見出し画像

警察よもやま話(警察のOJT)

 今回は、警察のOJT(On the Job Training)についてお話しします。

 警察組織は、各警察職員一人一人のスキルアップを図りもって組織の「底上げ」と裾野を広げるため昔からOJTを積極的・効果的・継続的に活用しています。ただし、OJTの内容が警察業務に関する機微なものを伴うことから、外部へのアウトソースは殆ど行わず組織内の講師陣(と言っても現職の警察官或いは警察職員ですが)によるコースが凡そ90%を占めます。

 

1 部門別OJTは、警察学校で行う

  ご存じのとおり警察には大きく分けて

   生活安全、刑事、交通、警備、警務(留置管理、マネジメント)

の部門があり、これらの各部門別の様々なコースのOJTがほぼ通年行われています。OJTの期間中は通習形式ではなく、通常都道府県警察学校の寮に宿泊しながらの全寮制による方式が採用されています。

 この警察学校におけるOJT期間中参加者は、それぞれの所属における通常業務を中断して約一週間OJTに集中します。この間参加者は、籍を源所属に置きながら「専科生」としての身分で警察学校長の指揮監督下に入るという特殊な勤務形態になります。

 こう書くと、専科生として一週間「骨休め」ができて良いなーと思われるかもしれませんが日頃怠惰な日常生活を送っている警察官が警察学校の学生とともに朝6時半の起床点呼、食事、授業という超規則正しい生活に馴染むのは結構ハードなようです。一見楽そうですが、講義を受講するという「勤務」を命じられているのですからやむを得ませんよね。(羽根を伸ばしすぎて、退校処分となる御仁も中にはいるようです)

2   部門別OJTの内容

  どこの組織でもそうですが、OJTには受講する側のレベルに応じたコンテンツが準備されています。警察の場合も各部門の

  入門前(各部門の養成編)、入門直後(新任専務員※研修)、中級レベル、上級レベル  ※制服警察官から内勤勤務つまり専門的な職務に変わること

 などのレベル別OJTと専務員が日頃取扱う業務のスキルアップに特化した研修、大学のゼミのようなテーマに基づいて討論研究を行う研究に特化した研修などコンテンツ別OJTに大別されます。

 選抜されて、上記のようなスキルアップ或いは研究特化の研修に参加して本気で取り組めば業務推進に必要な実務知識が身につくと同時に、他の所属で勤務する同部門の同志と触れ合い「同じ釜の飯」を食べ互いの親近感まで醸成できるという一石二鳥のシステムなのです。「本気で取り組めば」の話です、あくまで。

3  階級別OJTは、管区学校や警察大学校で行う

  ご存知のとおり警察には以下の階級があります。

  巡査 ▶︎ 巡査部長 ▶︎ 警部補 ▶︎ 警部 ▶︎ 警視 ▶︎ 警視正 ▶︎警視長

  ▶︎警視監 ▶︎ 警視総監(階級と職名が同じ。警視庁のトップ)

このうち、

   巡査部長と警部補のOJTは全国に7つある管区警察学校

   警部以上のOJTは東京にある警察大学校

に一定期間入校しながら実施されることになっています。

  ここでもやはり都道府県警察で行われるOJTと同様、今度は管区レベル或いは全国レベルで各県の同志と知り合うことができます。入校中は研修や授業を通じて仲間・同志としての絆や連帯意識を向上させ、業務上の問題解決のための情報交換などを可能にし、卒業してそれぞれの県に帰った後も入校中に培った人間関係を礎に相互の連絡・支援などが円滑にできるよう配意されています。

 こうした警察のOJTは、当然ながら国民・県民の皆さんの税金によって賄われているものでありOJT参加者はこの点をしっかりと自覚すると同時に参加者自身のスキルアップがひいては国民・県民への奉仕力として生かされるという使命感と緊張感を常に持続させることが肝要です。

 今回は、警察のOJTについてお話ししました。次回以降も警察よもやま話では様々なテーマで魅力あふれるコンテンツをご提供してゆきたいと思っておりますのでどうぞよろしくお願い申し上げます。



 


 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?