見出し画像

専門家が説明:高麗人参について

高級生薬として有名な『高麗人参』、今日はその詳細についてご紹介いたします



スーパーで見かける人参と高麗人参は全くの別物


スーパーで見かける野菜のにんじんは、『セリ科』、高麗人参はウコギ科の植物で、全くの別物です。
根が別れて『人のような形』をしているため人参という名前になったと言われています。

朝鮮半島から伝えられた高麗人参


日本で高麗人参の栽培は、八代将軍 徳川吉宗が、対馬藩に命じて高麗人参の種苗を朝鮮半島から入手したことから始まります。

その後、各地の大名に『御種(おたね)』を分け与え栽培を拡大するように推奨しました。
このことから、和名では『御種人参』と呼ばれるようになったとされています。

高麗人参には2種類ある

高麗人参には、『白参』と『紅参』の2種類があります。

これらは、種類が違うのではなくその加工法に違いがあります。

白参・・薄皮をむき乾燥したもの
紅参・・皮をむかずに蒸して天日で乾燥させたもの

違いは、皮をむいているかないか、蒸しているかいないか ですね。

では、この加工の違いで効果にどのような差が出るのでしょうか。


皮に有効成分の『サポニン』が多く含まれる


多くの植物でもそうですが、皮の内側すぐに、栄養成分が多く含まれています。
高麗人参も同様で、皮近くには人参特有の有効成分が多く含まれています。
皮をむくと、このサポニンの多くが失われてしまうのです。

高麗人参はなぜ高い?

それは、栽培にとてつもなく時間と手間がかかっているため

高麗人参の栽培は、ほとんどが手作業で行われます。
畑をならし、種まき、植え替え、水分調節、追肥、除草、越冬対策などを手間暇かけて行います。

そしてようやく収穫しても、すぐに次の種を植えることはできません。

高麗人参は、土壌中の栄養素を全て吸収してしまうとされており、収穫後には畑の土が痩せてしまうので、4年間土を休める必要があります。

最も有効成分のサポニンが豊富な6年根(栽培に6年かけた高麗人参を作るには10年もの歳月がかかるのです)


最も効果の高い高麗人参は?

白参と紅参では、紅参の方が有効成分が含まれているというお話をしました。

では、同じ紅参ならなんでもいいかというとそうではありません。
栽培年数に時間をかけた、6年根(栽培に6年かけて根を大きくした高麗人参)が最も有効成分を含むとされています。

1〜3年根:糖質が多く高麗人参特有のサポニンは少ない
6年根:高麗人参特有のサポニン含有量〜4倍になり、サポニンがバランスよく含まれる

高麗人参に特有のサポニンとは?

高麗人参の効果を左右すると言っても過言ではない機能性成分『ジンセノサイド』は高麗人参に含まれる代表的なサポニンの一種です。

ジンセノサイドは20種類以上が含まれていることがわかっており、大きく分けると『ジオール系』と『トリオール系』の2つに分けられます。

高麗人参の産地は、韓国・日本・中国が有名ですが、韓国産の高麗人参に最も多くジンセノサイドが含まれていまます。

ジオール系ジンセノサイドは、興奮しすぎた中枢神経に抑制的にはたらき、気持ちを沈めてリラックスした状態にします。

トリオール系ジンセノサイドは、中枢神経を興奮させて、血管を収縮させ、活力を生み出します。『高麗人参を飲むと元気になる』という所以です。

ただし、この作用は『高麗人参を飲むとドキドキする』『手が震える』などの症状にもつながります。

これらの相反する作用をもつ成分が、バランスよく含まれることで高麗人参独特の効果が得られるのです。

高麗人参特有の機能性成分 コンパウンドK(CK)

近年の研究より、高麗人参のサポニン 『ジオール系ジンセノサイド』が、腸内の善玉菌によって代謝され、有効成分のコンパウンドKに代謝されることで、体内に吸収され効果が発揮されるということがわかりました。

高麗人参の効果を実感するためには、有効成分が『腸内細菌によって代謝される必要があるのです。

ジンセノサイドを代謝することのできる腸内細菌を持っていない人では、効果を感じにくいということになります。


発酵させることによって効果を感じやすい『高麗人参』になる

高麗人参を発酵させた場合には、高麗人参の有効成分であるコンパウンドKをより効率的に吸収できるという研究報告があります。

高麗人参はこんな方に効果的

●更年期障害・ストレスで心身共に様々な不調がある場合。

高麗人参には、『養心安神』という【効能】があり、気持ちを落ち着かせたり精神を安定させて、不定愁訴を解消します。

●むくみ

高麗人参には、血管拡張や赤血球を変形させて血管の隅々まで行き届かせる働きが知られており、末梢の血流の流れをよくします。
また、腎臓の働きをサポートして、腎機能を強化し、老廃物や余分な水分を尿として出すことが、むくみの改善に役立ちます

●お天気頭痛

雨が続いたり、台風が近づくと頭が痛くなったり、重だるくなったり、気持ちが沈む・・このような不調は『気圧の急激な変化』と関係しています。

高麗人参には、交感神経と副交感神経のバランスを整えて気圧の変化に柔軟に対応できる体づくりをサポートします

●糖尿病の予防

高麗人参は、動物実験ではインスリンの感受性を高めることで、血糖値を下げる効果が確認されています。

また、末梢循環血流を改善することで、血糖値が高いことによる合併症の予防も期待できます。

●低血圧

高麗人参は、副交感神経の緊張を鎮めて心機能をサポートし血圧を安定させて、低血圧に伴うだるさや疲れを改善します。

●貧血

高麗人参は、骨髄での細胞分裂を盛んにすることが知られています。
赤血球の合成を促し、酸素が豊富な血液を抹消に届けるサポートをします。

●動脈硬化の予防

血液中の中性脂肪を下げて、コレステロールの分解や排出を促すことが知られています。

●冷え性

女性に多い冷え性は、末梢の血液循環が悪い(血行不良)が大きな原因とされています。
全身の血管の90%以上を占める毛細血管は、髪の毛よりも細く、最も細い部分では内径3μ程度しかありません。赤血球の大きさは7〜9μ。赤血球はそのままの形では、毛細血管を通過して、酸素と栄養が豊富な血液を送り届けることができないのです。

そのため、赤血球は毛細血管に入る時、通過しやすいように楕円形に変形します。(赤血球変形能)

高麗人参は、この赤血球変形能をサポートし、血管を拡張して、末梢の血流を改善することが知られています。

●美肌

高麗人参には、タンパク質合成を促す働きが知られています。
肌のターンオーバーが活性化し、美肌づくりに役立ちます。

また、シミの原因となるメラニンの合成を抑止し、弾力を保つ働きもあります。

●胃腸の健康サポート

高麗人参には、胃腸の働きをサポートし、消化機能を促したり、食欲増進させたりして、弱っている胃腸を丈夫にする働きがあり、胃腸の不調に役立つ多くの漢方薬に配合されています。

●脳機能の維持

高麗人参には、血栓溶解鎖陽や脳細胞を保護する働きがマウスの実験で報告されています。
また認知症の原因とされているベータアミロイドタンパクの蓄積抑制、減少も報告されています。

●感染症時の回復

体温の上昇と免疫力アップには深い関係があり、体温が1度上がると免疫力は30%上昇すると言われています。高麗人参には、血液循環をよくし、体を温める働きがあります。
また、動物実験ではウイルスの増殖抑制作用が報告されています。

*これらの働きは『高麗人参』の働きとしてご紹介しており、特定の商品の効能効果を推奨するものではありません。


まとめると・・・


高麗人参の効果をしっかりと感じたい場合には、

『6年根の紅参、特に韓国産のものに有効成分が多く含まれており、さらに発酵させているものだとより効果を実感しやすい』

ということになります。

商品を選ぶ際のご参考に・・





いいなと思ったら応援しよう!