宅建士試験で40点取って合格するための最も簡単な方法はこのライトノベル小説を読むことです 権利関係編1-31

「その子供はただの道具よ。用済みになったらすぐに捨てるわ。子供に遺産を相続させた後で、母親を殺すのよ。そうすることで、子供の相続人が、宅本保志一人になる。どういうことか分かるわよね。さらに、子供を殺せば、子供の遺産がすべて、宅本保志のものになる。そうすれば、宅本健一の遺産を最終的に自分の懐に収めることができるというわけよ」
 胡桃が平然と言ってのけるのを二人の刑事は唖然として聞き入っていた。
「もしも、そいつが、そのようなことを企んでいたとしたら、とんでもない凶悪犯ということになるな」
 と、赤城刑事が唸る。
「自分の兄弟を次々に殺してきた奴なら、それくらい平気でやるでしょう。私たちのことを疑うよりも、宅本保志のことをマークするべきでしょ。宅本保志のことは調べていないの? 」
「マークはしているが……。何しろ奴は、弁護士だ。そう簡単にしっぽは出さない」
「建太郎。その人は渡世名を名乗っていると言ったわね。なんという名前なの? 」
「侠元保志。うわさでは、成金組の顧問弁護士らしい」
 
 その時、天木刑事の携帯に着信があったらしい。席を離れると、二言三言話したうえで、すぐに、赤城刑事に声をかけた。
「赤城先輩。この件に関して、新たな動きがありました。今、話した、侠元保志弁護士が宅本健一の遺言書を所持していると発表したそうです。既に検認を受けるための手続きに入ったようです」
「なんですって! 」
 胡桃が素っ頓狂な声と共に立ちあがった。
「遺言書の内容はどうなっているんだ? 」
「正確には、家庭裁判所で開封しないと分かりませんが、『宅本健一は、すべての遺産を成金組に包括遺贈する』という趣旨の遺言書のようです」
「「ありえない! 」」
 建太郎と胡桃が同時に叫んでいた。
「成金組に包括遺贈するなどとんでもない話だ! 数千億円からの遺産だぞ。そんな大金が、暴力団に流れたら、大変なことになる。何としても阻止するぞ」
 赤城刑事が声を上げると天木刑事も同調した。もはや、二人は、建太郎と胡桃を疑っていたことなど、すっかりと忘れているようだった。

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※権利関係編は完結しています。今年の合格を目指す方は、先に読み進めてくださいね。

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