里亜蓮(29)は今季は先発で勝負する。その他、最多勝、最高勝率の経験がある右の野村祐輔(31)、昨年25試合で7勝(6敗)、139.2回を投げ防御率2.96の左の床田寛樹(25)、大卒ルーキーの右の森下暢仁(23)が開幕ローテ6人に入るだろう。

 救援陣では、育成出身の左の外国人投手G.フランスアが67試合8勝(6敗)12S18H、71.2回で94奪三振、防御率2.76とセットアッパーやクローザーをこなす活躍。だが、6敗という数字が示す通り安定感に欠け、今季の実戦登板では状態が全く上がらず。復調が待たれる。一昨年までのクローザー右腕中崎翔太(28)は昨季30試合の登板に終わり、中継ぎ右腕の一岡竜司(29)も33試合登板。近年制裁を欠く右の今村猛(29)も27試合登板に終わっている。楽天からトレードで加入した右の菊池保則(31)は58試合で1勝(3敗)15H、防御率2.80と活躍し、今季高卒3年目の右の遠藤淳志(21)も34試合で1勝(1敗)1S6H、防御率3.16と飛躍の兆しを見せただけに、中崎、一岡、今村も奮起したい。

 左の中継ぎは43試合で防御率2.64の中村恭平(31)が自己ベストの投球を見せた以外は不在。11試合で防御率6.10の塹江敦哉(23)、5年目の高橋樹也(23)、実績ある戸田隆矢(27)あたりの活躍が見られるか。


•野手陣の入れ替わり


 赤松真人が引退、その他育成含む5選手が退団。特にJ.サンタナは期待外れに終わってしまった。

 新加入野手は外野手のJ.ピレラ(米 /フィリーズ)。ドラフトでは2位で外野手の宇草孔基(法政大)、4位で内野手の韮澤雄也(花咲徳栄高)、5位で捕手の石原貴規(天理大)を指名し、獲得。育成でも二選手を指名。特に目立った補強はしていない。


•クリーンナップの固定なるか


 チーム打率は.254でリーグ3位、591得点はリーグ5位、94本塁打もリーグ5位。そして、81盗塁はリーグ3位だが、111犠打はリーグトップ。87失策はリーグ4位の数字。昨年巨人に移籍した丸佳浩の穴を埋めることが出来なかった結果である。

 140試合で28本塁打、87打点、25盗塁、167安打で打率.335の鈴木誠也(26)は首位打者、最高出塁率の二冠。強肩を活かした外野守備も魅力で、昨年三度目のGG賞。今季は4番でトリプルスリー、100打点を期待。また、西川龍馬(26)は138試合で16本塁打、64打点、打率.297とブレイク。159安打を放っており、今季は3番で活躍できるか。ポスティング制度を行使しながらも残留した菊池涼介(30)の野性的な二塁守備も魅力だ。そこに高卒2年目の小園海斗(20)が、田中広輔(31)との遊撃手争いに割って入ってくると、大分活性化する。内野のユーティリティで勝負強い安部友裕(31)もレギュラーを狙いたい。あとは野間峻祥(27)がセンター奪取なるか。守備と走塁は魅力十分なだけに打撃の内容を良くしたい。

 正捕手の會澤翼(32)は126試合で12本塁打63打点、打率.277。ただ、盗塁阻止率が.265でリーグ5位と少し物足りない。磯村嘉孝(28)、坂倉将吾(22)、中村奨成(21)といった捕手もいる為、追い抜かれないようにしたいところだ。


•今季期待の若手選手


投手:森下暢仁(23)

   明治大出身の右腕。大学通算15勝で、大学選手権優勝も経験している。ストレート、カットボール、カーブなどを操り、制球力とスタミナが魅力。
 広島は先発の層が薄いが、二遊間と右中間が鉄壁の為、制球良く投げられれば10勝は期待出来る。問題は貯金を作れるかになるだろう。

野手:小園海斗(20)

 昨年高卒ルーキーながら58試合に出場した遊撃手。打率は.213だったが4本塁打とパンチ力を見せ、広い守備範囲も魅力だ。二軍で58試合で8盗塁の脚もあるだけに、広島の機動力野球にハマっていけるか。球団は田中広輔との併用を考えていると思われる為、まずは打撃でアピールしたいところだ。


•優勝への条件


 一昨年までリーグ3連覇を記録している通り、チーム力自体は決して低くない。ただ、中継ぎ陣の勤続疲労と、先発陣の隔年投手ぶりが顕著。野手陣の伸びしろはかなりあるため、佐々岡新監督が投手陣をどれだけ整備出来るかに掛かっている。実績ある投手が多い為、機能すれば優勝の可能性はあるだろう。

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