ベルリンは晴れているか

第二次世界大戦時の一般庶民の生活背景がかなりリアルで表現されていた。
ドイツ国民がナチ党に投票し、政権をとったのちヒトラーの思想が徐々に広まっていく様子、そしてユダヤ人を排斥し、国民全員が監視し合う社会へ。
ヒトラーが欧州を征服し歓喜する民衆、そこから連合国に反撃されてベルリンが焼け野原にされて、どん底に苦しむ民衆。
ドイツの行く末がこの一冊に濃縮されていたように思う。

主人公は17歳のドイツ人の少女だ。
私がつい最近読んだ「同志少女よ、敵を撃て」ではソ連人の狙撃兵の10代の少女が主人公だった。
ドイツとソ連の10代の少女。
両国の舞台を各視点で比較的出来て非常に興味深かった。

ドイツはソ連を攻めて、敵地を蹂躙している際は勝利側の視点。末路は敗者の視点になる。
ソ連は最初にドイツに攻められるが、反撃後はベルリンを占領し勝利の結末で終わる。

結末が違えど、どちらの少女も大きな傷を覆い、生きていかなければならなかった。
民衆にとっては戦争に勝利なんて存在しない。

しかし日本とアメリカが戦った際には本土のアメリカ国民はほぼ無傷だったのでソ連とドイツ国民の苦しみはなかったかもしれない。


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