毎日一分で読める民法基本問題59
★今日の問題★
Aが失踪宣告を受けたため、BはAの唯一の相続人となった。しかし、Bは、Aが実際には他所の土地で生存していることを承知していた。その後、BがAから相続した甲土地を善意のCに対して、売却した。
ところが、Aの請求により失踪宣告が取り消された。
この場合は、Cは、甲土地を取得したことをAに対抗することができる。正しいか?
胡桃「10秒で答えてね。よーいどん!」
建太郎「おう」
1秒
2秒
3秒
4秒
5秒
6秒
7秒
8秒
9秒……
胡桃「10秒経過。どうかしら? 」
建太郎「ええっと。Bは、Aが生きているとを知りながら、甲土地を善意のCに対して、売却した。と、Cは善意なんだよな」
胡桃「そうね」
建太郎「それなら、Cは、甲土地を取得したことをAに対抗することができるでいいんじゃない? 」
胡桃「ブー。間違いよ」
建太郎「え。何でだ? 」
胡桃「まず、この問題が、どの条文の問題か分かるかしら? 」
建太郎「えーっと。これ条文の問題なのか? 」
胡桃「次の条文ね」
民法
(失踪の宣告の取消し)抜粋
第三十二条 失踪者が生存すること又は前条に規定する時と異なる時に死亡したことの証明があったときは、家庭裁判所は、本人又は利害関係人の請求により、失踪の宣告を取り消さなければならない。この場合において、その取消しは、失踪の宣告後その取消し前に善意でした行為の効力に影響を及ぼさない。
胡桃「この場合において、その取消しは、失踪の宣告後その取消し前に善意でした行為の効力に影響を及ぼさない。これに該当するかどうかの問題なのよ」
建太郎「おう……。Cは善意なんだから、この条文にあてはまると考えていいんじゃないの? 」
胡桃「Cは善意だけど、その取引相手であるBは、Aが生きていることを知っていたわけだから、悪意でしょ」
建太郎「うん。そうだな。えっ、すると、CだけでなくてBも善意じゃないといけないということか」
胡桃「そうよ。判例は、契約については、契約当事者双方が善意であることを要する(大判昭和13年2月7日)としているのよ」
建太郎「あっ。そうなんだ。すると、設問では、Cは善意であるもののBが悪意であるため、Cは、甲土地を取得したことをAに対抗することができないと」
胡桃「そうなるわ」
※問題は、ノベル時代社の肢別100問ドリルを利用しています。下記サイトから入手できます。