「自分は犯罪者じゃない!?」犯歴証明書の話
皆さんは、これまで外国政府に対して自分がこれまで犯歴を有していないという証明書、いわゆる「犯罪経歴証明書」(通称「犯歴証明書」。「警察証明」とか「犯歴証明」という言い方をする国もあります)を申請或いは取得されたことはありますか?米国のグリーンカード(永住権)やその他ビザ申請に必ず要求される「犯歴証明書」についてお話しします。
1 犯歴証明書とは?
貴方自身が外国の政府機関などにビザ申請したりする際に必要不可欠な書類で、「自分はかつて日本において犯罪者として逮捕されていません」という内容の証明です。
2 誰が発行するの?どこに申請するの?
貴方がお住まいの県警本部(東京都の場合は警視庁)又は警視庁の隣の総務省ビルの中にある「警察庁」に所定の様式にて書面で申請します。したがって発行者は、各都道府県本部長又は警視総監或いは警察庁長官です。発行者を見るだけで何か凄い書類のように見えますよね。詳細は下記リンクをご覧ください。
https://www.npa.go.jp/laws/notification/keiji/kanshiki/kanshiki20190329-3.pdf
3 申請に必要な証明書などは?
貴方が日本国籍を有する方である場合は、
①パスポート
②次に掲げるもののいずれか
・運転免許証
・住民票の写し(発行日から6か月以内のもの)
・住民票記載事項証明書(発行日から6か月以内のもの)
③証明書の発給事由に該当するか否かの確認に資する文書旅券
貴方が外国人である場合は、パスポート、在留カードと上記③
が必要です。
4 !!ここが重要!!
犯歴証明書を申請する際には、申請書への記入ともう一つの作業が必要です。もう一つの作業とは?? 「指紋採取」です!
5 なぜ指紋で犯歴を証明するのか?交通違反したけど大丈夫?
警察にはこれまで逮捕した被疑者などの膨大な写真や指紋資料が保管されています。ご存知の通り警察は法執行機関であり、犯人の逮捕を行う行政機関ですよね。逮捕された被疑者(報道では「容疑者」と言っています)は、まず米国で「マグショット」と呼ばれる被疑者写真の撮影と十指指紋(十本の指全部。反社会勢力の方で、「落し前」の際に小指とか薬指を欠損されておられる方々は六本から九本)と掌紋、四指指紋などを採取されます。これが警察に記録として残るわけです。
「エッ?交通違反した時にハンコの代わりに指紋押したけど大丈夫?!」と思われる方、大丈夫。セーフ自民党です(笑)。信号無視、駐車違反など軽微な交通違反の際の反則切符(通称:青切符)や赤切符或いは基本書式(歩行者妨害、過積載など)で検挙された際に印鑑の代わりに示指(人指し指)の指紋を押印したとしても、それは被疑者として指紋を押印したことにならないのでご安心ください。軽微な交通違反を何十件しようと「逮捕されていない」限り被疑者として扱われない「交通違反反則制度」が適用され、違反は素直に反則金(罰金ではありません。刑罰でないので)を収める限り「反則」として処理されるからです。逆に現場で警察官に暴行を加えたり、暴れたりして逮捕されたらアウトです。被疑者として扱われるのでマグショットと指紋は採取されてしまうことを肝に銘じましょう。日本のルールは本当によくできています。
少し長くなったので、今回はこの辺で。次回は
何故警察には前歴証明を出せないのに犯歴証明が出せるか? 前歴証明(前科照会はどこの官庁が対応しているのか?について詳しく説明してゆきましょう。