★今日の問題★

 補助開始の審判に際して、補助人に代理権を付与する旨の審判のみなされた場合は、これによって被補助人となった者は、行為能力の制限はなく、いかなる行為も有効に行うことができる。

胡桃「10秒で答えてね。よーいどん!」

建太郎「おう」

1秒

2秒

3秒

4秒

5秒

6秒

7秒

8秒

9秒……

胡桃「10秒経過。どうかしら? 」
建太郎「ええっと。これはどう考えたらいいんだ? 」
胡桃「まず、補助開始の審判は、補助人の同意を要する旨の審判又は補助人に代理権を付与する旨の審判とともにしなければならない。とされていることは分かるわね」

民法
(補助開始の審判)
第十五条 精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分である者については、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、後見人、後見監督人、保佐人、保佐監督人又は検察官の請求により、補助開始の審判をすることができる。ただし、第七条又は第十一条本文に規定する原因がある者については、この限りでない。
2 本人以外の者の請求により補助開始の審判をするには、本人の同意がなければならない。
3 補助開始の審判は、第十七条第一項の審判又は第八百七十六条の九第一項の審判とともにしなければならない。

建太郎「うん。民法第十五条3項のとおりだな」
胡桃「すると、補助人に代理権を付与する旨の審判のみなされた場合は、被補助人が補助人の同意を要する行為はあるのかしら? 」
建太郎「ええっと……。ないってことか」
胡桃「そうよ。補助人の同意を要する行為がないならば、その行為を取り消すということもないし、追認するという事態も生じない。ということよ」
建太郎「うん……。すると、補助人に代理権を付与する旨の審判をするだけのために、補助開始の審判をする意味ってあるの? 」
胡桃「そういう疑問が生じるわね。でも、そういう制度だと覚えるしかないわ」
建太郎「うん。覚えるしかないか」
胡桃「ちなみに、後見開始の審判、保佐開始の審判、補助開始の審判。この三つの中で、一番、利用されているのはどの制度か分かるかしら? 」
建太郎「さあ……。データがあるの? 」
胡桃「もちろんあるわよ。次のようになっているわ」

令和3年のデータより(最高裁判所事務総局家庭局発表)
後見開始の審判……後見開始の審判の申立件数は28,052件(前年は26,367件)であり、対前年比約6.4%の増加となっている。
保佐開始の審判……保佐開始の審判の申立件数は8,178件(前年は7,530件)であり、対前年比約8.6%の増加となっている。
補助開始の審判……補助開始の審判の申立件数は2,795件(前年は2,600件)であり、対前年比約7.5%の増加となっている。

建太郎「圧倒的に多いのは、後見開始の審判なんだな。補助開始の審判はその十分の一程度か」
胡桃「そうよ。補助開始の審判はあまり利用されていないということね」

※問題は、ノベル時代社の肢別100問ドリルを利用しています。下記サイトから入手できます。

https://new.novelzidai.com/

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