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専門家目線になる漢方薬の使い方①〜女性三大漢方薬の使い分け〜

女性の3大漢方薬、『当帰芍薬散』『加味逍遙散』『桂枝茯苓丸』

この、3つの漢方薬の使い分けについて、中医学的な観点からその違いや類似点などをご紹介いたします。

まず、ざっとその違いを『適応症』と『構成生薬』から見てみましょう。



当帰芍薬散・加味逍遙散・桂枝茯苓丸の適応症と構成生薬


3大漢方薬の違い


月経不順・月経トラブル

適応症を見ると、似たようなものが並んでいますね。
特に、
月経不順・月経異常・月経痛などの月経に関することに効果があるのは共通しています。

より詳しく月経のトラブルを見ていくと、3つのうちどの漢方薬がいいのかを自ずと選ぶことができるようになるのですが、今回はさらっとまとめているので、どれも月経トラブルに使えるということが共通しているのがわかります。

月経に関しては、さらに詳しく見ていく必要があるので、別途またの機会にその詳しく解説したいと思います。



『冷え』『冷え・のぼせ』



また、『冷え』というのも共通していますね。

加味逍遙散と、桂枝茯苓丸には、『冷え・のぼせ』と記載があります。

この2つには、『熱を冷ます働きのある生薬』が入っているため、熱の症状である『のぼせ』にも効果があるのです。(足元が冷えることで、陽気が上に上りやすくなってしまい、上半身、特に頭部や顔面ののぼせにつながります)

水滞による『むくみ』『立ちくらみ』

また、むくみや立ちくらみなどは、体内の余分な水の偏りと関連していますが、体内の余分な水分を除く生薬は、3つのどの漢方薬にも1つは含まれています。

ただし、
当帰芍薬散 : 3種類(茯苓・白朮・沢瀉)
加味逍遙散. : 2種類(白朮・茯苓)
桂枝茯苓丸 : 1種類(茯苓)

なので、水湿の偏り、滞りが原因のむくみや立ちくらみ、めまいには当帰芍薬散が一番効果がある可能性があることが生薬の構成からわかります。

『血虚』によるめまい・立ちくらみ



血を補う力が強いものは

当帰芍薬散 : 2種類(当帰・芍薬)
加味逍遙散  :2種類(当帰・芍薬)
桂枝茯苓丸 :1種類(芍薬)

であり、血虚によるめまいや立ちくらみには、桂枝茯苓丸は他の2種類よりは効果が出にくいことが予想できますね。

『血のめぐり』が悪くなっているための痛み



血のめぐりという点から見ると、
3種類ともに活血薬が入っているのですが、

活血薬の強さは
牡丹皮・桃仁 >> 川芎

なので、桂枝茯苓丸が最もめぐりをよくすることが期待できますね。

めぐりが悪くなっていることによる、肩こりや下腹部痛には、桂枝茯苓丸が効果的であるといえます。

補足



漢方薬の適応症に、『体力虚弱で』『体力中程度で』などと記載があることがありますが、中医学では、この体力を指標とした虚・実は重要視していません。

体力があるかどうかよりも、食欲があるかどうか、胃腸が丈夫かどうかの方が重要です。

胃腸が弱い方だと、まずは胃腸を立て直さなければ、漢方薬を十分に吸収できずに効果も出ないことが予想されます。





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