ドーマー条件で考える許容できる財政赤字の規模
飯能高校探究部部長のギンです。今回は、新型コロナウイルスのパンデミック後における日本の国債金利、名目経済成長率をもとにドーマー条件を用いて、許容される財政赤字の規模について考えたいと思います。
ドーマー条件とは?
引用すると
となります。
ドーマー条件は、名目金利が名目経済成長率を上回っていれば政府債務対GDP比率が上昇(発散)し財政は不安定化するものの名目経済成長率が名目金利を上回っていれば政府債務対GDP比率は上昇しないため債務の持続可能性が維持されるという財政の持続可能性をチェックするための条件です。
そのため、経済成長率が名目金利を上回っていればたとえ財政収支が赤字になっていても政府債務対GDP比率は一定に保たれると考えることができます。
国債金利と名目経済成長率の推移
新型コロナウイルスのパンデミック後における日本の名目10年物国債金利と名目経済成長率を見ると概ね名目経済成長率が名目金利(名目10年物国債金利)を上回っていることが分かります。
詳しく見ると名目経済成長率は2021年3%、2022年2.5%、2023年5%、2024年はすでに出ている1〜3期は-0.9%で内閣府が出した内閣府年央試算の政府見通しでは3%になっています。
名目10年物国債金利は年平均で2021年0.07%、2022年0.23%、2023年0.56%、2024年は1〜7月の平均では0.88%で2024年全体では急激な利上げが行われないと思われることや日銀が国債買入れ(フロー効果)を続けること、日銀の大きなバランスシートによって生じるストック効果による下押し圧力によって1%前後で推移すると考えられます。
許容される財政赤字の規模
2024年の名目10年物国債金利を1%、名目経済成長率を3%をもとに計算すると政府債務対GDP比は187%なので
187%×1.01/1.03 ≒ 183.3%
なので対GDP比で3.7%の財政赤字までなら許容できるということになります。
金額ベースだと22兆7550億円になります。
まとめ
今回は、日本の国債金利(名目10年物国債金利)、名目経済成長率をもとにドーマー条件を用いて、許容される財政赤字の規模について考えました。
実際、対GDP比で3.7%、金額ベースで22兆7550億円よりも大きな規模の財政赤字が継続すると思います。
これからも経済、物価、金融情勢について話していきたいと思います。