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手放す勇気もないくせに

ううう、腰が痛い。
鼻水もくしゃみも止まらない。
こりゃ、風邪ひいたな・・・
明日も仕事だから、暖かくして寝よう。
午後10時過ぎに布団に潜りこんだ。

ZZZ・・・ZZZ・・・ZZZ・・・

山道を歩いていたら、手のひらサイズの茶色の毛虫を踏みそうになった。
ひぃぃぃーーー、と飛び上がり目が覚めた。
夢で良かった。
毛虫が出てくる夢は悪い夢ではないみたい。

起きたら、腰は痛くない、喉も大丈夫。
一晩寝たら、体の不調も良くなっていた。

特に変わり映えのしないいつもの毎日が始まる。
それでも、家族がいて、健康で、家があって、仕事があって、、
日常生活に困ることもない。

それでいいんじゃない?それでいいんだよ。

実際は満たされているのに、もっとちょうだい
もっと、欲しいの、とまあるい口をパクパクさせて
寄って来る鯉のように欲張りになっていたのかもしれない。

あのとき、全てを失ったと思った。
でも、それは元々は無かったもの。
私は何も失ってなどいない。
それが一瞬でも自分の手に入った錯覚を覚えただけ。

私の手はふたつしかない。
この両手に抱えられる以上のものが欲しいのなら
何かひとつを手放さなければならない。
それが世の理というもの。
手放す勇気もないくせに・・・

朝ご飯とお弁当を作り、簡単に掃除と洗濯を済ませる。
夫と娘を「行ってらっしゃい」と送り出して仕事へ出かける。

背伸びせずに、地面にしっかり足を付けて
毎日、どうでもいいことでケラケラ笑って・・・
今ここにある身近な幸せを見失わないように歩いて行こう。

なんだ、私、幸せだね。





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Hanniのおと
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