キンキー・ブーツ:ジェンダー問題を先取りした至高のミュージカル
ブロードウェイでのロングラン、そして亡き三浦春馬が主演ローラを演じたブロードウェイ・ミュージカルの傑作 キンキー・ブーツをご紹介します。
1 NYブロードウェイでの上映ぶり
メリーランド州ボルチモアに住んでいた頃、NYに夫婦でよく出かけました。そのときのお決まりのコースの一つにブロードウェイでのミュージカル鑑賞がありました。中でも秀逸なのは、このキンキー・ブーツ。ネタバレが含まれますのでまだご覧になってない方はこの項以降は読み進めないようにご注意ください。
ブロードウェイの中でも一際歴史を感じさせる劇場、Al Hirschfeld Theatreでしかも生演奏が楽しめる一番前のセンター席が私たちの指定席でした。
シンディー・ローパーが書き下ろしたオリジナル曲をバックにドラァグ・クイーンの主人公が歌い、踊り、感動のドラマを演ずるキンキー・ブーツを最初に観た時からこのミュージカルの虜になりました。
このミュージカルは2013年にブロードウェイ初演でトニー賞では年間最多の13部門にノミネートされ、ミュージカル作品賞、ローパーへのオリジナル楽曲賞を含む6部門を受賞しました。ローパーにとってブロードウエイ作品の初作曲であり、オリジナル楽曲賞初の単独女性受賞者となりました。キャスト・アルバムはビルボードのキャスト・アルバム・チャート初登場第1位、Billboard 200初登場第51位を獲得しています。
劇場でグッズを購入、CDを購入、Youtubeではいつもラストシーンを再現するなど「キンキー・ブーツ熱」は当分続きました。
2 あらすじ(のあらすじ。雑駁に)
靴屋の倅の主人公チャーリーは、靴のヒット作が無いことから父親から引き継いだ事業運営に悩む毎日。ある日道端で暴漢に襲われそうになったところを背の高い女性に救われる。その女性こそローラというドラァグ・クイーン。ローラの店に行ったチャーリーはローラと組んでドラアグ・クイーンが履くブーツ「キンキーブーツ」で起死回生の一発を狙う。そしてラストシーン。欧州のデザイナーショーでモデル不在というピンチに立つチャーリー。自らがキンキーブーツを履いてキャット・ウオークを歩き始めたそのとき。。。。ローラとその仲間が現れ、ショーは大成功。そしてクライマックスへ。。。。
3 何が良かったか?
まずはシンディー書き下ろしの曲です。これはもうどういう賛辞をもってしても表現できないくらいストーリーにマッチしています。特に印象的なのは、
🔹 チャーリーがローラに出会った時に流れるアップテンポの Land of Lola
🔹 ローラとドラァグ・クイーンたちが歌い踊る場面で流れる the sex in the heel
🔹 ラストシーンでローラ他のドラァ・ピースです。
そして、ストーリー。ローラがドラァグ・クイーンとなるまでに悩み苦しむ様、親との離反、チャーリーとの出会い、そしてドラァグ・クイーンとしての誇りを取り戻し自信あふれる人生をアピールする姿に感動しました。
性的マイノリティーにスポットが当たり始めた今こそ、このミュージカルはその輝きをさらに増しながらファンを作り続けていくことでしょう。
ご覧になられたことの無い方は、是非一度。感動すること請け合いです。