宅建士試験で40点取って合格するための最も簡単な方法はこのライトノベル小説を読むことです 権利関係編1-38
「ずいぶん念入りな終活をしていたんだな」
建太郎が感嘆の息を洩らすと、胡桃が突っ込んできた。
「もしも、指定分割が為されなければどうなっていたか分かるかしら? 」
「俺と春子や美羽が遺産を巡って争うことになるだろうな? 」
「争うというか、協議分割――誰がどの遺産を受け継ぐかの話し合いを行わなければならないだわ。話し合いには当然時間がかかる。もしも話し合いがまとまらなければ、家庭裁判所に請求――審判によって、決着をつけなければならないことになるわ。その間、『株式会社 宅本・オーガナイゼーション』の経営者がいない状態が続くことになる。会社としては、好ましいことではないわね」
「確かにそうだな」
民法
(遺産の分割の協議又は審判)
第九百七条 共同相続人は、被相続人が遺言で禁じた場合又は分割をしない旨の契約をした場合を除き、いつでも、その協議で、遺産の全部又は一部の分割をすることができる。
2 遺産の分割について、共同相続人間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、各共同相続人は、その全部又は一部の分割を家庭裁判所に請求することができる。ただし、遺産の一部を分割することにより他の共同相続人の利益を害するおそれがある場合におけるその一部の分割については、この限りでない。
「だから、宅本伯父さんは、入念な相続対策を行って、混乱が起きないようにしたかったのね」
「しかし、もともと、俺のことを『株式会社 宅本・オーガナイゼーション』の後継者にしようとしていたのは驚きだな。俺の何が良いと思ったんだろう? 」
その答えは、琴美が教えてくれた。
「宅本前会長は、建太郎会長が自分の若いころによく似ているとおっしゃっていました」
「うーん。そうなのか……」
ともあれ、この遺言書とおりに遺産の分割が行われた場合は、『遺産の分割は、相続開始の時にさかのぼってその効力を生ずる。』ことになる。
民法
(遺産の分割の効力)
第九百九条 遺産の分割は、相続開始の時にさかのぼってその効力を生ずる。ただし、第三者の権利を害することはできない。
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※権利関係編は完結しています。今年の合格を目指す方は、先に読み進めてくださいね。
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