この度、蓮田市役所の蓮田市議会議長室に作品を展示していただくことになりました。 議長室に作品をと、構想が持ち上がったのは2か月前の6月23日のことでした。 7月3日、議長室で作品の方向性について打ち合わせしました。いくつか字句の候補を提案しましたが、「閙熱(どうねつ)」に決定することは難しいことではありませんでした。 蓮田駅西口の『蓮田車站納地之記』碑にある言葉です。この碑の撰文及び書は中島撫山(なかじまぶざん、1829-1911)によります。 撫山は漢学者で、久喜に開
万葉集は現存最古の歌集で4500首もの歌が収録されています。歌人は天皇から農民まで、東北から九州までと、これほどまでに網羅的な歌集は成立から1200年が過ぎた今世でも類がありません。『万葉集』の「葉」とはどのような意味があるのでしょうか。万の言葉を収録したとする説、葉=世とし、万の世を収録したとする説など、どれも正解といっていいでしょう。すこし深堀して、「葉=裂片」という説をここで提言したいと思います。例えば脳の葉(前頭葉)や、胚葉などは、それを構成する小さなヒトヒラの集合体
直木賞作家の佐木隆三(1937-2015)先生が蓮田市に一時住んでいたことを知る方は多くはいません。亀田家と佐木家は目と鼻の先に住まい、家族ぐるみで時折食事をするほどの親交がありました。ある日、佐木先生から「思無邪」と銘された油煙墨を土産にと頂いたことがあります。35年ほど前のことです。小説が映画化されるなど(『復讐するは我にあり』主演:緒形拳さん)、作家として時代の寵児でしたが、実は大酒飲みで警察のお世話になることもあったことは内緒です。犯罪をルポルタージュして作品の構想を
乙瑛碑(永興元年153)、禮器碑(永寿二年156)、曹全碑(中平二年185)、漢代を代表する隷書の石碑です。漢隷の理想を示しています。隷書の頂点に達し、これ以降は山の頂上から四方に水が流れ落ちるように、いろいろな隷書の書風が分出していきます。100字を抽出して方寸の界中に再構築を試みた結果、この三碑がもつそれぞれの結構を多角的に比較することができます。 ① 乙瑛碑 強靭にして温雅な波勢が一番の見所です。この筆勢は短い画にも見られ、隅々まで行きとどいた緊張感がこの碑の主題を明
龍門造像記は、河南省洛陽の龍門山の洞の内壁に仏像を刻み、かたわらに刻された銘文です。北魏・隋・唐・五代・宋の時代の3689点の造像記を指しますが、本展では龍門造像記の代表的な初期の龍門二十品に絞って臨書したものを出陳します。二十品の選定は『書蹟名品叢刊』(二玄社)に従いました。 総じて稜角かつ扁平な結構と、茂密雄強の筆勢により、いわゆる龍門様式とよばれる書風を形成していますが、個々には、剛健なもの、暢達したもの、あるいは温健なものなど、それぞれの趣を備えています。中国では清
おかげさまで、教室10周年を迎えることができました。記念にお祝いの展覧会を開催致します。ご高覧賜りますよう謹んでご案内申し上げます。 2022年9月10日(土)、11日(日) 09:00〜17:00 レイボックホール展示室 展示作品のキャプションを順次noteに公開します。
楽譜通りに演奏する レシピ通りに調理する これらと同じく、書も範となる古典 をしっかり学ぶことが肝要です。 その後、解釈や修正を加え、表出する術を思案します。 揺れや強弱を加えたり 独自のスパイスを加味したりして 作品化することに感興を覚えます。 書道史という掌の上で、 わたしたちは悶え、悩み、考え 修行し、探究し、聊か娯しみます。 鞠躬(きっきゅう)とは 身をかがめて、つつしみかしこまる ことを意味します。 謙虚に書と戯れたいものです。