宅建士試験で40点取って合格するための最も簡単な方法はこのライトノベル小説を読むことです 権利関係編1-26

「特別縁故者って、実際に遺産をもらえるまで、ものすごい時間がかかるってことだよな。6カ月はかかる」
「そうなのよね。特別縁故者が遺産を手に入れられるのは早くて6カ月後。ものすごい手間がかかるわ。管理人に弁護士が選ばれれば、その報酬も引かれるわけだし、6カ月間の間に、財産が相当目減りすることになる」
「最悪の場合、特別縁故者が受け取れるものが何もなくなっているということもありうるんじゃないの? 」
「ありうるわね。だからこそ、特別縁故者に遺産を遺贈したければ、遺言書を作成するべきなのよ」
「そうだよな。遺言書は誰でも書けるんだら、手間を惜しむべきではないよな」
「ストップ! 」
 胡桃がぴしゃりと建太郎の言葉を制した。
「んっ? 何か? 」
「今、建太郎は、間違ったことを言ったわよ。遺言書は誰でも書けるわけじゃないわ」
「あっ……。遺言能力が必要なんだっけ? 」
「そうよ。民法の第九百六十一条」
 
民法
(遺言能力)
第九百六十一条 十五歳に達した者は、遺言をすることができる。
第九百六十二条 民法総則の未成年者、成年被後見人、被保佐人、被補助人の規定は、遺言については、適用しない。
第九百六十三条 遺言者は、遺言をする時においてその能力を有しなければならない。
 
「十五歳に達していることが、最低の条件ってことだね。だから、十五歳以上なら未成年者でも遺言できる。それから、被保佐人や被補助人も保佐人、補助人の同意を要せずに、遺言をすることができる。だけど、成年被後見人は制限があるんだっけ? 」
「そうよ。まずは、民法の第九百六十六条。被後見人が後見人に遺産を遺贈するような遺言を書いても無効とされているのよ。これは、成年被後見人だけでなく、未成年後見人の場合も同じね。ただし、直系血族、配偶者又は兄弟姉妹が後見人である場合には、適用しないとされている」
「後見人がその立場を利用して、不当に遺産を詐取することを防止するためだよね」
「そのとおりよ。それに、成年被後見人が遺言をするには、医師二人以上の立会いが必要とされているわ。具体的には、民法第九百七十三条『成年被後見人が事理を弁識する能力を一時回復した時において遺言をするには、医師二人以上の立会いがなければならない。』ということよ」
 
民法
(被後見人の遺言の制限)
第九百六十六条 被後見人が、後見の計算の終了前に、後見人又はその配偶者若しくは直系卑属の利益となるべき遺言をしたときは、その遺言は、無効とする。
2 前項の規定は、直系血族、配偶者又は兄弟姉妹が後見人である場合には、適用しない。
 
(成年被後見人の遺言)
第九百七十三条 成年被後見人が事理を弁識する能力を一時回復した時において遺言をするには、医師二人以上の立会いがなければならない。
2 遺言に立ち会った医師は、遺言者が遺言をする時において精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く状態になかった旨を遺言書に付記して、これに署名し、印を押さなければならない。ただし、秘密証書による遺言にあっては、その封紙にその旨の記載をし、署名し、印を押さなければならない。

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※権利関係編は完結しています。今年の合格を目指す方は、先に読み進めてくださいね。

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