米映画「スノーデン」所感〜内部告発の是非、日米関係について考えてみた
2016年にリリースされた米映画「スノーデン」。
元NSA(米国家安全保障局)のエージェントであったエドワード・J・スノーデンが米国政府による無秩序的なサーベイランス(調査活動)の実態及び手法の一端を英国紙「ガーディアン」を通じて全世界に暴露したという実話を基にした映画です。
明日クラブハウスで内部告発者をテーマに話を展開する必要があったので再度視聴してみました。
1 情報機関や用語に関する描写が難解で面白さに欠ける?
「昔取った杵柄」の小職でも、じっくりと内容を精査しながら視聴しないと難解な部分が多々出てくるなど一度視聴しただけでは見逃してしまうような描写が多いので、当該部門に不慣れな視聴者にとっては観ていて面白くないのではないかと。
2 内容の真偽は別として驚愕のコンテンツが
予備知識がある人が視聴すれば内容に引き摺り込まれ、勉強になるコンテンツです。
当該コンテンツはエンターテインメント、一部フィクションだということを割り引いて見ても事実に基づく描写もこれあり、中には背筋が凍る内容も。
主人公のスノーデンが日本にDell社の契約社員として身分偽変してNSAとしての任務、すなわち日本国内の
病院、原子力発電所、ダムなどのインフラ設備
を「いざ」という時には全て動作不能にするプログラミングを施したという件。
「いざ」とは?
映画でスノーデンが述懐してますが
「日本が米国の同盟国で無くなった場合」
を想定しているそうです。
3 今年はその「いざ」が問われる年?
インド太平洋地域における日本の役割が問われている2022年。
QUAD、日米安保条約、その他安全保障上の枠組み
対応の仕方を一歩誤れば、米国からの不信を招き「いざ」の事態に陥る危険性は排除できないかと。
かつて小職が現職の頃、霞ヶ関の分析官(この場合「K」氏としておきます)が
米国は、日本が中国やロシアの手に渡ると判断した時には核ミサイルで日本を木っ端微塵に粉砕するでしょう
と演繹されたことが想起されますが、今や核を使うことなくネットワークで日本のインフラ機能を完全停止できるだけの能力を手に入れた米国。
今年は参院選云々と国内問題にかまけている場合ではないかもしれません。
4 内部告発者の問題(是か非か?)
元NSA職員のエドワード・スノーデンに対する評価は明確に二分されています。
米国情報機関当局側にとっては「裏切り者」の烙印、反米あるいは国家による監視体制に反対する側にとっては「英雄」扱い。
いずれにしても米国が米国同時多発テロ事件を契機になりふり構わず著しく自国防衛本能の赴くまま暴走したことは疑いの無い事実でしょう。
映画の中では
▶︎機微情報を弄ぶが如くの態度を見せる情報機関の同僚たち
▶︎モラルは二の次でゲーム感覚で個人情報にアクセスしまくる同僚
など情報ハンドリングにおけるモラル欠如と適正失格者が描かれています。
これらの同僚たちに嫌気がさし、また自らが「てんかん」を患うようになり自身の健康と恋人との関係に重きを置くようになったスノーデンがまさに命をかけた大胆な行動に出るわけです。
情報ハンドリングはアクセス権限の付与も含めて情報機関にとって極めて重要な問題です。
これをおざなりにすることは、個人情報の流出や目的外利用にさらされることになり、ひいては国家の存亡にまで問題が及ぶ危険性を孕んでいます。
内部告発者を庇護するか否か? という問題については告発内容にもよるでしょうが基本的には護ってあげることが大切だと思われます。
コロナ禍でこれまで以上に企業内あるいは行政組織内での内部告発が多発しているとの日経新聞記事が報じていました。
人間関係が希薄になり、情報源を安易に自宅に持ち帰れるという環境がそうさせるのでしょう。
問題は、告発する側に大義があるか否かでは無いでしょうか?
単なる金銭目的、地位の担保など低レベルでの内部告発は社会的にみても容認されるはずがありません。
大義、正義の実現という崇高な目的によってなされた場合のみ社会或いは組織から保護・庇護されるべしというのが私の考えです。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。
この内容は、明日のクラブハウスでライブにてお送りします。
ご興味のある方は明日20時30分からの
「Hiroshiのミッションはポシブル」ルーム
を覗いてみてください。ご来場、ご意見をお待ちしております。