図書館に住んでいるようなこどもでした。
糸崎舞さんのこの企画に参加したいと思います。
なんと言っても、私の人生と本は切っても切り離せません。
今回は、本と過ごした子供時代について書きたいと思います。
入学前
母の話では、3歳くらいからは読み聞かせを拒否し、自分で本を読んでいたとのことです。
保育園に通っていたのですが、保護者面談ではいつもこう言われていたそうです。
「Hannaちゃんは、全く外に出ません。
毎日毎日、一人で保育園の小さな図書コーナーにずっといます。
外では全然遊びません。
どろんこ遊びは手が汚れるから嫌だと言い、夏の水遊びもパンツになるのが恥ずかしいと言ってやりません。」
こんなことを毎回言われた親の気持ち…今ならわかります。
なんて扱いづらい子供なんだろう…。
家でもいつも何かをひたすら書くか、本を読んでいたそうです。
とにかく本が多い家で、特に裕福な家庭でもないのに、父は自分専用の書斎を設け、天井までびっしりと壁が本で埋まっていました。
それにしても、かけがえのない幼年期に、なぜ実体験を重視せず、本の世界に埋没していたのか…今となっては悔やまれる部分も多々あります。
小学生
小学生になると、保育園とは比べ物にならないほどの本がある学校の図書室に入り浸りになりました。
全集で印象深いのは、怪盗ルパンシリーズです。怪人二十面相の巻を読んだあと、一人で下校するのが怖かったことを覚えています。
横山光輝さんの三国志の漫画があって、貸出不可だったので、休み時間の度に図書室まで行って読んでいました。
また、それでは飽き足らず、下校後に小学校の裏手にあった市の図書館で大人向けの本も読んでいました。
当時は「出かけるときは一度家に帰ってから」とか「遊ぶのは〇時まで」というルールもそれほど厳しくなかったので、閉館まで入り浸り、司書さんに閉館の声掛けをされてようやく気付く、といった具合でした。
まるで図書館に住んでいるようなこどもでしたね。
もちろん、国語の教科書は配られた日に全部読んでいました。
noterさんにはそんな人、多いですよね。
あらゆる本を読んでいたため、いつもふわふわと夢の中にいるような感じになり、白昼夢を見たり、自分がどこを歩いているのか突然わからなくなったり、親としては心配が尽きなかったと思います。
登下校中も歩きながら本を読んで、電柱にぶつかったり溝に落ちて怪我が絶えませんでした…。
中学生
中学生になると、主に純文学を好みました。
夏目漱石、川端康成、芥川龍之介、遠藤周作、ヘッセなど。
ほかにも三浦綾子や山崎豊子、司馬遼太郎なんかも好きでした。
とにかく幅広く何でも読みました。
記憶力があまりよくないので、すぐ忘れてしまうんですが(笑)
「車輪の下」「若きウェルテルの悩み」などは、当時、本当に共感して、泣いたのを覚えており、最近読み返したのですが、印象が全く違います。
「うーん、若いわぁ、青いわぁ」と苦笑してしまいました…。
本って、しばらく経って読み返すと、全く印象が違うことが多くあり、それがまた魅力でもあります。
当時、図書館でやっていたことが一つあります。
宮崎駿監督の「耳をすませば」がそれはそれは大好きだったので、「いつか天沢聖司くんのような彼と出会えるかも!」と、貸出カードにせっせと名前を書いていました。聖司くんのような、カードにたくさん名前を書いている人がいないかと探してもいました。当然、そんな出会いはなかったんですけど…。
相当本を読んでいた私ですが、残念だったことが一つあります。
中学卒業のときに、父からロマンロランの「ジャンクリストフ」全4冊をプレゼントされ、「これはお父さんが学生のときに読んで、心から感動した本だ。ぜひ読んでほしい」と言われたのですが、しっかり読めなかったことです。
どこが良いのかもわからず、なんとか最後まで読んだのですが、そこまで感動することができませんでした…。
クラシック音楽を愛する父のような感性がないのかと、悲しくなったのを覚えています。
その後
高校生以降は、あいかわらず本は好きでしたが、恋愛もして、実生活のほうも大切になってきたので、「図書館に住むような」生活ではなくなりました。
読む本も、村上春樹、江國香織、吉本ばなな、山田詠美など、恋愛を中心とした、現代的でやわらかく温かい印象のものを好むようになりました。
この傾向は今でも続いています。
そんな訳で、本とともに(ちなみに漫画も大好きです)学生時代を過ごした私は、周りからは、「ずっと本を読んでいる、ぼーっとしたちょっと変わった人」と見られていたと思います。
でも、実はnoterさんの中には、私のエピソードを読んで、「わかるわかる!」と言ってくれる方が結構いらっしゃるのではないでしょうか?
「教科書を配られたその日に読んでしまう」話を書かれている方が何人もいらっしゃるので。
そんな期待をこめて、書いてみました。
共感していただけたら大変うれしいです。