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戦場に散りゆく戦士たち【エッセイ】
世界は平和ではない。
戦争は、いつだって隣にある。
いつだか飛び込んできたニュース。
北の国の精鋭部隊が、戦場へ。
あっけなく、散ったらしい。
彼らのことはよく知らない。
知らないが… 考えることがある。
彼らは最期に、何を思ったのだろう。
懸命に、生きてきたはずだ。
あの国で、兵士になるということ。
きっと名誉なことだろう。
「これで家族に恩返しできる!」
「祖国のために、立派な戦士になる!」
それしか、道はなかったのかもしれない。
必死で、たどり着いた未来だったはず。
それなのに…
祖国とは違う異国の地で、
ろくな説明も受けず、見下され、
理不尽な死を押し付けられる。
それが私なら…
世界を呪うだろう。
もし彼らが化けて出て…
恨みのまま押し寄せてきても…
私は突き放すことが、できるだろうか?
彼らの魂を、一体誰が癒せようか?
平和を得るため、必死に生きた者だけが。
その尊さを知るのだろう。
私たちに、できることは、あるのか?
確かなこと。それは…
忘れないことだ。
彼らだけではない。
かつて平和のために戦った、
犠牲になったすべての人々を…
絶対に、忘れてはいけない。
忘れては、いけないんだ。
私たちは今、生きている。
みんなが、誰もが。何かと戦っている。
それでも…
いま目をそらさずに、みんなで…
進むことができたら。
それこそが。
彼らへの、他でもない…
手向けの花と、なるのだろう。