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ダメ人間は踊れない

僕は僕のことを基本的に愛している、アイラブミー。
たとえどんな罵詈雑言を他人から言われようと僕さえよければ気にしないスタンスである。
「確かにこっちも悪かったけど、あんな言い方しなくてもいいのにね~?」みたいに心に過保護ママを住まわせている。

プラス、厄介事や失敗は色々なところで話のネタにできるため、美味しいと思っている。これは動画投稿者の性なのかもしれない。だから平気で危ないところへ飛び込みがち。

だけどこのところ、擁護できないほどに僕は自分をダメ人間だなあ、と思ってしまう。そのすべてをここに記すとゴシック体が月まで届いてしまうかもしれないから言える範囲のことで失礼する。

①充電ができない

スマホを毎日使うと思う。いつの間にか充電が減っていくことで有名なマシンだ。だから世の中の人は帰宅したらすぐ充電をする。予備の携帯充電器も抜かりなく用意する。しかしながら、僕の携帯は家を出る時点でMax充電だった試しがない。大抵65%くらいで改札を通り、目的地に到着したと同時にコンビニで充電器を借りる。便利な時代になって、充電器は機種を選ばずアプリで借りられるようになってしまった。最近では傘やチャリなんかも24時間借りられて、本当に甘やかされたものである。たとえば3月。土日は10日あったが、その内6日は充電器をレンタルしている。さらに+1日、充電器を借りることもできずに購入している。携帯充電器だって勿論何台か所持しているけど、それら全て持っていかないか、持ってきても充電されていないかのどちらかだ。ただ一つ信じて欲しいのは、家を出る前に充電のことをすっかり忘れていたわけではないということ。単純にできなかった。頭の中は常に沼みたいにドロドロしていて、そこに「やらなければいけないこと」と「やらなくてもいいが、やりたいこと」が無造作に捨てられている。その沼は視界が悪くて目を凝らしてもよく見えない。あと臭そうだからあまり近寄りたくない感じだ。「あんなに淀んでいたら、どうしようもないよね~?」頭の中でママが言う。僕は脊髄反射で頷く。
たまに僕が有線のイヤホンで音楽を聴いているのを見て「逆に?みたいな?尖ってんね~」と言う人がいる。残念ながら尖っているんじゃなくて、縋っている。だって無線のイヤホンは充電がいるじゃない。本体の充電もままならない奴が、イヤホンの充電までできるわけないでしょう。たまたま気が利いて、充電コードを持ってきても電源タップがなかったりする。その小さな絶望と失望の積み重ねがあの沼を深くする。ママがより一層僕を慰める。僕は悲劇のスターダムを駆け上がる。

②電話が嫌い

営業とかやっておきながらふざけ倒していると思うのだが、僕は電話が嫌いだ。緊張の割に成果が無い。大事な内容なら結局文章に残してほしいし、大事じゃないならしなくていい。勿論僕だって中身のない話題の楽しさは知っているけど、そんな楽しい儀式は対面で執り行いたい。かかってきた電話は出ずにこちらから折り返す。お化け屋敷で突然お化けが脅かしてくる感覚なのだ。ペースを乱されるというか、こちらの気も知らないで不意打ちで日常をぶった切られる感覚。それは仕事もプライベートも同じ。プライベートでたまに開催される長電話に関しても、かなりしんどい。相手は悪くないし、僕だってその人からの連絡はきっと嬉しい。だけどその間、何もできなくなってしまうのがしんどいのだ。何と言うか今自室には僕一人しかいなくて、ただ機械を耳に当てて喋っているだけの状態。その2時間、3時間でしようと思っていたことがどういうわけかできない。目の前で時間を空費していく感じがやるせない。だからたまに「さぎょイプ」とか「ディスコで通話しながらうんぬんかんぬん」みたいなのを聞くと凄いなと思う。絶対に作業を終わらせてから通話した方が実りあるはずだ。そんな空返事やぼんやりした話題をするために時間は使えない。時間は高級品である。

③ダメなことほどやってしまう

すごく大事な物を運ぶとき。絶対に傷つけてはいけないと思えば思うほど、僕はどこかにぶつけてしまう。「ここは真剣に話を聞く場だ」と思っているのに要らん一言を放り込む。Yahoo!知恵袋かなんかで「葬式で笑ってしまいます」という相談を見たことがあるけど、遠からず僕もそのタイプだなと思う。じいちゃんの葬式の時、僕だけ泣かなかったのはきっと「泣かなきゃいけない場所」と強く思い過ぎたからだ。棺桶の蓋が磨りガラスだったら?お焼香でつまむ抹香が出涸らしの茶葉だったら?お坊さんの木魚を叩く手首にハートのタトゥーが入っていたら?考えればキリがないほどのありえない情景が僕を涙から遠ざける。その非現実的妄想の後に、「おい、なんであのおばさんの喪服だけ背中のとこちょっとエロいねん」「この状況で誰か腹鳴ったぞ」「走り回ってるガキの靴、よりによって音鳴るタイプかい」と現実のツッコミどころを探してしまう。これが本当にきつい。いよいよ僕の涙は完全に姿を晦まし、なぜか余裕のある生意気な孫が完成する。

以上(異常、異状)。

先日、飲み会で持ち合わせがなく代表してクレカで支払った。皆から現金を受け取る際に「現金で貰うと使っちゃうんだよね~」と妹より年下の女性に言ったら、「ダメだよ。お金は大事に使わないと」と倒置法で叱られた。

その瞬間、筋肉少女帯の「踊るダメ人間」が頭で流れた。

『この世を燃やしたって 一番ダメな自分が残るぜ!』
3,2,1,0!
ダメ、ダメ、ダメ、ダメ人間
ダメ! 人間 人間

~中略~

ダメ―!
それでも生きていかざるをえない!

筋肉少女帯「踊るダメ人間」

果たして、僕はこの曲を生み出したオーケンみたいに、上手に踊れるかな。
何者にもなれなかった僕が、多様性やコンプライアンスを叫ぶ時代の中でそっと赦されてしまった。さて、自分を裁けるのは自分だけ。どんな罰を与えようかなあ。

あ、獄中記はnoteでね。

2024年6月17日夕暮れ時 自宅にて ダメ過ぎて休んだ、初夏。

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