見出し画像

夜明け

久々の夜明け。

珍しく気付いたら寝てしまっていて、変な時間に目が覚めた。
あたりはまだ暗い。
とりあえず顔でも洗って、歯を磨く。

しばらくするとカーテンの向こうがわが白んできて、朝がやってくる。

窓を開けると、まだ青白い空の下で誰の気配もない中学校のグラウンドがどこか少し怖い。
ひんやりした風が肌をかすめて、そろそろ夏が帰ろうとしている。

人の姿は見えず、車の音も聞こえない。
ただ虫の鳴く音だけが響いている。
もしかしたらもうここには誰も人がいないのかもしれない、そんなよくある妄想が頭をかすめるほどの静けさ。

1日が昼と夜に分けられてしまいそうになるいつもの暮らしのリズムの中にも、こんな時間は毎日必ずやってくるのだという事実が私を安心させる。

食べた食器を洗って、洗濯ものを干す。
この時間は家事をするのが一番心地いい。

きっと、この時間の温度と匂いが、生きている時間の中にあることを確かめている。私自身も。

#エッセイ
#夜明け

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?