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バンコク経由ミュンヘン行き【ヨーロッパ1ヶ月滞在記#Prologue】

2022年12月 ヨーロッパ1ヶ月滞在 - day0


就職活動を終え、単位も取り終わり。ひょんなことからバイトも辞め。

文字通り、何もやることがなくなった学生最後の半年間。

究極のモラトリアム期間をどう使おうかと贅沢な悩みを抱えていた私は、
周りの大人、人生の諸先輩方に、その贅沢な悩みをぶつけまくっていた。

「半年間、自由に使える時間があったら何します?」

・・・

大学を卒業する前にフルタイムで1年半くらい働いていたんだけど、
だからこそ身にしみる「何にも縛られない時間」の有り難さ。

その有り難さに気が引けてしまって、何をしようとワクワクするより、
「どうしよう」「何かしなきゃ」という焦りの方が大きかったのかも。

兎にも角にも。

「半年間、自由に使える時間があったら何します?」

と尋ねる私に返ってきた答えの大半は

「旅行、行くかなあ」

でした。

・・・

そして、周りの大人たちのそんな回答を素直に受け取った私は、
もう金輪際旅行なんて行けないんじゃないかっていうくらい
就職前に旅行しまくった。
(社会人になっても旅行には行けるよ?と諭されたくらい。笑)

そのうち、最も大きかった旅行。自分史上、最長の旅行。

ヨーロッパ1ヶ月滞在計画

・・・

早いもので、
夢みたいなあの期間からそろそろ1年が経過しようとしているのだけど。

仕事の合間の、暇を持て余している時間を使って、
あの1ヶ月のことを記録しておく。
忘れるにはあまりにも勿体無い、贅沢な時間だったから。


2022年12月18日 日曜日

どきどきわくわく。緊張して眠れなかったなんて恥ずかしい話だけど、冬晴れの空に飛び立つ機体を見た時のあの胸の高鳴りを今でも鮮明に思い出す。

一緒に旅行する友達とは現地で落ち合うので、約一日の往路は一人。一人で国際線に乗るなんて始めてだったけれど、どきどきよりもわくわくが勝っていた。1ヶ月分の荷物を詰め込んだスーツケースを測るその瞬間だけは、どきどきしたけれど。

留学以来、3年ぶりの海外旅行。機内食後のコーヒーが美味しいと思うくらいには大人になった自分が微笑ましい。英語力は著しく低下しているけれど一般常識はついたみたいで、前よりも落ち着いて旅路を楽しんでいる。

往路は値段重視のタイ航空。到着は早朝だから今のうちに寝ておかないとって思うほど、力が入って眠れない。浮き足立つ遠足前の小学生みたい。久々の長距離移動と機内の寒さとエンジン音に疲れ果てた頃、ようやくバンコクの上空に到着。

飛行機からの夜景は絶好で、普段考えないような途方もないことばかり頭に浮かんでは消えていく。どんなに自分の心を自由にしていたって、日常を送っている世界が全てになってしまうのは仕方ない。でも、空の上から知らない街を眺めていると、ありきたりに、「世界って広い」「自分って小さい」と感じずにはいられない。飛行機に窓から見える一つひとつの灯りの先には、その数だけ誰かの生活があるはずだから。そして、自分の小ささに気が滅入るほど、眼下に広がる灯りの下にあるはずであろう知らない誰かの生活を、少しだけ覗きたくなる。だから、私は旅が好き。

なんて。らしくないことを考えているうちに静かに着陸。

それにしても、バンコク空港は広すぎた。簡易的すぎて不安になる手荷物検査を通過して無事トランジット。ちょうどワールドカップの決勝戦の最中で、自国を応援する人の雄叫びが聞こえた深夜の空港が少しだけ懐かしい。

それにしても広い空港だった。ひたすらに歩いたし、真夜中なのに活気がある。世界中各エリアの国の航空会社が乗り入れていて、それはもうトランジットで栄えているかのよう(失礼)それにしても、こんなに国境が解けた世界でもなお、日本では出会わなくて海外ではよく出会う香りがあるのが不思議。「海外に来たんだなあ」って実感した最初の瞬間。3年ぶりのその感覚に、眠気も疲れも吹っ飛んでしまう。

あまりにも英語力が低下していることを既に実感して「うまく英語で話せなくても、とりあえずニコニコしていよう」と謎に旅のテーマを決める。ご機嫌な旅にしたいから。日本人よりコミュニケーションに積極的なのに、日本人よりずっと他人に興味がなさそうな"外国人"に救われたり。

バンコクから12時間のフライト。食事以外ほぼ爆睡。気づけば、早朝のミュンヘンに到着していた。

見渡す限りの雪に外気の冷たさを想像して怯える。
入国審査があまりにスムーズで日本のパスポートの優秀さを実感する。
着陸5分でインターネットが使えてeSIMの便利さに驚愕する。
AirTagのおかげでロスバゲしていないことがわかるだけで安心する。
迷わず困らず目的の電車に乗れたことに達成感をおぼえる。

日本にいたら当たり前のことすら新鮮で、これを人は冒険心くすぐられる、というのかもしれない。敢えて知らない場所に行くの、楽しい。

五感をフル活用して旅の始まりに胸を躍らせる。そんな旅のはじまり。


To be continued…👟

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