版元ドットコム

版元(出版社)自らの手による書誌情報の発信や流通の改善を模索、追求する団体です。 noteでは、毎週掲載の「版元日誌」を載せていきます。 https://www.hanmoto.com/

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  • メールマガジン【ほにゃpress】

    書店員、出版業界関係者など、書店実務の情報共有やtips、業界ニュースなどを配信いたします。

最近の記事

作者来日、版元は何をするのか?――『ブリクセン/ディネセンについての小さな本』――

子ども時代 田中(枇谷) 玲子 出版社子ども時代とは?  北欧専門出版社、子ども時代の田中(枇谷)玲子です。2005年から翻訳者として北欧語の書籍を70冊強翻訳してきました。(参考:北欧語翻訳者枇谷玲子HP)  依頼者としても経験を積んだ方が、出版社の立場や都合も理解できるようになるだろうと考え、2021年に合同会社子ども時代を設立しました。(参考:子ども時代HP)翻訳者としての活動と並行しながら、2022年6月にデンマークの育児書『デジタルおしゃぶりを外せない子どもた

    • 索引という起爆装置

      七月社 西村 篤 さくいん【索引】 書物の中の字句や事項を一定の順序に配列して、その所在をたやすく探し出すための目録。インデックス。「人名―」「事項―」(『広辞苑』第七版) 大部の専門書の編集作業。著者と編集者の間での何往復ものゲラのやりとりが終わり、やっと本文が校了、もうクタクタ、ゲラなんて見たくない……、というところから始まるのが、索引づくりです。見たくないゲラをもう一度、じゃなくて何度も何度も繰り返し見る作業が始まります。 さて、本の索引は誰がつくっているのでしょ

      • 75年後の黒澤明と小津安二郎

        三四郎書館 編集部 ここ一年間くらい、頭の中、心身の情態は、小津安二郎監督の映画作品と残したテキスト、発言と取っ組み合いをしているような日々でした。 この取っ組み合いは、まさに突発的に、あるいは、実際のところは、じりじりと累積的に起こった嵐に巻き込まれるような感じでした。 その嵐の一つの帰結が新刊『小津安二郎発言クロニクル〈1903~1963〉』(2024年11月25日発売予定)に結実することになりました。 先日も、目黒シネマで小津監督の『晩春』と黒澤監督の『羅生門』

        • ユニークな地方出版社

          サンライズ出版 斉藤 美歩 滋賀県に住み始めて16年になります。15年県外で働き、滋賀県で働き始めたのは昨年2023年、ようやく1年が経ちました。この会社がサンライズ出版です。出版社に勤めたのも初めてなので、滋賀県内勤務・出版社経験1年になります。 小社で働きたいと思ったのは、滋賀県、特に彦根で働きたいと思ったからです。出版社で働く理由としては見当違いに思えますが、ご縁があり、現在働いています。 グラフィックデザイナーの求人で採用いただいたのですが、私の最初の仕事は、鳥

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        • メールマガジン【ほにゃpress】
          1本

        記事

          近代出版史はリフレインするのか

          志学社 平林 緑萌  この原稿を書き始めた2024年10月1日、志学社はちょうど第7期に入った。  創業は2018年の10月1日で、もうひとりの役員である山田とともにこの日を選んで登記したのは、秦の暦が10月歳首(1年が10月から始まる)ことにちなんでいる。  志学社選書の1冊目である『侯景の乱始末記』の復刊が成ったのは約1年後なので、ずいぶんスロースタートで、しかもその直後にコロナ禍に見舞われている。  いまから思えばよく凌いだなと思われるのだが、当時は(いまも)必死で

          近代出版史はリフレインするのか

          シェア型書店の棚主になってみた!

          さくら社 町田 真理子 神田神保町ではこの数年、シェア型書店が増えています。覗いてみると、新書に古書、大手版元の受賞作から個人出版の本まで、棚主の個性をいかんなく発揮した棚が順不同で並んでいて面白いよね、と社内で雑談していたときに、一人のスタッフから「さくら社でもやってみたらどうでしょう?」と声があがりました。6月上旬のことです。 シェア型書店は一般の本好きな方が立ち寄るイメージがあり、当社が出しているような専門書は手に取ってもらえないのではと口にしたものの、ほかのメンバ

          シェア型書店の棚主になってみた!

          版元日誌 7月28日~9月16日

          作品社 青木 誠也 7月28日(日)  前日から栃木県小山市に滞在し、川べりの店で鮎を食べたり淡水魚専門の水族館を見に行ったり。この日は朝から、関東有数の規模として知られる花火大会の設営をお手伝い。 打ち上げ花火の重い筒を設計図通りに並べて配線を施したり、櫓に登って仕掛け花火を結びつけたり。同道した早川書房のYさん、KADOKAWAのAさんとOさん、くまざわ書店のIさんは昨年に続いて2回目の参加だったそうですが、私は今回が初めて。なかなかできない貴重な体験でした。お誘いくだ

          版元日誌 7月28日~9月16日

          編集者と出版者のあいだ

          さいはて社 大隅 直人 先日、YouTubeを見ていたら、飼い主に溺愛されているゴールデンレトリバーが、ジャパネットたかたの社長(現会長)の声が大好きで、テレビをつけると画面にすり寄り、ひたすらそわそわするという動画が、なぜかおすすめに上がってきた。 犬も歓喜する美声を聴いているうちに、私は、28年前、29歳のときに、糊口をしのぐために国語教師として働いていた学習塾が倒産することになり、あわてて就職活動をした挙句に、とある出版社に潜り込むことに成功して、編集者の道に入るこ

          編集者と出版者のあいだ

          〈ほにゃPress〉 vol.00━2024.10.4

          〈ほにゃPress〉 0号  ▽メルマガ配信登録 https://www.hanmoto.com/mn/?p=subscribe&id=8 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ vol.00━2024.10.4━ 〈ほにゃPress〉  発行責任者:版元ドットコム Webサイト:https://www.hanmoto.com ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■はじめに■…………………………………………………… はじめまして、

          〈ほにゃPress〉 vol.00━2024.10.4

          10月5日開催、Books&Something 2024にお越しください

          三輪舎 中岡祐介 久しぶりの版元日誌への投稿となります。過去何回書いたのかなと調べてみると、 本屋にきびしい国で、本屋が増えるはずがない。 (2015年8月26日) 「本の解放区」:オルタナティブに本を売る(2017年4月12日) 生活のまちにひらいた不思議な本屋のはなし (2021年7月14日) 3回も書いています。ちゃんと働いてきたなぁと関心していたのですが、読み直してみると出版社の話というより本屋とかブックイベントのことしか書いていない。さすが10年で11冊しか本を作

          10月5日開催、Books&Something 2024にお越しください

          1000人あつめて出版の名のもとに

          サウザンブックス社 古賀 一孝 2016年10月創業の弊社、来月で創業8年になります。 おっかなびくりで立ち上げ、今日までひたすら走ってきましたが、 おかげさまで、これまでに50点強の世界の本を翻訳出版することができました。 原書の発行国は、米国、英国、ドイツ、台湾、韓国、イタリア、スペイン、オランダ、デンマーク、チェコ、フランス、イスラエル、 と、10カ国以上になりました。 クラファンを活用した事前予約をとることで、 採算が合わず出しにくいとされる世界の本(翻訳書)を

          1000人あつめて出版の名のもとに

          「対面」の大切さ

          彩流社 各務 英雄 様々なものがデジタル化され、人と人とを結ぶ関係が希薄になりつつある時代、コロナ禍がそれを加速させ、ますます繋がりが薄れてきているような気がします ネット通販を活用し店に行かなくても、欲しい商品が手に入る。 江戸時代の人間がタイムスリップしてきたら、きっと目を丸くして尻餅をつくでしょう。 書店・スーパー・コンビニではセルフレジが増え、人を介さずキャッシュレスで簡単に欲しいものが手に入る時代になりました。 一時代前のSF小説に、コンピューターが神となり

          「対面」の大切さ

          祝祭から日常へーー「本の産直市」を考える

          ころから 木瀬貴吉 2024年7月、神奈川県茅ヶ崎市の長谷川書店ネスパ茅ヶ崎店の店頭で「本の産直市」を開催した。 事前に茅ヶ崎駅でチラシ配りなどした甲斐もあり、多くのお客さんが来店された。売り子となった各社スタッフも店頭に立って声をからし、金曜から日曜までの3日間で総額60万円近くを売り上げた。 ただ、「開催した」というのは、ウソではないがやや正確性に欠ける。 主催したのは、11の版元・クリエーターと同書店であり、いわば共催の形だったからだ。 小社を含めた版元スタッフ(そ

          祝祭から日常へーー「本の産直市」を考える

          汗かきさん! この指とまれ~

          木立の文庫 津田 敏之 わたしは真夏のこの季節でも 明け方に 重い布団を二枚かぶって 自家製サウナ状態で 汗を2リットルかくのがルーティンになっています (汗を吸ったシーツ2枚の重みで 2リットルとわかるのです) 夕食で水分2リットル注入して 翌朝に2リットル放出する道理です (1リットル放出の頃に目覚めて 着替えて水500ml補給して 二度寝しながら残り1リットルの放出に取り組みます) これぞ「いのち」のリ-インカーネーションです (+2-1+0.5-1で 日ごと500

          汗かきさん! この指とまれ~

          自分にあった、豊かな生活を求めて。

          コトノハ 針谷 周作 本が売れない! 書店に人が来ない! そんな状況を見かねて、数年前、地元の東急池上線沿線で「池上線ブックフェスタ」と名打って、沿線にある14の書店とともにイベントを行った。 2013年から、地元の街の本を出版してきた私たちは、この沿線にある街の書店になんとか足を運んでもらい、いつもより多くの本を買ってもらおうと日々考えていた。 14の書店に段ボールにイラストを描いた大きなボードを展示してもらい、この沿線にかかわりのある本の書名を訪れた人に書いてもら

          自分にあった、豊かな生活を求めて。

          琥珀書房からのご挨拶 学術出版の一隅にて

          琥珀書房 山本 捷馬 はじめまして、京都で学術書や学術資料を刊行しております琥珀書房の山本と申します。 初投稿なので、簡単な自己紹介と仕事について思うところを記します。 琥珀書房は、大きく3つの仕事をしていこうと思っております。 A:研究者の単著・共著の刊行。 B:新聞・雑誌・日記などの貴重資料の出版。 C:小さな記録や作品を残していくこと。 Aについては、多くの人に馴染みがあるかと思いますので、ごく簡単に。著者が10年近くかけた仕事をご一緒に形にすることは、大変やりが

          琥珀書房からのご挨拶 学術出版の一隅にて