わかりやすい!漢方薬Vo.5 くすり箱にあると便利な漢方薬③柴胡桂枝湯
本格的な風邪をひいて、高熱や喉の痛み、頭の痛みなどのピークの症状は無くなってもしばらくはなんとなくすっきりしない、頭がぼーっとする、体の節々が痛い、だるい、下痢っぽい、食欲がないなどの症状が続くことがありますね。
これは、中医学では『半表半裏』の状態といい、体表だけにとどまっていた病邪が、一部からだの中に侵入してしまったと考えます。
まだ風邪のような症状が残ってはいる(表証がある)のですが、胃腸にも影響を及ぼしている(裏証もある)のでこの状態を『半表半裏症』というのです。
半表半裏の症状に使う代表的な生薬は
『柴胡(さいこ)』で、
この柴胡が配合されているのが柴胡桂枝湯です。
柴胡桂枝湯
柴胡桂枝湯は、風邪をこじらせて、なかなか症状がスッキリとしないときにぴったりな漢方薬です。
ポイントは、「柴胡」という生薬が入っていること。
柴胡桂枝湯は、体力がない人の風邪に使われる『桂枝湯』と、風邪が長引いて胃腸にまで症状が出てきたときに使われる『小柴胡湯』を合わせた漢方薬です。
服用に適さない方
特にありません
服用における注意点
特にありません
『柴胡桂枝湯』は、特に注意すべき生薬も入っていないので、葛根湯と違ってご高齢の方でもお飲みいただける漢方薬です。
柴胡桂枝湯に含まれる生薬
柴胡
柴胡は、自律神経の調節に関係する『肝』の働きを高めて、気の流れをスムーズにする生薬です。
こじらせた状態や精神症状(うつうつとした気分、スッキリしない気分など)を解消し、抗炎症作用があるため、風邪ウイルスによって起こった体の各組織の炎症を抑えるはたらきがあります。
また、抗アレルギー作用を持つため、皮膚のかゆみなどが強くてイライラする時になどにも使われることがあります。
生薬の多くは、中国からの輸入品ですが、柴胡は国産のものが最も品質が良いとされています。
漢方薬の中に、『柴胡(サイコ)』という文字があれば、自律神経の調整・抗アレルギー・抗炎症作用があるのだな、と思ってくださいね!
英語で、心理学のことを『psychology(サイコロジー)』と言いますが、柴胡は心理面にも効果があるので、関連づけて覚えましょう。